未だインターネットの普及も無い1990年代初頭に、本国アメリカはもちろん、日本でも地上波TVで大反響を呼んだミステリードラマの金字塔が「ツインピークス」だ。
それから凡そ四半世紀を経た2017年からアメリカで放映されたのが、今回紹介したい「リバーデイル」で、現代版の「ツインピークス」との呼び声も高い。
「リバーデイル」の概要
「リバーデイル」は本国アメリカでは2017年から2023年にかけて7シーズンが放映され完結を迎えたTVドラマであり、現在の日本では制作を担当したNetflixのオリジナル作品として配信が行われている。その為視聴者層はNetflixの契約者に限定されるものの、かつての「ツインピークス」の現代版との呼び声も高いミステリー作品である。
この両者の共通点は、何れも架空のアメリカの田舎町を舞台とした物語で、タイトルがその架空の町の名を冠している部分が先ず共通している。
そして群像劇ではあるものの、メインの登場人物はその町に住む高校生達であり、物語の冒頭でその中の一人が遺体で発見され、その犯人が誰なのかを残された主人公たちが追いかける展開も共通している。
「リバーデイル」の冒頭
「リバーデイル」においては物語の冒頭で、町で最も裕福な一族の跡取り息子である高校生の射殺された遺体が発見され、その犯人が誰なのかと言う点が最大のマクガフィンとなっている。
これは「ツインピークス」のあまりにも有名な被害者ローラ・パーマーとほぼ同じ構図であり、被害者がの性別が男女という違いを除けば本当に良く似ている。
しかし「ツインピークス」ではその事件の解決の為にFBI捜査官が派遣されてくるが、「リバーデイル」においてはそうしたキャラクターは出てこない。
「リバーデイル」と「ツインピークス」の相違点
「ツインピークス」と「リバーデイル」の相違点と言うと大袈裟かも知れないが、やはり「リバーデイル」は現代の作品だけに如何に視聴者を飽きさせないかと言う点に主眼が置かれているように感じられ、「ツインピークス」のように緩やかにある種淡々と事件の捜査が進むのとは対照的に1話の中でも登場人物たちの立ち位置や関係性が二転三転する忙しなさが目に付く。
これは悲しいかな日本を含め昨今のアニメやドラマでも再三目にするジェットコースター的な展開とも言え、見方によっては奇をてらった展開で視聴者を飽きさせないと言う風潮に後押しされた、些か拙速なシナリオとも言えなくもない。ちょうど日本のアニメでも賛否両論がある、「コードギアス」のように。
「ツインピークス」と「TV版新世紀エヴァンゲリオン」
かつて「TV版新世紀エヴァンゲリオン」が深夜帯での再放送を機に、話題を集めた当時はその謎が謎を呼ぶ展開をして、「ツインピークス」と重ねて語られる事も多かった。
実際には物語上の内容に両者の共通点はほとんどないと思えるのだが、新感覚ミステリーと言う意味でそのように論じられる事も多々あったように思う。「リバーデイル」はその意味では余程「ツインピークス」の雰囲気をオマージュして制作された作品と言え、一件の価値はあると個人的には勧めて見たい稀有な最近の海外ドラマである。
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