世に出ている様々かつ数多なロボットアニメを見回せば、実に数多の兵器が登場します。
強力なビーム兵器もあれば、精神に感応し動き出し、無限のエネルギーを生み出す兵器と、現実には存在しない、クリエイターによる様々な空想と創造の下で、実に多くの兵器が造られ、アニメは勿論の事、様々な創作物には数多の兵器が存在しています。
さて、その多く登場する兵器の中で、一際に異色を放つ兵器があります。
異色のロボットアニメ近接兵器
それはロボットアニメにおいては近接兵器として使われ、鋼鉄の装甲を持つ人型兵器が相対する敵と命がけのしのぎを削り、装甲を砕き火花を散らせ、戦うロボットの代表的な人気武器として継承されていきました。
それは後の次世代の作品の中に脈々と受け継がれ、やがてその兵器は時代ごとに様々な設定や、作品によっては特殊な能力など、多くの進化を見せていきました。
近接武器として独特なカッコ良さと魅了する形を持ち、近接戦において一撃必殺の肉薄する緊張感を演出し、武骨かつ勇猛さを演出する、その兵器の名前は・・・パイルバンカー!
巨大な槍かつまたは杭としてロボット兵器の中に登場し、高速射出によって対象相手の装甲を射抜く、近接戦闘装備。
今回はその考察をしてみたいと思います。
パイルバンカーとは?
初期の登場はテレビアニメ作品であるサンライズの『装甲騎兵ボトムズ』に遡ります。
固い装甲に覆われたアーマード・トルーパーに乗り、戦う兵士達の物語。
その作品の中でパイルバンカーは登場し、それまでのロボットアニメに登場した、どの武器よりも印象的な武器として、多くのファンを魅了させました。
パイルバンカーを解りやすくに言えば、杭打ち機です。
工事現場でアスファルトや硬い岩盤を打ち砕くの使われている掘削機。
それをロボットの装備兵装であるパイルバンカーの原型とも言えます。
このように漢字で書けば解るように、パイルバンカーとは貫通力の高い杭もとい槍を電動エネルギーか火薬によるエネルギーで射出し、強固な装甲に覆われたロボットの装甲を破壊し、中にいるパイロットを射殺す近接兵器でもあります。
ロボットの拳や腕に装備され、激しい鋼鉄の打撃の打ち込みの中で、相手に決定打を与え、トドメとして活躍する兵器。
それがパイルバンカーです。
その独特な戦闘方法や映像表現は、多くのファンを魅了し、後の創作物に大きな影響を与えていきました。
やがてそれはロボット戦闘の兵器から、ドラゴン退治の武器や吸血鬼を破邪する携帯兵器としても登場し、多くの創作された物語を魅了する兵器として広まっていきました。
でもパイルバンカーは実在としては・・・空想上でしか活躍しない、否、活躍できない兵器でしかない、現実においてはあり得ない兵器として扱われてしまいます。
なぜ現実にパイルバンカーが使えないのか
まずパイルバンカーを造り出す利点が無い事が挙げられます。
もともとパイルバンカーは固い装甲を撃ち抜く兵器として扱われています。
装甲の固い兵器・・・例で挙げたらまずは戦車が挙げられると思います。
確かに生身の人間がパイルバンカーを片手に戦車を翻弄し、砲塔そばに飛び乗りパイルバンカーを打ち込む・・・実に絵的にはカッコいいかもしれませんが、現実にそんなことは出来ません。
パイルバンカーは敵対する相手の傍に近づき、杭を直接に打ち込む兵器である為に、もしこれを現実に使うとなると、それはまさに特攻兵器としてしか使えない代物になるでしょう。
それに戦車や装甲の厚い兵器ならば、大抵は対戦車ミサイルで事足りてしまいます。
わざわざ接近して槍や杭を打ち出す事をする必要はないと思います。
根本的にいうと、杭を打ち出す意味が無い。
それ故に、パイルバンカーは実現しないのです。
銃や砲などが主力兵器である現代戦
特攻精神をもって近接しなくても、対戦車兵器を使えば事足りる時代において、わざわざ戦車に近接戦を仕掛ける必要もなく、安全圏で十分に装甲の厚い兵器を破壊する事は可能となっており、わざわざ近接用のパイルバンカーを開発するのは、非効率としか言いようがないのです……
例え現実にドラゴンが出ても、パイルバンカーを片手に戦いを挑めと言われれば、それを行える人はいるのでしょうか?
自分よりも巨大な体躯を持ち、無数に生えた牙で口を開け、火を吐き凶悪な生き物相手に近づいて杭を打ち込めと、もはや自殺ともしかいえません。
つまりは対戦車兵器や砲を使う方が有効的です。
ゆえに現実の世界ではパイルバンカーは実現不可能な兵器ではありますが、もしかしたら二足歩行のロボット兵器が登場すれば、パイルバンカーが実現するかもしれません……ですが、はたしてそんな時代が来るのでしょうか?
ロボットが当たり前のように存在し、宇宙で活躍する近未来。
人の夢が現実へと近づく事が美徳であれど、パイルバンカーが現実の兵器として登場する、そんな時代に、一体どんな兵器があるのでしょうかね?
(C)1983 装甲騎兵ボトムズ サンライズ
(C)1988 機甲猟兵メロウリンク サンライズ
(C)1988 装甲騎兵ボトムズ レッドショルダードキュメント 野望のルーツ
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