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もしかしたらあなたの身近にも・・・毒を持つ美しい花9選

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花屋や一般家庭の庭先などあちらこちらで私たちの目を楽しませてくれる花々。
中には定期的に買い求め花瓶に活けている人、庭やベランダのちょっとしたスペースでの家庭菜園やガーデニングを趣味にする人も多いだろう。
しかし、その花は本当に美しいだけの存在だろうか。奇麗な花には毒がある。

目次

スイセン~美しき毒花の象徴

冬から春にかけて花屋や一般家庭の庭先でも見られるスイセン。
学名の「ナルキッソス」とはギリシャ神話に登場する美少年ナルキッソスに由来するほど美しい見た目と芳香から、ファンが多い花と言えるだろう。
しかしこのスイセン、毎年中毒者を生み出す身近に存在する毒花の象徴とも言える花である。

スイセンは全草に毒が含まれており、特に鱗茎に毒の成分が多いのだが、この鱗茎や葉の部分を誤って食して食中毒になる例が多発しているのだ。

よくある例で言えば、庭で栽培していたニラだと思って食べたらスイセンの葉。
山菜としてノビルを採ったと思ったらスイセン。
玉ねぎだと思って収穫したらスイセンの鱗茎。
とにかく他の食材と勘違いされることが多い花なのだ。

確かに花が咲いていなければ葉はニラに、鱗茎はノビルや小ぶりの玉ねぎに見えなくもない。
収穫後、本当にお目当ての食材か判別するためにはその食材のにおいがするか確認する方法もあるが、少しでも自信がないなら口にしない、家庭菜園と花壇は分けて設置するのが望ましいだろう。
とはいえ、スーパーで販売されていたニラが実はスイセンだったという事例もあるので油断ならない。

なお、スイセンは中毒者数の割に死者は少ないものの、食べた量や本人の体調などによっては死に至ることもある。
スイセンに多く含まれる有毒物質リコリンは吐き気や嘔吐、下痢といった消化器系に作用する症状を引き起こす。
食後30分ほどで症状が現れることが多いため、症状が現れ、スイセンに間違われやすい食材を食べた可能性があるのであれば、すぐに病院に行くことをお勧めする。

グロリオサ~知らずに育てているかもしれない炎の毒花

グロリオサとは赤やオレンジの花びらが反り返って咲くのが特徴的で、踊る炎を思わせるような見た目がなんとも華麗で優美な花だ。

明治末期には渡来し栽培されてきた花ではあるが、鑑賞用の花としての人気が出始めたのは近年になってから。
最近ではその華やかな様子からフラワーアレンジメントやブーケなどに使用されることも多く、花屋でも馴染みのある花として定着してきた。
人気と共に一般家庭でも栽培されることが増えてきた花ではあるが、この花の球根にはコルヒチンという有毒成分が含まれている。

そもそも古来、グロリオサは痛風の特効薬や胃腸薬として用いられてきた。とはいえ薬は毒にもなる。
もちろん鑑賞しているだけで球根を口にしなければなんら問題はない。
球根に関しても症状に対し適切な量を専門家が処方するのなら問題はないのかもしれないが、なぜ素人が知らずにこのグロリオサの球根を口にしてしまうのか。
理由はグロリオサの球根がヤマイモや長いもの類に似ていることである。

グロリオサの球根はヤマイモや長いもに形が似ており、それで誤って口にする人がいるのだ。
形は似ているものの、ヤマイモや長いもにある特徴的なひげ根がグロリオサの球根にはないのでその辺りが見分けどころとなる。
多量に摂取してしまうと数時間を経て、口腔・咽頭の灼熱感、発熱、嘔吐・下痢、背部の疼痛などを発症することがあり、臓器の機能不全などにより死亡することもある。

海外では有毒植物としてよく知られており、中には自殺目的でこのグロリオサの球根を利用する者もいるほどだ。
ここ20年でヤマイモと間違えてグロリオサの球根を食べた人が中毒死する事故が日本でも発生している。
国内で死亡事故が発生する一方でネット上の植物図鑑や育て方ガイド、球根を販売するガーデニングショップではその毒性に触れられていないことも多いので、注意が必要と言えるだろう。

イヌサフラン~トリカブト級の毒を持つ危険な毒花

イヌサフランは園芸家の間でオータム・クロッカスやコルチカムとも呼ばれる花で、秋になると主に紫色の花を咲かせる。
このイヌサフラン、その猛毒性で有名なトリカブトと同じくらい危険な毒草の1つである。

