自分では基本的に戦わない「ジェド 豪士」。
彼は戦闘インストラクターで、依頼人に合わせた作戦を考え出す・・・それが、「パイナップルARMY」。
本作は「YAWARA]や「MONSTER]で有名な浦沢直紀氏の作品で、原作は工藤かずや氏。
初版が1986年5月1日で30年以上前の作品なのですが、当時の世界情勢ネタや武器など、リアルに描かれた作品です。
自分では基本的に戦闘をしないという設定が、かなり斬新だと思います。依頼人の性別、年齢、体力などを分析し、作戦を練り上げ、実行前に入念な訓練を行い、任務完了へ導くリアルな軍事行動が描かれていると思います。自分では基本戦わないスタイルですが、依頼人が危なくなるとさりげなく助けたり、実に人情あふれる人物です。
1980年代のリアルな世界情勢も細かく描かれており、西ドイツや北海油田、リビアの軍事政権、当時ヨーロッパで行われていた子供の誘拐など、その時代の背景も、読み取る事ができるのがこの作品の魅力。さかのぼってベトナム戦争時代の悲惨な感じなども描写されており、今読んでも、当時はこういう時代だったんだなと感じる事が出来ます。
1人のヒーローが敵をみんなやっつけるというものではなく、あくまで豪士はインストラクターという縁の下の力持ちという設定にも惹かれました。ミリタリーものなのでピリッとした空気の作品かと思いきや、ストーリーの中にはホッコリするエピソードも結構あり、最初から最後まで本当に楽しく読めます。
個人的感想としては最初数ページめくったときに、なんとなく絵の雰囲気が「YAWARA」の感じだったので、あまり期待していなかったのですが、良い意味で裏切られました。
全8巻で、どのストーリーも魅力的で、一気に読んでしまえる、こういう作品に出会えると何かとても嬉しくなります。
パイナップルARMY (C) 小学館 ビッグコミック 浦沢直樹
思った事を何でも!ネガティブOK!