SF兵器が現実に!米軍の「神の杖」とは?

古今東西、SF作品には従来の兵器の枠を遙かに超えた「新兵器」・「超兵器」が数多く登場するが、今回ご紹介したいのもそうした近未来兵器の一種である。
大まかには、宇宙空間に打ち上げられた軍事衛星から地上に向かって放たれる金属製の飛翔体のことなのだが、アメリカ軍が極秘に開発していると唱えられてきた兵器の事だ。

そもそも「神の杖」とは?

「神の杖」は英語表記であれば「Rods from God」であり、1960年代以降に徐々にアメリカ軍が開発を行っているとまことしやかに語られ今に続く、ある種の想像上の産物と言える。
こうした言説が見られる様になったのは、当時のアメリカと旧ソ連との熾烈な宇宙開発競争が時代背景にあったことが一因と見られ、核兵器の脅威を更に一歩進めたものだろう。

前述の様に、大気圏外に打ち上げられた軍事衛星から「神の杖」と呼ばれる金属の棒を地球上の敵に対して打ち出すことで、超音速の落下エネルギーを帯びさせ攻撃する仕組みだ。
「神の杖」の逸話が人口に膾炙されていったのは、実際にアメリカ軍の研究所がこうした原理の兵器の研究を実施した経緯があったことが大きく寄与したと考えられる。

しかし実際には当時の技術では費用対効果が見込めず、また1967年に発効された国連決議・宇宙条約によって、そうした兵器への制限が課せられた為、具体化はしていない。
但し2000年代に入りアメリカ国防総省がこうした兵器の費用的な側面を肯定する姿勢を見せたことで、俄に「神の杖」の実在が再び一部の間で囁かれ始めた。

「神の杖」の想定上の構造と威力

「神の杖」の本体は全長約6.1メートル、直径約30センチメートル、重量約100キログラムの筒状の形態だと言われており、材質はタングステン若しくはチタンとする説が多い。
これにウランを混合したもので作られていると言われ、現在の戦車砲の砲弾としてアメリカ軍のM1エイブラムスなどで実用化されている劣化ウラン弾を彷彿とさせる。

底部には推進用のロケットエンジンを備え、高度約1,000キロメートルの宇宙空間上の軍事衛星から発射され、その最高速度はマッハ10に迫ると言われているようだ。
しかし想像すれば普通の人間の体の密度でも、例えば身長180センチメートルで体重100キログラムは十分にあり得る事を考慮すれば、大きさの割に重量が軽すぎる感は否めない。

そのため「神の杖」を軍事兵器として見た場合、物理的・科学的な見地からの試算では、威力・効果ともに薄いとする見方が有力であり、積極的に支持する声は少ないと言える。
それでもその威力は、核兵器並みの破壊力を発生する上、地中深くに設けられた施設などにも有効だとされており、こちらは湾岸戦争等で使用されたバンカーバスター風にも思える。

ギリシャ神話の中の「神の杖」

ギリシャ神話においては青年神であるヘルメスが持つ「ケリュケイオン」という名称の杖が、「神の杖」として最もよく知られているアイテムのひとつだと言うことができる。
この「ケリュケイオンの杖」は、神であるヘルメスが保持しているだけあって、死者さえも蘇らせる程の魔力力を持ち、短い杖に2匹の蛇が螺旋状に巻き付き、上部には翼が描かれている。

「ケリュケイオンの杖」は、商取引と交渉のバランスの取れた状態を表わすとも言われており、以後の中世の占星術や錬金術の隆盛の中でもそのれを象徴するものとして語り次がれてきた。
またギリシャ神話には医者であるアスクレピオスが持つ杖も「神の杖」として存在し、こちらは1匹の蛇が巻き付いたデザインで知られ、西欧では医療を象徴するものとして使用されている。

これらギリシャ神話に登場する「神の杖」と、想像上の兵器である「神の杖」の共通項を見出すことは困難だが、ある種の絶対的な力を現わす意味でそうした名称が用いられてきたのかも知れない。

創作の見る「神の杖」をモチーフとした兵器

「神の杖」を想起させる兵器は数多いが、殊に日本では絶大な人気とシリーズを誇る「機動戦士ガンダム」の1シーンを思い浮かべる方が多いのではないかと推察される。
「機動戦士ガンダム」では宇宙空間に浮かぶ巨大なスペースコロニー自体を、一種の兵器として地球の目標地点に落下させており、オープニングの背景にもその残骸が垣間見える。

同攻撃はオーストラリア大陸に甚大な被害をもたらした事が示唆されており、後に続くシリーズの中でもこれに準じた攻撃手法が登場するなど、多くの方の記憶にも残っているだろう。
スペースコロニーは巨大であるが故に、地球への衝突の被害はもちろん、それが落下してくることで人々の恐怖心を駆り立てる精神的なダメージも狙いのひとつだろうと思える。

このため大きさという点では、一般に流布している「神の杖」との共通点は実は薄く、あくまで宇宙空間から落下してくる脅威という点がモチーフだと言う解釈の方が合理的かも知れない。

※画像はイメージです。

最新情報をチェックしよう!