私の家系は幽霊が見える家系で、これは実際に高校生の時に体験した出来事です。
当時通っていた高校は地元から離れていて、電車で40分くらいの場所にあり、毎日電車で通学していました。
入学して初めての通学の日、私はある駅に差し掛かった時に小さい耳鳴りを感じました。それから、頭の中をまるで殴られたようなボゴっという鈍い音が頭に響くのですが、降りる駅に着いたので、もやもやを抱えながら学校へ向かい、その日を過ごしたのです。
帰りも同じように電車に揺られ、車窓から過ぎ行く風景をなんとなく眺めていると、違和感を感じた駅の踏切の近くに、太い幹みたいなものが転がっているのを見つけますが、あまりにも一瞬だった為、それが何なのかは分からず。
収まらない新たなもやもやを抱えながらに自宅へ帰り、私より三つ年上の霊感の強い姉に帰るやいなや話すと、姉は私に小声でこう話してくるのです。
「私もこの前友人と出かけたとき、同じものを見てその時感じた。」
「あれは電車に飛び込んだ人の遺体の一部、話しかけたりはしてこなかった?」
私が話しかけられてはないと言うと
「絶対に話しかけられても、同情したりしちゃだめだよ。」
「あとこの話はもちろんほかの人にはしないようにね。」
と念を押され、少しばかりの恐怖を感じながらも眠りにつくのでした。
それからといえば、その駅を通過するごとに耳鳴りと鈍い音を感じるのですが、普通の暮らしをしていました。
そして三か月ほど経ったある日、帰宅途中の電車で、その駅の二つ駅前あたりからいつもと違う何かを感じます。
その駅が近づくにつれて、頭痛と鈍い音が大きくなっていき、怖くなった私は目をつぶりその駅を通過するのを耐えようとした瞬間、電車から私が常に聞いていた鈍い音が聞こえ、電車はゆっくりと停止したのです。
ざわめく乗客たちの声を聞きながら、ゆっくり外を見ると、踏切近くの幹のように見えた誰かの遺体が、この世と人に対して絶望を抱き、電車へと飛び込んだのかという一連の風景が脳内に映し出されたのでした。
その風景を見終わった後、彼は私に静かな怒りと喜びを我慢しているような声で
「これでもう一人じゃないんだね」
と私の耳元に伝えてきたのです。
私は手の震えや動悸を抑えながら、彼の言葉を聞いてないふりをすることで精一杯で、その場に立ち尽くすことしかできませんでした。
なんとか無事に帰りついて、姉に私が見たものを報告をすると
「その状況で相手の感情に飲み込まれたら、あんたも危なかった。」
「ああいう場所は精神的に不安定な人を呼び寄せるし、今回飛び込んだ人もおそらく呼ばれてしまったんだろうね。」
と悲しい顔をしながら説明してくれました。
それ以降、車窓から風景を眺める事をやめたおかげか、何事もなく通学できるようになりましたが、その事故以降も同じ場所での踏切事故が相次いでいるそうです。
きっとこれからも彼の願望は消えることはなく、これからも誰かをあの踏切で待ち続けるのでしょう。
※画像はイメージです。
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