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自称「霊が視える」という彼女

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高校二年生の頃、普通にthe学生生活を楽しんでいて、いつもつるんでいるグループの中に、自称『霊が視える』という子がいました。

霊が視えるということを表すように、時折何かに驚き、歩いているときに誰も居ないのに何かを避ける仕草をし、目的地までもうすぐというところで急にルートを変えて遠回りしたり。
彼女はちょっと不思議というか、周りから見れば変なやつ、という認識のほうが強かったと思います。

目次

幽霊っているの?

ある日の放課後、話の流れから一度でいいから霊を見てみたい・・・という話になりました。
高校生の頃には既に心霊やオカルトが好きだった私は賛同し、他の友人達も怖いもの見たさと興味本位で盛り上がっているいた時。

「視えても得になることなんてない。むしろ、煩わしいし、怖い」
彼女はそう言い、話を詳しく聞こうとしますが、頑なに拒否します。

でもむしろ、皆、好奇心をそそられ、「どんな風に視えるのか」「やっぱり髪が長くて白い服を着ているか」「血まみれなのか」など霊に対するイメージを次々と口にしますが、彼女はそのどれにも答えてくれません。

「霊なんているわけがない。視えないんだから、存在していない」
一人の友人が言った一言が、彼女の琴線に触れたようでした。

「だったら、視えるようにしてあげる。存在証明すればいいんでしょ?」
その言葉はとても冷たくて、友人に向けるような声音ではなかったのが印象的だったのを覚えています。

自己責任で

放課後だったこともあり、時間はもう少しで完全下校時間。
一度学校から離れて、駅の近くにあるファミレスに向かおうという事に。

最早誰も何も言わず無言で教室を出て、そのままバスに乗り、駅へ向かう。
重苦しい雰囲気の中、ファミレスに入って各々ドリンクバーを注文、一息ついたところで彼女は言います。

「今からやる事は、自己責任。あたしは責任を持たないし。」
「その後どうなろうとも知ったことじゃない。冷たい言い方だけど、どうにもできないから言ってるだけ。」
「それでもやるなら言う通りにして」

挑発するのではなく、事実を淡々と告げた彼女を見て言いしれぬ不安を感じましたが、当時の私は高校生。
アホ真っ盛り。やらないわけがない。

そんなものは無い

彼女は伏し目がちで淡々と話しはじめます。

「目を閉じて、階段をイメージする。」
「階段をゆっくり確実に降りて、広い空間へとたどり着く。その空間はなにもない空間。」
「足元に意識を向けると、そこには『蓋』がある。」
「『蓋』に意識を集中して、少しずつ『蓋』がずれるようにイメージする。絶対に急に開けてはいけない。」

実際はもう少し細かい指示でしたが、そんな指示に従っていたときでした。
友人の一人が突然、大きな声をあげた。

「ウンコしたくなった!漏れそう!!」
みんな大爆笑となり、それに続くように次々と「そもそも蓋なんかない」と言って雑談を始めると、
「イメージできないのが普通。もし、今イメージできて、蓋が開いたなら、少しでも霊感があるし、視える可能性がある」。

彼女は顔を真赤にして、すこし怒鳴るように話した後に俯き、黙り込んでしまったのです。
それを聞いた、存在証明しろと言った友人はつまらなさそうな顔をして、不機嫌そうに代金だけ置いて帰っていったのでした。

私といえば

続くように他の友人も晩御飯の時間だからと次々に帰っていく中、私と彼女だけが残り、数分だけ無言の時間がありましたが、彼女は言います。

「『蓋』あったでしょ?」

実のところ、私は蓋をイメージできていたのです。そしてそれが、1センチ、2センチと少しずつズレていき、端から黒い空間が視え始めて来たときに、友人のアホな一言で我に返ったのでした。
確かに図星で、したり顔でそんな事を言う彼女に、なにか感じていたのかな?と思いつつ、一緒にファミレスをあとにて駅へ。

電車の中、彼女は「存在証明しろと言った友人」の事を話してきます。
「彼は蓋を開けたんじゃないかな? でも自己責任だから知らない。」
「そもそも、霊の存在証明なんて失礼な話。ずっと後ろにくっつけてて何言ってるのか理解ができない」
そう言った彼女は心の底からのため息を吐いて、自分の家のある駅で降りて行きました。

一人になり思ったのは、「いや・・・普通に違うんじゃないかな?」と。
多分ですが、「私は特別よ」というような発言にイラッとしただけだと思うのだけど、なんでそんな事になってしまうのでしょうか?
ちなみに「蓋」が開いたのをイメージできたからといって、霊が見えるようになった訳ではありません。それで幽霊が見えるようになれば、想像力のある人は全員、霊能力者でしょう。あしからず。

この事があった後、グループと彼女は距離をおくようになったのですが、私には変わらず話しかけてくるのでした。
まあ思春期にありがちな事なのでしょう・・・と終わらせらない事がおきました。
その恐怖体験はまた別の機会に。

※画像はイメージです。

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