厚生労働省の発表によれば、2012年から2021年の10年間で合計16人もの人が毒性がある植物の誤食により食中毒となり死亡している。このうち11人、死者数の約2/3が誤ってイヌサフランを口にして亡くなっているのだ。

イヌサフランは花、葉、鱗茎に毒が含まれていて、葉は山菜のギョウジャニンニク、鱗茎はジャガイモやタマネギにミョウガといった野菜に間違えられることがあり、そのバラエティ豊かな擬態ぶりから誤食が相次いでいると考えられる。
また、名前に「サフラン」という名前が付くことから、高級スパイスの代表でもあり、サフランライスなどでも有名なスパイス、サフランと勘違いして食用してしまう人もいるようだ。もちろんイヌサフランとサフランは全くの別物である。

イヌサフランはグロリオサ同様コルヒチンを含んでおり、多量に摂取してしまうと数時間を経て、口腔・咽頭の灼熱感、発熱、嘔吐・下痢、呼吸困難などを発症することがあり、重症の場合は死亡することがある。

チョウセンアサガオ~薬と毒は表裏一体

アサガオの花に似た見た目からその和名がついたとも言われる花であり、園芸用としてだけでなく野生化した種が本州以南に自生している。チョウセンアサガオとアサガオ、花の見た目は似てはいるのだが、アサガオはヒルガオ科、チョウセンアサガオはナス科に属しており、全くの別種である。

人間とは古くから関りがある花であり、世界各国で薬草として利用されてきた。日本では江戸時代の医学者である華岡青洲がこのチョウセンアサガオを主成分として麻酔薬「通仙散」を開発したことでもよく知られている。その毒性は口にしてから30分程で口が渇きはじめ、体のふらつきや嘔気,倦怠感,眠気を催すとされており、一部の覚醒剤と似通った症状がある。

チョウセンアサガオは全体に毒性を有していて、 根をゴボウを間違えた、開花前のつぼみとオクラを間違えた、葉をモロヘイヤやアシタバなどと間違えた、種子とゴマを間違えたなど誤食の例に事欠かない。2006年には家庭菜園でチョウセンアサガオを台木にナスを接木して栽培、そこで収穫したナスを使ったミートソーススパゲティを食べた夫婦が中毒症状を発症している。毒性の強さは恐ろしい限りだ。

最近ではチョウセンアサガオの一種が「エンジェルストランペット」という名前で園芸店で販売されている。
大きなラッパ状の花がぶら下がるように開花するため非常にゴージャスな印象で日常的にどこかの家庭の庭先などで見る機会も増えてきた。華やかな見た目で私たちの目を楽しませる反面、毒性があることに変わりはないので決して食用しないよう注意したい。口にすれば本当に天使のラッパが聞こえかねない。

ヨウシュヤマゴボウ~名前に騙されないよう

北米が原産ながら帰化植物として日本各地に分布するヨウシュヤマゴボウ。
初夏から夏にかけて白い花穂を枝先に付けるのだが、多くの人の印象に残っているのは、秋になるとブルーベリーのような丸く小さな濃い紫色の実をぶどうのように鈴なりにつける点だろう。
いわゆる雑草としてあちこちに生えているため、幼少期にこの実を摘んでみたり、ままごとに使ったり、潰して色水にしてみたりと遊んだ経験のある人もいるかもしれない。また、つややかな紫色で美味しそうとも思える見た目から、実際に口にしたことがある人もいるのではないだろうか。

ヨウシュヤマゴボウは全体にアルカロイド系の毒成分を含んでいる。
誤って食べると腹痛や嘔吐、下痢、けいれんといった中毒症状を引き起こし、死亡する可能性もある。見た目に目を引く実はもちろんのこと、特に根に強い毒を持つ。
誤食で多いのがこの根の部分。漬物でよく聞く「山ごぼう」をこのヨウシャヤマゴボウの根と勘違いした結果によるものだ。

確かにヨウシャヤマゴボウの根はごぼうに似ていて、いかにも野山に自生するごぼうのような風情なのだが、そもそもヤマゴボウも有毒植物で食用に適さない。そして漬物・山ごぼうの中身は普通の野菜のゴボウやキク科のモリアザミなどの根である場合がほとんど。
つまり漬物・山ごぼうとヤマゴボウ・ヨウシャヤマゴボウは全く関係ないのだ。

