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那覇の「栄町市場」でみつけた思いがけないもの

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初めて訪ねた那覇でトレンド情報誌の沖縄特集をもとに訪れた『栄町市場』でも、そこはただの”ディープスポット”ではありませんでした。

以前は夏になると戦争をテーマにしたドラマや映画が公開されたり、子供たちに歴史の本を読ませたりといったムーブメントがありましたが、さすがに太平洋戦争から80年になんなんとする時間が経過すると、人々の記憶から少しずつそうしたものが薄れ、正直「ヤバいな」と感じることが増えました。
そんな日々の中でたまたま訪れた場所が「ひめゆり学徒」に関係する遺構であったと知り、誰かに知ってもらいたくてこれを書いています。

目次

その場所を知ったのは偶然

夫が単身赴任になり、忙しくて自宅に戻れないと言うので、私が初めて那覇を訪ねてた時のことです。
しかし、夫は仕事三昧なので、初めての沖縄を自分ひとりで探検してみようと思い、手始めにゆいレールとバスを駆使して行ける範囲を選びました。
その中で興味を持っていたのが栄町市場(さかえまちいちば)。

春に出版された雑誌『Hanako』の沖縄特集に栄町市場の中にあったコーヒー店がピックアップされていて、手始めにそこに行ってみたいと思ったのです。
ガイドブックとスマホがあれば行けるだろうと思ったのですが、栄町市場は予想を超えた迷路でした。

大通りから少し奥まった一角は闇市の流れをくむかのような古いマーケットと、再開発でリノベーションした小さな店舗がモザイクのように組み合わさったエリアで、まさに『ディープスポット』という言葉がぴったりのカオス。
ぐるぐると歩き回ってようやく目的の場所を見つけたのですが、その途中に気になる場所を見つけたのです。
それは『ひめゆりピースホール』という名前のイベントホールでした。

ひめゆり??

『ひめゆり』___沖縄だから?と思って、その時には深く考えませんでしたが、二度目に行ったときにアーケードの天井にぶら下がった一枚の看板を見つけたのです。
『財団法人沖縄県女師・一高女同窓会』ああ、本当に『ひめゆり部隊』に関係がある場所なのかと思って帰宅後に調べてみたら、現在栄町市場になっている場所は、もともとは戦前に『沖縄師範学校女子部(女師)』と『沖縄県立第一高等女学校(一高女)』があった場所でした。

いわゆる『ひめゆり部隊(学徒隊)』と言われた女学生の隊は、この二つの学校の生徒で構成されていました。
『ひめゆり』とは花の名前ではなく、一高女の広報誌「乙姫」と女師の広報誌「白百合」から作られた呼称なのです。
1945年3月、米軍の攻撃で校舎が壊滅し、周辺一帯が焼け野原になり、戦後は米軍に接収されて資材置き場などに転用され、1955年に商業地として市場が設立され今に至っているのだそうです。

その一角に平和記念財団が『ひめゆり同窓会館』を作ったのが1967年のこと。
戦争を生き抜いた同窓生たちが集い、「母校の誇りを取り戻す場所」として長く愛されてきたのです。
しかし、彼女らが高齢化し、同窓会としての活動が難しくなった時に、その同窓会館が無くなることでひめゆり部隊の記憶の伝承が途絶えることに危機を覚えた平和記念財団が「平和と沖縄の文化を発信するための場所」として『ひめゆりピースホール』と、宿泊施設の『リリィホステル』として改修し、一般の利用が可能になったそうです。
(残念ながら、コロナの影響でリリィホステルは2020年末に閉業しています)

知ってからの栄町市場

そのことを知ってから、改めて栄町市場に行くと、時々、立っているその場所がかつて女の子たちが集った学び舎で、戦争で焼け野原になり・・・という土地の記憶に揺さぶられる気がして、怖くなりました。
今は、昼から飲んでる地元のおじさんたちがいたり、沢山の地域猫がいて観光客を和ませていたりする長閑なこの場所に、わずか70数年前起きたことです。

地元の人は「あまりそういうことは気にせず、この街を楽しんでいってくれたら嬉しいんだけどねぇ」と言っていました。そういう重たいものは自分たちが背負えばよいから、この土地に少し興味を持ってくれたら、それで十分だ、と。
むしろ、どんどん変わっていくこの街のエネルギーを感じて欲しい、とも。

狭い街区に多種多様な店舗が入り、そこを行き交う人々はとても楽しそうで、お店はどこもにぎわっています。
確かに、那覇の中でも人気のディープスポットです。
でも、もしここに来たら、『ひめゆり同窓会館』の看板だけでも探してみてください。
そうすることで、見えてくる沖縄の風景がちょっと変わるかもしれません。

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