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両面宿儺とは何なのか?伝承と洒落怖の双方から考察

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マンガやアニメが好きな人であれば、「両面宿儺(リョウメンスクナ)」という名前を一度は聞いたことがあるでしょう。もしくは、2chのオカルト板で知った人もいるかもしれません。
現在ではマンガのイメージが強い両面宿儺ですが、実際の所、古くから残る日本の伝承に登場する怪物です。
両面宿儺という存在についてご紹介し、伝承と2chの書き込みの双方から解説していきます。

目次

両面宿儺とは何なのか

両面宿儺とは一体どんな存在なのでしょうか。

ここでは、伝承に残るものと2chの書き込みの双方からご紹介していきます。2chの書き込みに関しては簡単なあらすじも書いていきますので、気になった人は原文も読んでみてください。

『日本書紀』&飛騨に残る伝承

まずは日本に残る伝承から見ていきましょう。両面宿儺は日本最古の歴史書である『日本書紀』と、主に飛騨(岐阜県)辺りに残る伝承に、その姿を見ることができます。

『日本書紀』では、両面宿儺は飛騨国に住む天皇に従わない人だと記されています。その見た目は、1つの体に、それぞれ反対側を向いた2つの顔、4本の手と4本の足を持っていたとされており、おおよそ人間離れした怪人でした。

これは後に細かく解説しますが、「天皇に従わない」という描写から、逆賊とされた人々を怪物として書き残したものと考えられます。

飛騨地方に残る伝承には様々なものがありますが、『日本書紀』に書かれているものとは人物像が大きく異なります。2つの顔や複数の手足を持つ異形の見た目をしていても救世観音の化身とされていたり、戦で討ち死にをした豪族であったりします。

当時の国目線と地方の人々の考え方の違いが如実に表れており、当時の歴史を知る上でも面白い題材だといえるでしょう。

2chの洒落怖で語られた物語

両面宿儺は、2chの洒落怖でも「リョウメンスクナ」というタイトルで語られています。かなり印象的な話ですので、以下で簡単なあらすじをご紹介していきます。

あらすじ

建築関係で働く「俺」は、岩手県の古いお寺を解体することになりました。解体作業の途中、「俺」は同僚が見つけた古い木箱を目にすることになります。その木箱には、梵字や読み取れない文字が書かれていました。

次の日、「俺」は木箱をアルバイトが勝手に開けてしまったことを知らされます。現場に駆け付けると、放心状態のアルバイト2人がいました。そして木箱の中には、シャム双生児のような異様な見た目をしたミイラが入っていました。

現場に現れた元・住職は、そのミイラを「リョウメンスクナ様」と呼んでいます。「俺」や同僚はその場でお祓いをしてもらいましたが、アルバイト2人は助からないであろうと告げられました。

その後、アルバイトの1人は心筋梗塞で死亡、もう1人は精神病院に送られました。「俺」も釘を踏んで怪我をし、作業員にも謎の高熱を出すものが相次ぎました。

自身が見たものに興味を持った「俺」は、住職の息子に連絡を取り、ミイラの話を聞くことになります。その内容は、呪いや外法に満ちた、非常におぞましいものだったのです。

両面宿儺について、キーワードから解説&考察~まつろわぬ民と蟲毒~

ここでは、伝承と洒落怖の双方の視点からみた両面宿儺について、2つのキーワードを元に解説&考察をしていきたいと思います。

まつろわぬ民

まずは、「まつろわぬ民」というキーワードについて。

「まつろわぬ民」とは、特定の権力などに従わず、抵抗を続ける人々のことを表しています。歴史や民俗学を勉強したことがある人ならば、一度は聞いたことがあるでしょう。
両面宿儺とは、まつろわぬ民が妖怪として語り継がれた姿とされています。

先にも少し触れましたが、『日本書紀』に登場する両面宿儺は、天皇に従わない人物として書かれています。そのため、難波根子武振熊(ナニワノネコタケフルクマ)が討伐のために差し向けられたのです。

有名な妖怪に「土蜘蛛」というものがあります。土蜘蛛は鬼の顔に虎の胴体、蜘蛛の手足を持つとされる巨大な妖怪で、源頼光(鬼&化け物退治で有名)に倒されました。

土蜘蛛は妖怪として有名なものの、その実際の姿は大和朝廷に与しない地方の豪族たちです。『日本書紀』だけでなく、『古事記』や風土記などに多く登場するなど、当時の朝廷から警戒されていたことが分かります。彼らが異形の存在として描かれたのは、強い警戒感を抱いていただけでなく、蔑みの気持ちが強かったことを表すのでしょう。因みに、一般的な妖怪である『鬼』に関しても、同じ現象が起こったと考えられます。

両面宿儺もまた、朝廷に従わないが故に、化け物的な性質を持たされたのでしょう。そして、非常に手強かったのだと考えられます。でなければ、「4本の手足を持つ、刀を携えた怪人」という描写はされなかったはずです。

洒落怖の「リョウメンスクナ」では、リョウメンスクナと呼ばれるミイラの腹の中に、まつろわぬ民たちの人骨の粉が入れられていたと語られています。

これは、虐げられてきた者たち、そして、負けてしまった者たちの無念や呪いを表現するものなのでしょう。なにより、その呪いを行った「物部天獄(もののべのてんごく)」という名前も意味ありげです。廃仏派と崇仏派で争った物部守屋と蘇我馬子を連想させるからです。

蟲毒

次に蟲毒というキーワードについて見ていきましょう。

蟲毒とは古代中国で行われていた呪術の1つで、毒虫たちを1つの入れ物の中で飼い、共食いを経て生き残ったものを呪いの媒体として使うというものです。そのインパクトの強さから、マンガの題材などに使われることが少なくありません。

洒落怖の『リョウメンスクナ』では、この蟲毒がリョウメンスクナを作る重要な要素として語られていました。多くの奇形が集められ、密室の中で生き残りをかけて戦わされたのです。

しかし、この蟲毒には仕掛けがありました。物部天獄により、最初から生き残る人物が決められていたのです。
人間という生き物は、似たような境遇にある人物には共感を抱きやすいものです。それは、リョウメンスクナたちも同じだったでしょう。そして、その同胞らを殺していくことで、呪いや恨みの気持ちはより強まります。

こう考えていくと、蟲を使った呪術より強く邪悪な、呪いの形が見えるのです。
洒落怖に書かれたリョウメンスクナが本当にあるとは考えていません。しかし、まつろわぬ民たちの思いや、現在の日本と世界の状況などを考えると、決して絵空事とは思えないのです。

両面宿儺とまつろわぬ民

マンガやアニメで取り上げられる機会が増えた両面宿儺について、紹介&解説をしてきました。

両面宿儺とは、恐ろしい怪物に思えるかもしれません。しかし、その背景を調べてみれば、日本の歴史に関わるほの暗いものが見えてきます。そしてそれは、「差別」を悪とする現代にとって、目を逸らしてはいけないものです。

両面宿儺に興味を持ったなら、まつろわぬ民についても調べてみてください。不気味で面白い妖怪談だけでなく、当時の歴史的状況が分かる資料が見られるはずです。

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