かつて山ごぼうの漬物はヨウシャヤマゴボウの根だと勘違いし、自らヨウシャヤマゴボウの根を漬けて食べ、中毒症状に陥った者もいた。なんともややこしい限りである。

フクジュソウ~縁起のいい毒花

北海道から九州にかけて自生するフクジュソウ。
江戸時代の頃には、早春に黄金色の花を咲かせることから春を告げるという意味で「福告ぐ草」と呼ばれ、その後、開花期間の長さから長寿を表す「寿」の字があてられるようになり「福寿草」と記載されるようになった。また旧暦の正月(現在の2月)頃に咲き始めるため、「元日草」や「朔日(ついたち)草」という別名をも持つとにかく縁起のいい花である。

しかし、そんな理由で愛でられるこの可憐な黄色い花にも、残念ながら毒がある。フクジュソウは、花・茎・葉・根の全草にシマリンやアドニトキシンという毒成分を含んでおり、摂取するとおう吐や呼吸困難、心臓麻痺などの症状を引き起こし、最悪の場合、死亡することもある。

園芸・観賞用として正月時期の寄せ植えに利用されることも多いフクジュソウ、実際に触れる機会もあり得ると思われるが、ただ触っただけではその毒におかされることはなく、中毒症状が現れるのは体内に摂取してしまった時だ。

ではなぜ、人は誤ってフクジュソウを口にしてしまうのか。それは、フクジュソウが各種山菜に似ているためである。
特に間違いが多いのがフキノトウだ。
フキノトウは言わずと知れた有名な山菜で春の味覚の代名詞といっても過言ではなく、春の野山に山菜取りに入る人の中にはこのフキノトウ目当てという人も少なくないだろう。このフキノトウとフクジュソウの若芽が似ているため、誤って採って食べる事例が散見されるのだ。
天ぷらなどにして食べられるシャク(通称:ヤマニンジン)という山菜の葉もフクジュソウの葉と似ており注意が必要である。なお、このシャク、フクジュソウ以外にもムラサキケマン(毒草)やドクニンジン(毒草)、トリカブトとも葉の見た目が似ている上、生息地が被っている。

フクジュソウと併せて山菜取りをする人にはぜひ覚えておいてほしい。

スズラン~可憐な見た目の暗殺者

白い小さな鈴のような花を咲かせるスズラン。芳しい香りと清楚で可憐な姿は、日本のみならず世界中の人々に愛されている。一方でこのスズラン、そんな清楚で可憐な様子からは想像も付かないほど強い毒性をもっている。

スズランは全草に水溶性の毒であるコンバラトキシンなどを含んでおり、特に根や花に強い毒性を持っている。誤って口にすれば、嘔吐、頭痛、眩暈、心不全、血圧低下、心臓麻痺などの症状を起こし、重症の場合は死に至ることもある。

過去にはドイツで3歳の少女が、花瓶代わりにスズランを指していたコップから水を飲んだところ中毒症状を引き起こし、その後死亡するという痛ましい事故も起きている。

また、スズランは秋になると赤い小さな実をつける。つややかで小粒の赤い実は一見するとおいしそうとも思える見た目だが、こちらも当然毒がある。ヨーロッパでは、このスズランの実を子どもたちが知らずに口にしてしまう事故が毎年のように起こっており、中には死亡した事例もあるそうだ。

日本ではスズランの葉がギョウジャニンニクと似ていることから誤食の可能性があるとされ、山菜取りの季節になると注意喚起されることが多い。可憐な見た目に惑わされることなく、その存在に気をつてけていきたい植物である。

ヒガンバナ~口にすれば彼岸が見えるかも

墓地の周囲などに燃え盛るような真っ赤な花が群生しているのを見て、どことなく不吉な印象を持たれやすいヒガンバナ。決まって彼岸の時期に咲き乱れることも、こうした印象を受ける理由の1つだろう。そもそもヒガンバナが墓地に植えられているのも、この花が毒を持つゆえである。墓地荒しをするネズミやモグラといった害獣がこの毒性を恐れて、墓地に近づかないようにと願って昔の人々がわざと植えたのだ。

ヒガンバナは全草にリコリンなどの毒成分を含んでいる。このリコリンという毒成分の名前自体がヒガンバナ属の学名、「リコリス」に由来している。ヒガンバナを誤って摂取すると 吐き気、おう吐に下痢、中枢神経の麻痺などを引き起こす。

