よみがえる空 -RESCUE WINGS- エピソード5~6

(C) 2006 よみがえる空 -RESCUE WINGS- バンダイビジュアル
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『よみがえる空 -RESCUE WINGS-』は2006年にテレビ東京系で深夜に放送された12話のアニメ作品です。DVDでリリースされた際に外伝が追加され、全13話となりました。

石川県にある航空自衛隊・小松救難隊を舞台にして、レスキューを生業とする自衛官の仕事と、彼らを取り巻く人々の姿を描いています。

エピソード毎に4回に分けて、あらすじと見どころを紹介します!

エピソード5

第8話 少年の旅路(前編)

時は流れ、山の色が美しく色づく秋がやってきました。

小松救難隊の紅葉狩りを控え、一宏とメディックの鈴木がその下見に山に自転車でツーリングに来ていたのです。

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山岳訓練で一宏のモールトンを羨ましがっていた鈴木と二人での輪行は、しかし一宏にとってはメディックの『化け物』ぶりを体感するには十分な苦行ともなりました。

顔色一つ変えない鈴木に苦笑するしかない一宏でしたが、そんな二人の前にパンクして立ち往生している学生服の少年がいたのです。

彼は吉岡悟。

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父子家庭という環境と、受験に追い立てられて部活を辞めさせられた閉塞感から万引きをして咎められ、ふっとそこから逃げるように自転車を走らせて来ていたのです。

鈴木は彼を誘い、しかし自分は山の上まで自転車で、一宏と悟はロープウェイで向かうことになるのです。

同じゴンドラには、幼い子供を連れた夫婦と、派手な男女、そして老夫婦が乗り合わせることになりました。

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そして、大きな衝撃がゴンドラを襲うのです。
ロープウェイが停止し、故障が告げられました。

警察・消防が手を出せない状況の中で天候は悪化、一宏たちの脱出は困難になっていくのでした。

第9話 少年の旅路(後編)

救助袋を使ってゴンドラからの降下を試みた一宏たちでしたが、ゴンドラのアームが外れかかり、6名を残して完全に手詰まりとなりってしまいました。

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災害派遣要請を受けて到着したUH-60J、コールサイン『ヘリオス78(セブンエイト)』を飛ばしていたのは本郷でした。

『おっかないやつが来たぞ』と悟に呟いた和弘の声音には、しかし、本郷への全幅の信頼が寄せられていたことを、恐らく本人は気づいていなかったことでしょう。

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UH-60Jの性能は国内では警察・消防の保有する機体では太刀打ちできないレベル、ダントツです。

ゴンドラごと吊上げて地上に下ろす、という無謀とも思える作戦を展開していく彼らの言葉と姿に、悟はある決意をします。

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この物語は、鈴木が悟を見て『自分探しの旅か!』と評していたのとともに、一宏自身が『要救助者』となり、自分の『仕事』を見直すきっかけになった事件ともなったのです。

みどころ

実際にロープウェイのゴンドラを吊上げて下ろす、という“事件”は過去に起こっていませんが、UH-60Jのスペックは十分にそれを満たすものであると言われています。

しかし、この作品を制作しようとした時に、モデルになる場所を探して取材を申し込んだ時、ロープウェイの運営会社側には悉く断られたとのこと。

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『ロープウェイはそんな事故を起こしません!』と言われ続けたそうで、この現場は架空の場所、架空のロープウェイで描かれています。

日頃恐れている本郷の存在の頼もしさに安堵する一宏の口元の笑みや、悟らに対する気遣いの描写は濃やかで、地味な展開ながら、とても丁寧に作られている二話でした。

エピソード6

第10話 パーティ

めぐみは新しい本の原稿に取り組んでいました。

わくわくする仕事の裏側で、営業成績が振るわない小さな出版社では、決算の時期が来ると、残酷な決断…在庫の処分を迫られるのです。

クリスマスが近づく街のなかで、どうしたら『良い』と思うものを人々に手に取ってもらえるのか、そんなことを考えていたのです。

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一宏は思いがけず本郷の自宅に招かれて食事を共にします。
家族の前にいる本郷の姿、愛娘に微笑む表情はそれまでに見たことのないものでした。

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その頃、晴天の雪山・穂高岳に、一組のパーティがいました。
大学の山岳部の一行です。卒業生3名と、現役の学生が1名。

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少しずつ天候が崩れる中、ペースが遅れて焦った学生・武田が滑落、パーティは遭難してしまうのでした。

