よみがえる空 -RESCUE WINGS- エピソード3~4

(C) 2006 よみがえる空 -RESCUE WINGS- バンダイビジュアル
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『よみがえる空 -RESCUE WINGS-』は2006年にテレビ東京系で深夜に放送された12話のアニメ作品です。DVDでリリースされた際に外伝が追加され、全13話となりました。

石川県にある航空自衛隊・小松救難隊を舞台にして、レスキューを生業とする自衛官の仕事と、彼らを取り巻く人々の姿を描いています。

エピソード毎に4回に分けて、あらすじと見どころを紹介します!

エピソード3

第5話 必要なこと

東京に戻っためぐみは東京の書店を回る営業の仕事に奔走していました。
その彼女のもとには、一宏に押し付けるように渡した携帯電話からメールが入るようになりました。

彼女に語る一宏の言葉から、救難隊の厳しい訓練風景が描かれていきます。

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叱責されるばかりの訓練を終えて基地に戻った時。
彼の反省の言葉は誰にも伝わりません。

彼を見る本郷の言葉には容赦がなく、腑抜けた一宏をメディックの山岳訓練に同行させることになるのです。
重たい荷物を背負っての登山は、パイロットとして鍛えていたはずの一宏のプライドを打ち砕きます。

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メディックの強靭な体力は、一宏に敵うものではなかったのです。
その面々と火を囲んで語る時間は、一宏にとっては意外なことばかりでした。

自分の乗っている自転車(モールトン)が話題になったり、めぐみのことを茶化されたり。
周囲はそれなりに彼のことを気にしてくれていることに、本人だけがまだ気づいていない、そんな状態だったのです。

登山道の途中ですれ違った高齢の夫婦の妻が足を負傷して動けなくなったとき、彼らの本領が発揮されます。

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ベテランのメディックの的確な処置と判断、そして本郷の操縦士としての技量のすさまじさを目の当たりにして、自分に足りないものの本質を一宏は悟りました。

そしてめぐみにひと言、メールを打つのです。
『自分はまだまだだ』と。

みどころ

メディック(救難員)という職種の人々はただものではありません。
彼らは、海難事故でも山岳救難でも、身一つでその現場に飛び込んでいくのです。

この話では、その仕事の厳しさの一端を、訓練風景と共に、実際の『遭難者』を助ける活動で見せてくれます。

その訓練は陸自のレンジャーをも超えると言われるレベルのものですが。
それを乗り越えた先にある彼らの自身と自負、堂々とした佇まい、そして笑顔。

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本郷を始めとする『プロ』の仕事を目の当たりにして、一宏の中にあった諸々の感情が動き出しました。
まさに『必要なこと』、自分に何が足りていないのか、それを自覚し始めたのです。

エピソード4

第6話 Bright Side of Life(前編)

いきなり、モノクロームの画面から『ひょっこりひょうたん島』の軽快なメロディが流れ始めて驚かされます。

1993年、千歳でF-15が墜落。
本郷の過去が明らかにされていきます。

彼が『F転(えふてん)』と呼ばれる、戦闘機から機種転換して救難ヘリの操縦士になった、その軌跡が明らかにされていく物語です。

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冒頭、井上という若いパイロットが亡くなったその事故で、本郷は海上にパラシュート降下して一命をとりとめたのです。

『ひょっこりひょうたん島』は、彼が『自分が死んだときにはこの歌で送って欲しい』と希望していた歌だったのです。

本郷はお盆に千歳の井上家に弔問に訪れ、妻とその遺児に会うのでした。

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なぜ自分が生きているのか。
自分だけが助かったのか。

そんなことを自問自答している本郷の表情は、内田に見せている厳しさとは違って、翳りを帯びていました。

お盆休みを経て、一宏がめぐみや両親と穏やかな時間を過ごして再び訓練の日々が始まった頃、基地に警報が響き渡ります。

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レーダーロスト、場外航空救難発令F-15が日本海に墜落したのです。

第7話 Bright Side of Life(後編)

墜落した機体の捜索は続いていました。

天候が悪化し、波が高く発見に手間取っていた頃、尾翼が発見されて墜落が確定し、基地の管理部長は操縦士の熊田の妻に報告するために自宅に向かっていました。

結婚してまだ1年という若い妻は、その車を見て何が起こったかを悟るのでした。

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洋上では、本郷と内田が組んで捜索を続けていました。
やっと発見された要救助者らしきもの…もう一人の操縦士、芹沢は既に亡くなっていたのです。

彼を収容した本郷は、自らが海に投げ出されて救難ヘリに助けられた時の記憶を辿っていました。

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バードストライクという不可抗力による事故ではありましたが。

それで大きく運命が変わったことを、そして今自分がいる場所と、その意味を噛み締めていたのです。夜を徹して捜索が続く中、めぐみは一宏を想っています。

彼女なりに空自のことを調べ、そして救難を理解しようと努力している姿が描かれています。

朝になり、天候が回復する中、一宏たちはやっと熊田のもとにたどり着きます。

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黒木が降下していくなか、白拍子が『生きてる!生きてる生きてる!生きてるよぉっ!』と叫び、熊田の生存が確認されたのでした。

長い1日がやっと終わったのです。

その週末、救難隊の親睦会が行われていました。
本郷がカラオケで指定したのは『ひょっこりひょうたん島』。
彼にとってそれは事故で亡くなった井上三尉の追悼の歌でもあったのです。

みどころ

全編通して、もっとも人気のあるエピソードがこの前後編なのだそうです。

危機的状況の中で本郷の過去と、一宏が直面している今が交錯し、二人の距離がすこしずつ縮まっていくのです。

『ひょっこりひょうたん島』の歌は、オリジナルの音源を使うために権利関係の調整がとても大変だったのだそうです。

しかし、大きな効果をもたらしたその選択は間違っていなかった、と思います。

ことに後編の終盤、カラオケで本郷と一宏が歌うそのメロディに救難隊の皆が声を合わせた大合唱になり、そのままエンドロールに入っていく流れは、前編冒頭のそれと同じ歌とは思えない味わいがあります。

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私は、この話を見て以来、トラウマスイッチともいうべきレベルで、この歌を聞いたら泣きそうになります。
それほどの重みをこの軽妙な歌に載せてしまった、この物語の凄さを思うのです。

また、濃やかな描写も忘れられません。一宏とめぐみは岡山の実家に帰省しますが、その岡山弁で語り合う二人は以前の学生時代に戻ったかのように朗らかでした。

そこに立ち返ることで緊張が解けたかのようです。

殉職してしまった芹沢一尉に関しては短い描写のみではありましたが、彼の為人を表すアイテムがありました。

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ブライトリングのパイロットウォッチです。ドラマ『空飛ぶ広報室』で綾野剛さん演じる空井大祐が同じブランドの物を着けていました。

世界的に知られているパイロット仕様の腕時計なのです。

持ち主が亡くなるほどの衝撃があったはずなのに、その時計は正確に時を刻み続ける。

その様子を見て、駆け付けた芹沢の父が『惨いことだ』と呟くのです。

熊田の発見、そしてその生存を知った時に白拍子が叫んでいた『生きてる!』というセリフは、実はアドリブなのだそうです。

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おもわず口をついて出ていたらしいその『生きた言葉』は、その臨場感を増幅させ、心を揺さぶる力を持っていました。

この場面は私の、全編通してもっとも好きなシーンです。


Writing by 桜華
映画とミリタリー(特に航空機)大好きです。