花の姿形こそ特徴的なヒガンバナだが、花の咲かない時期にそのすっとと伸びたように繁る細長い葉をニラやノビル、アサツキなどの見た目が似ている食材と間違えて食べてしまう人が後をたたない。また、特に毒を多く含む鱗茎をタマネギと勘違いして口にする例もあるようだ。

ただしこのヒガンバナ、鱗茎部に特に毒成分を多く含むとしたものの、戦争や飢饉の際、食べ物に困った時代にはわざわざ毒抜きをして鱗茎を食べていた歴史もある。リコリンは水溶性の毒であったため、水にさらして十分に毒抜きした上で食材として利用してきたのだ。
だが、その毒抜きが不十分だったため中毒を起こした事例もあるため、飽食のこの時代に無謀なチャレンジは止めておいた方が無難だろう。

ゲルセミウム・エレガンス~世界最強の毒花

最後はゲルセミウム・エレガンスという花。東南アジアから中国南部に自生しており、冶葛や断腸草など様々な異名を持っている。名前も優雅で黄色が映える小さな花がとてもかわいらしくはあるのだが、アルカロイド系の多種多様な毒成分を全草に含んでおり、若芽には特に強い毒を持っている。もしも口にすれば、呼吸麻痺をはじめとして眩暈や嘔吐、口腔や咽頭の灼熱感、腹痛、下痢、筋弛緩、全身痙攣、運動失調に昏迷などの症状を引き起こす。

ゲルセミウム・エレガンスの毒性は毒性植物の代表であるトリカブトよりも強いとされており、場合によっては数枚の葉を口にしてしまっただけでも人間が死に至る可能性があるという。まさに最強の植物毒を有する花なのだ。

現時点で日本国内に自生はしておらず、花の名前自体も日本人の間では決してメジャーとは言えないゲルセミウム・エレガンス。しかし、日本でも意外な場所からこの花が見つかっている。それが奈良県にある世界遺産、正倉院だ。
正倉院は東大寺にある宝物庫で聖武天皇の遺品をはじめとする奈良時代を代表する美術工芸品や文化的な品々が収められている。現在は宮内庁が管理しており、国宝にも指定されている。

そんな歴史的価値の高い宝物に紛れて、奈良時代当時の貴重品として管理・保管されていた。その中の1つが冶葛。
つまりゲルセミウム・エレガンスだったのだ。
1996年のある大学による調査によれば、管理簿上、756年には約19㎏あった乾燥させた冶葛の粉末が約100年後の856年には約1.2㎏にまで減っている、さらに96年の調査時には残り約390gにまで減っていたのだ。

管理簿上、残量の記載が残っていたものの、このなくなった冶葛がなぜ量を減らしたのか―つまりなぜ正倉院から持ち出されたのか、正確なことはわかっていない。なお、この残された冶葛の成分を調査したところ約1,200年の時を経てもその毒性はほとんど損なわれていなかったそうだ。奈良時代、ヨーロッパや北アフリカ、中東・アジアを結んだシルクロードを介して絹をはじめとする様々な珍しい海外の宝物が日本に渡ってきた。

正倉院はこの時代の様々ば海外伝来の宝物が収められていることから、シルクロードの終着点とも呼ばれている。
最強の毒草、ゲルセミウム・エレガンスはどのような旅路を経て正倉院に辿り着いたのか。そして、いつ、誰が、何の目的で正倉院から冶葛を持ち出したのか。
今となっては誰にもわからないが過去、この毒物が歴史のどこかで暗躍した可能性があることは確かだろう。そして、この冶葛の持ち出しは果たして過去の歴史上の出来事として済ませることができる出来事なのだろうか。

さすがに96年の調査後、保管されていたのが毒草だと公式に判明して以降に持ち出すのは難しいだろう。しかし、約1,200年の歴史の中で現代と呼ばれる時代、なにかの事情で正倉院に出入りできた人間は意外にも多くいたはずだ。
この冶葛、私たちの身近に未だ存在する可能性は捨てきれないのではないか。

最後に

私たちが身近に目にする美しい花々。
しかしひとたび油断してその美しさに目を奪われて手を出せば、その代償を支払わねばならない花々は世界に数多く存在する・・・触らぬ神に祟りなし。

※画像はイメージです。

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