第11話 ビバーク

山岳部パーティのリーダー恒松は武田に付き添い、残りの二名、工藤と望月が電波の届くところまで移動して救助要請を行うために現場を離脱しました。

その頃、小松救難隊のウエザーブリーフィングでも低気圧の様子が報告され、フライトがキャンセルになっていました。

本郷は一宏に『お前はいつもどんな目で空を見ている?』と問うのです。
『ヘリパイの目で見ているか?』と。

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猛吹雪の中で工藤と望月は、やっとのことで県警に通報、救助要請を行いました。
常松はケガをした武田をかばってビバーク、救助を待つ決意をしました。
低体温で朦朧とする武田の様子に叫ぶ常松の声は、誰にも届きません。

一方、穂高岳の山荘に向かうはずの工藤らは県警のヘリを見たものの、気づいてもらえず、さらなる遭難状況に突入してしまうのです。

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小松救難隊に救助要請がなされるなか、常松の目の前で武田は凍死、残りの二人も雪に埋もれていきました。

『無事でいるでしょうか…』

そうつぶやいた一宏に、本郷が応えます。
『俺たちの仕事は生死を詮索することじゃない。見つけ出し、助け出すことだ』

最初に発見されたのは、既に冷たくなった工藤と望月でした。

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そして一宏らが飛ばしているヘリオス78の目の前に現れたのは、常松の姿…あと少しで救助できるかと思われた瞬間、乱気流に巻き込まれ、離脱せざるを得なかったメディックの目に映ったのは常松の絶望した瞳だったのです。

第12話 レスキュー

もう一度トライさせてほしいというメディックのリコメンドでしたが、ミッション中止の命令が下り、一宏たちは工藤らの遺体を積んで松本空港に戻りました。

みな一様に、体感温度マイナス25度と言う環境下に取り残されてしまった常松の身を案じていましたが、身動きできないままに時間が流れていきました。

小松救難隊の地上部隊も松本空港まで進出し、全面展開していく中で、低気圧が二つ玉になり天候はさらに悪化していったのです。

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常松の両親らも『もっと早く山なんてやめさせときゃ良かった…』と悔やむものの、状況は変わりません。

夜が明け、再び一宏たちは総出で山に向かいます。

わずかに晴れてきた山の上で、本郷らは常松を発見、ピックアップにメディックの黒木が降下します。

切り立った岩山の脇で展開するミッションで、常松は生存を確認されましたが、彼は武田を先に載せてくれ、と哀願します。

黒木はその彼を説き伏せて収容するのですが。

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頭上の崖からの落石があり、コックピットのウィンドウが破損、本郷が負傷したことで、一宏が操縦を変わり、帰投・・・それぞれが苦い思いを抱えて、事態は収拾したのです。

『生きていくのは、なかなか厄介なもんさ』
病院に収容された本郷は、常松とその家族らを思って一宏に語ります。

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F転からヘリの道に進んだ本郷と、不本意ながらそのあとを追うように歩く一宏でしたが。いつか同じものを目指して空を飛べる、そんな予感が見えた終焉でした。

エンドロールに一つの言葉が記されます。

“That Others May Live”=『他を生かすために』

その言葉を胸に、今日も全国の救難隊ではリアルに厳しい訓練に励む隊員らの姿があります。

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この物語は、フィクションではありますが、まさに彼らの日常を切り取った姿そのものともいえるでしょう。

みどころ

雪山での遭難というのは、一般にはまず滅多に行き当たる事象ではありません。
しかし、航空自衛隊の救難隊では“それ”が起こり得ることを前提に日々訓練を積み重ねています。

春に小松基地に配属されたばかりの頃には、一宏は現状を受け止められず、『空』に見放されたような思いで飛んでいました。

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しかし、メディックらや本郷たち先輩の姿や言葉にさまざまなことを学び、模索するようになっていったのです。

そんな彼が遭遇した常松らの山岳事故は、4名のパーティでサバイバーがたった一人、という厳しいものでした。

しかも生き残ったのはリーダーの常松だったことで、本郷も一宏も、これから先の彼とその家族が背負うあろう日々の辛さを思うのです。

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ラストシーンで、一宏の前に現れた悟は『メディックになる』と宣言します。
めぐみもまた自分の企画が通って新しい仕事の局面を迎えていました。

淡々とした物語の中で、しかし彼らはみな少しずつ前を向いて歩き、終わりのない日々のまだ途中にいるのです。


Writing by 桜華
映画とミリタリー(特に航空機)大好きです。

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