あの部屋で起きた事

私が実家を出て、アパートで初めて一人暮らしをした時の不思議な話です。

はじめて借りた部屋

20代半ばの頃、初めて実家を出て、賃貸アパートで一人暮らしを始めました。
六畳の二間で畳の部屋と台所、建物が古く家賃は安い。ただ高台に立地して、最上階の4階だったの事もあり、見晴らしと日当たりが抜群のいい部屋でした。
部屋と部屋の仕切りにアコーディオンカーテンがあったのですが、色あせてボロかったので、外して押し入れに入れておきました。

暮らし始めてすぐに、毎晩金縛りにあうようになりました。金縛りは高校生の時からたまにあっていたのですが、毎晩というのは初めて。
不思議なことに、毎晩突然「スッ！」と急に目が覚めて時計をみるとたいてい午前3時前後、その時必ず台所の蛇口から「ポターンポターン」と、水が落ちるのです。
気持ちが悪いので、毎晩寝る前に必ずきつく閉めておくのですが、目が覚めると必ず水が落ちる音がする。

周りの友人や家族に相談したのですが、みんな「初めての一人暮らしで神経質なってるんじゃない？疲れてると金縛りになるよ！」と言って聞き流されていました。

嘘つき！！

そしてとうとうあの出来事が起こりました。
いつものように金縛りにあったのですが、その日は体を･･･ひょっとしたら体ではなくて魂？？だったのかもしれません。幽体離脱なんて話を聞きますけど、そんなイメージで身体を「フワッ」と天井まで持ち上げられた感覚がしたのです。怖くて目は開けられなかったのですが、確かに身体がかなり浮いて、天井が目の前に迫っている感覚がありました。

その時、耳元で若い女の人の声でハッキリと「噓つき！！」と言われ強制的に目が覚めた。そこからは部屋の電気をつけて、朝までずっと起きていた。
流石にもうこの部屋では怖くて過ごせないと思い、友人宅を泊り歩いたり、夜中もずっと電気をつけて眠るようにしていました。

占い師の話

そんな日々が続いて疲れ切っていた頃、友人に誘われて占いに行った。
その占い師の方は女性で、ふつうの主婦なのですが、幼いころから人の無くしものの場所がわかったり不思議な能力があり、ご家族が仕事や学校で家にいない時間だけ、口コミで来てくれた人を占ってくれるという方でした。

友人は定期的にみてもらっていたので、私の不思議な体験を聞いて誘ってくれたのだと思います。
私は占い師さんに今まで家で起こった奇妙な体験をすべて話すと、「今、部屋の間取りが見えてるんだけど、玄関の直線上に同じくらいの大きさの窓は無い？」とたずねてきます。

玄関の前は壁になっていて、右の扉から部屋に入るけど･･･ふと思いだした。畳の部屋の窓と、台所の部屋の窓は向かい合った直線状にある。

窓とその先に

「同じ大きさの窓が向かい合ってます。」と答えると、占い師さんは納得した表情で「どっち側かに墓場があるんじゃない？？」とさらに聞いてきました。

墓場は無いはず･･･と思い出していると、墓場ではありませんが、台所の部屋の窓からは市民病院がよく見えます。
「市民病院があります！」思わず声をあげると、占い師さんは落ち着いた様子で「そこが通り道になってるよ。」と。「窓と窓の間に仕切りをして。じゃないと、そこからどんどん通って行っちゃうよ。」と言われて、私は色あせたアコーディオンカーテンを押し入れにしまった事を後悔しました。

私は部屋に戻ってすぐアコーディオンカーテンを押し入れから引っ張り出して、元の位置に取り付けて仕切りに。
そして言われたとおり、二つの窓の両隅に盛り塩をし、占い師さんが3日断食をして作ったお線香を焚きます。
焚いている間に眠ってしまうと身体に入られてしまうというので、起きているように気を付けるのですが、少し興奮している事もあって眠くはなりませんでしたね。

それからというもの

本当に不思議なのですが、それからはたまに金縛りにあう事はあっても、毎日という事は無くなり、午前3時前後に目が覚めることも、水道の水が落ちる音を聞くことも無くなりました。

ただ思うのは、閉めるのを忘れてアコーディオンカーテンを開きっぱなしにしたからと言って、元のような事はおきませんし、「噓つき！！」と誰がどうして言ったのかは未だに不明のままです・・・まあ余り評判の良い病院ではなく、「死人病院」さえ言われているので、怨念のような物の通り道になったいたのでしょう。
それをアコーディオンカーテンだけで仕切れるのは、正直な気持ちですこし滑稽な気もします。

しかしながら恐ろしい気持ちは消えませんので、契約期間の2年が満了になると同時にすぐ引っ越しをしました。
あの時、占い師さんにみてもらわなかったら、2年間もあの部屋には住めなかったと思います。ただ根本的な解決になっていないのは気がかりですが、そのままだったら、もっと怖い思いをしたのではないかと？今でも思います。

※画像はイメージです。