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米軍のゾンビ対策「概念計画8888」は非現実的?

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ホラー映画やドラマの分野で幅広く登場する設定と言えば、死んだ人間が怪物と化してゾンビとなり、今度はそれらが生きた間を襲い噛みつく事で、噛まれた人間もゾンビになる。定番中の定番だろう。

日本の漫画やアニメ、ゲーム等でも様々なゾンビやそれに類する存在をよく目にするが、とりわけ本場のアメリカでは映画やテレビドラマで、そうした作品が多数生み出され続けている。
日本における海外ドラマブームは一時期を境に最近は落ち込んでいるようにも思えるが、少しでも視聴率が芳しく無ければすぐに制作が打ち切られてしまう現状も、その傾向に拍車をかけている感もある。

そんな厳しい状況のアメリカ製の海外ドラマの中でも、2010年から2022年にかけて11シーズン・全177話が制作された大ヒット作に「ウォーキング・デッド」があり、その典型的なゾンビが印象的な作品だった。
しかしアメリカと言う国家のゾンビに対する造詣は深く、「ウォーキング・デッド」のようなエンタメ作品に留まらず、国家機関が正式に作成したゾンビ対策の文書までが実際に存在する。

この文書はアメリカ国防総省とアメリカ戦略軍が共同で作成したもので、日本では通称「概念計画8888」若しくは「非常事態計画8888」の名で知られているが、今回はそのあらましを述べてみたい。

目次

アメリカが作成したゾンビ対策文書「概念計画8888」

「概念計画8888」はアメリカでは主に「CONOP 8888」と呼ばれており、アメリカ国防総省とアメリカ戦略軍が共同で2010年から作成に着手、翌2011年に完成したゾンビ対策について記述された文書である。

当然当時はアメリカの国家機関のみが共有していた情報だったが、2014年にその存在がアメリカのマスメディアよって発覚、CNN等のアメリカの大手メディアも一斉にその内容を報じた事で著名な文書となった。
2023年現在はインターネット上でも閲覧が可能となっており、所謂極秘文書と言った類のものでは無くなっている。

「概念計画8888」が2014年当時にマスメディアに報道されて大きな波紋を呼んだのは、何と言ってもその文書の内容がゾンビ対策について記述されたものだったと言う一点に尽きるだろう。

では何故アメリカ国防総省とアメリカ戦略軍が、そのような先ずありえないゾンビ対策について記述した文書を作成したのかと言えば、国家戦略の一環として実際の軍事上の計画・作戦を立案する組織内の幹部候補に向けたものと説明されている。

これはつまりそうしたアメリカ国防総省やアメリカ戦略軍の幹部候補に対し、敢えてリアルな仮想敵国等への対処を避けながら、架空のゾンビの襲来に如何に向き合うか、その手法を示した教材だとされる。
架空のゾンビの襲来を想定した意図としては、文書が後に公開されても徒な混乱をきたさぬようにと、敢えて非現実的なゾンビへの対処と如何に向き合うべきかをモチーフとして採用したと言う事なのだろう。

「概念計画8888」で記述・想定されているゾンビの種類

「概念計画8888」において記述・想定されているゾンビは、①病原体、②放射性、③黒魔術、④宇宙襲来、⑤生物兵器、⑥寄生物、⑦菜食、⑧鶏の8種類があり、具体的なようでいて抽象的な感も否めない。

内容を少し捕捉すると、①病原体とは人間等の対象がウィスルや細菌に侵されゾンビ化したもの、②の放射性は人間等の対象が放射線で侵されゾンビ化したもの、③黒魔術は魔術で生み出されゾンビ化したものを指す。
④宇宙襲来とは何らかの地球外生物が有毒物に侵されゾンビ化したもの、⑤生物兵器は人間がバイオ兵器としてゾンビ化させられたもの、⑥寄生物は人間等の対象に寄生したゾンビだと記述されている。
⑦菜食は文字通り植物のみを食するゾンビであり、最後の⑧鶏とは実際の家畜の事を指し、鶏卵用に飼育されていたものが高齢化で処分された後に稀に生き返る事例が報告されており、その状態をゾンビ化と見做している。

実際に養鶏場では残酷な話ではあるが一酸化炭素を用いた窒息による安楽死を行っており、稀にすぐには死なずに生き残る個体がある為、これのみが現実の世界で確認されているゾンビの実例となっている。但しこうして文章にしてみるとゾンビを8つに分類したと言うより、ゾンビ化する原因と、その後の行動様式がごっちゃになっている印象を個人的には感じ、正直そこま良く練られた記述とは思えない。

