小学生の頃、家の近くにあるおばあちゃん家で妹とよく遊んでいました。
ある夏の日、祖父も祖母も農業をしていたので出払っており、私と妹はふたりっきり。
テレビを見たり、漫画を読んだりして過ごしていたのですが、だんだんすることもなくなってきて、気づいたら二人でうとうととお昼寝していました。
妹は窓の方を向いて横向きに寝ており、そして私は妹の横で仰向けで寝ていました。
不思議な感覚
そう天井を仰いで上向きに寝ていたはずなのです。
なのに私がふと気づいたときには、なぜか私の目の前に畳が見えて「あれ?」と違和感を感じました。
だって見えるはずのない畳が眼前にあったからです。
そこから私が畳から離れるとおかしなことが起こりました。
目の前に私と妹が仲良く一緒に寝転がってお昼寝している姿が見えました。
これって・・・幽体離脱してません?
すぐさま自分が幽体離脱していることに気が付きましたね。
幽体離脱というのは友達から話に聞いたことはあったけど、実際にした経験はなかったので、最初はドキドキしました。
ふわっと後ろに下がっていくと、どんどん自分と妹が小さくなります。近づいたり、遠のいたりして、最初は現状を楽しみました。
だって、今まで幽体離脱の経験なんて一度もないですから。
私はテンションが上がって自分からちょっと離れて窓の方を覗いたり、もっと離れて家を見下ろしたりしました。
屋根のところまで来るとおじいちゃんの姿が見えて手を振りました。おじいちゃんは私に気づくことはまったくなく、庭で何か作業をしているのが目に入りました。
ここまで見て、そしてやっと自分が幽体離脱をしていることを実感したのです。
しばらくして急に不安が押し寄せて
しばらくして、私はふと思い出しました。最近学校で友達から聞いた、幽体離脱の怖い話を思い出しました。
幽体離脱は自分から離れすぎたら戻れなくなって、そのまま戻ってこれなくて死んでしまうという話を友達の話を思い出したのです。
私は徐々に怖くなってきて、自分のカラダに戻ろうと思いました。
なんとか自分の傍に戻ってくることはできたのですが、どうやったら魂が自分のカラダに入るのかが分からなくて、ちょっとしたパニックです。
何度も何度も自分の体に重ねてみたましたが、それではうまく戻らず泣きそうになりました。
どうたいらいいか分かりません。
だって幽体離脱したきっかけも分からなければ、戻る方法も当然知らないのです。
おじいちゃんの声で覚醒!
「〇〇〇」と名前を呼ばれ、私は起き上がりました。
私がカラダに戻れたのはおじいちゃんが私を揺り起こしたからでした。
私は仰向けで起き上がり、若干震えながら自分の体に戻ったことを確認して心底ほっとしました。
冷房をがんがんきかせていたのに、だらだらとクビから冷や汗が流れたのを今も覚えています。
あの幽体離脱体験が実体験なのか、それともただの夢なのかははっきりしません。
ただあとで聞くとおじいちゃんは確かに庭で作業していたし、おばあちゃんは家にいませんでした。
その時の周囲の状況と同じで、辻褄は合うのです。
私はあのとき、あれ以上自分のカラダから離れなくて良かったと心から思っています。
そして幽体離脱から戻れなくなった人の末路を想像すると、今でもゾッと冷や汗をかきます。
※画像はイメージです。
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