「概念計画8888」で記述・想定されているゾンビを倒す方法

前述した通り「概念計画8888」では8種類のゾンビの存在が想定されているが、最後の⑧鶏は何もせずとも暫く後には結局死亡すると記述されている為、残る7つへの対処方法必要になると思われる。但しゾンビへの対処方法では、更に③の黒魔術のゾンビは他とは異なり、物理的な攻撃は利かない可能性が指摘されており、それには従軍牧師の祈祷が唯一有効ではないかとの見解が示されている。

すると残りは6種のゾンビになる訳だが、これらに対してはフィクション作品等で盛んに用いられている通り、その弱点は脳であると推察し、よって脳を集中的に破壊し最終的にはその体ごと焼却する事を推奨している。
また物理的な攻撃以外の視点としては、元々はゾンビは人間であった点を踏まえ、凡そ30日間の水分補給を絶つ事が可能であるならば、自滅する事もあり得るとしており、かなり消極的な気もしなくはない。

こうした「概念計画8888」のゾンビへの対処方法を見て見ると、物理的な攻撃手法としては個人的には至近距離で頭を狙うショットガン等の武器が有効で、火炎放射器があれば尚良いのではと、思えてくる。

「概念計画8888」で記述・想定されている6つの対処段階

「概念計画8888」ではゾンビに対処する段階を6つに分けて、その段階に応じた必要な措置を講じる事を唱えており、この文書がアメリカ国防総省とアメリカ戦略軍の幹部候補に向けた教材としては最も枢要な部分ではないだろうか。
先ず1段回目はアメリカ軍内のみでゾンビの存在が認識され、厳重に管理されている状態であり、他国を含め自国民にすらその存在は秘匿されており、アメリカ政府と軍部のみがイニシアティブを握るとされる。

次の2段階目ではアメリカ戦略軍は少数の部隊を現場へ投入する事となり、残る部隊は今後に備えた大規模な訓練に従事し、以後に発令されるであろう命令に備えて待機するとされている。
次の3段階目では全アメリカ戦略軍の要員が臨戦態勢を取り、各地の拠点をゾンビの襲撃に備え要塞化を行い、パニック避ける為に必要であれば偽計の作戦をも遂行、事態の掌握を継続する。

4段回目では実際の対ゾンビ戦に備えた準備を全アメリカ戦略軍に完了させ、対ゾンビ戦闘を部隊に開始させ、その戦闘エリアを30日間にわたって封鎖する措置を実行する。
5段階目は4段階目が30日を経過した時点から始まり、戦闘後も残ったゾンビの脅威度や各種のインフラの現状を把握し現状を纏め、その内容をラジオやインターネット等の通信を用いて国民に公表する。
この現状の公表を行う事で、ゾンビとの戦闘でも生存している人間とのコンタクトを可能とし、残存するゾンビとその発生源をあらゆる兵器を投入して根絶させ、戦後処理に着手する。

最後の6段階目では生存者の保護とゾンビの発生源の根絶を並行して実施し、対ゾンビへの臨戦態勢も維持しつつ、荒廃した地域の第一次の復興にアメリカ戦略軍のリソースを投入する。
この荒廃した地域の第一次の復興を行った後、アメリカ戦略軍はその継続を民間の団体等に引き継ぎ撤収し、一連の1段階目から6段階目迄の対ゾンビ対応を文書化し、以後の作業手順として残す。

「概念計画8888」の意義

これまで紹介してきたように「概念計画8888」とは、ゾンビの襲来と言う本来はあり得ない事態を想定しながらも、アメリカ国防総省とアメリカ戦略軍がそうした非常事態に如何に対処するのかを示した文書である。
最終的には、如何に非現実的な脅威の内容であろうとも、アメリカ国防総省とアメリカ戦略軍といった国家の危機管理を任された組織が、如何に合理的な対処を行い、その結果を手順化するのかを目的としていると解釈できる。

アメリカ国防総省とアメリカ戦略軍といった組織でなくとも、少なからず民間の営利企業であっても、何らかの課題に対しプロジェクト型の取り組みを行う際には、良く用いられる手法だと言えるだろう。
近年は日本においても2011年前の東日本大震災後や、2020年以後の新型コロナウィルス等の問題から、こうした危機管理が叫ばれて久しいが、その教訓が活かされるか否かは、判断が難しい事だけは間違いない。

※画像はイメージです。

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