あなたはSCP財団をご存じですか?都市伝説や創作が好きなら一度は見聞きしたことがあるかもしれませんね。
今回は怪異好きな人々の心をくすぐってやまない謎の組織、SCP財団とその成り立ちを詳しくご紹介します。
SCP財団は2008年発祥の共同創作コミュニティサイト
2008年、英語圏の大型匿名掲示板・4chanの超常現象板、「/x/」にあるクリーピーパスタが投稿されました。
クリーピーパスタとはインターネット上でコピー・アンド・ペーストを通じ拡散されていく都市伝説のこと。主にホラーに特化し、スレンダーマンやジェフ・ザ・キラー、テッド・ザ・ケイヴァーなどが有名です。
このクリーピーパスタ「SCP-173」に便乗する形で、世界観を共有する作品が続々投稿されました。それがのちにサイトにまとめられ、SCP財団の発足に至ります。
即ちSCP財団とは、世界最大規模を誇るユーザー参加型の共同創作コミュニティサイトなのです。
SCP財団の専門用語や設定を解説
さて、SCPには独自の設定が存在します。
まずは説明したいのはSCP財団の理念。
SCP財団は自然法則を逸脱した異常な生物・物品・現象・場所の捕捉・研究を、世界政府より委任された秘密組織というふれこみであり、上記に挙げた異常な事物はアノマリーと総称されています。
スローガンは確保・収容・保護。
異常な事物または現象が世界に影響をもたらさないように監視し、原因を特定次第早期解決を図るのが、SCP財団が帯びた崇高な使命なのです。財団が収容するアノマリーの危険度は大小さまざまで、世界を滅ぼしかねないものから無害なものまで多岐に亘りました。
さらには特別収容プロトコルと呼ばれる規約が設けられ、これにのっとった報告書の提出を義務付けられています。
危険度を知る目安?オブジェクトクラスとは
SCPの報告書を読んでいるとしばしば目にするオブジェクトクラス。
日本支部には主にSafe(セーフ)、Euclid(ユークリッド)、Keter(ケテル)の三種類が存在します。
危険度はSafe(セーフ)<Safe(セーフ)<Euclid(ユークリッド)<Keter(ケテル)とされていますが、状況により左右されます。
以下、各オブジェクトクラスの解説です。
Safe(セーフ)
現状安全確実に収容でき、活性化しない限り無害と判断されたアノマリー。
しかしこれは被害規模の観点から見たラベリングで、特定範囲や個人に悪質な影響をもたらす例も多いです。
Euclid(ユークリッド)
性質が不明であり、何が起きるか予測不能なアノマリー。収容には困難を伴います。
Keter(ケテル)
財団職員および全人類に著しい危険を与えかねないアノマリー。収容が極めて困難、あるいは不可能な場合に割り当てられるクラスです。
最終的に破壊される事例も多く、ほんの少し扱いを間違えば、世界滅亡に直結しかねない危険性を孕んでいます。
SCPの組織構成、O5評議会と財団職員の序列
SCP財団の首脳陣は05評議会と呼ばれる監督者たち。
彼らは全員セキュリティクリアランス5以上の権限を持ち、財団の実質的指導者として、重大な決断を担っています。
セキュリティクリアランスとは財団の機密情報にアクセスできる権限で、0から5まで存在し、整数が大きくなるほど中枢に食い込んでいます。
現在SCP財団はロシア支部/SCP-RU、韓国支部/SCP-KO、中国支部/SCP-CN、フランス支部/SCP-FR、ポーランド支部/SCP-PL、スペイン支部/SCP-ES、タイ支部/SCP-TH、日本支部/SCP-JP、ドイツ支部/SCP-DE、イタリア支部/SCP-IT、ウクライナ支部/SCP-UA、ポルトガル支部/SCP-PT-BR、チェコ支部/SCP-CZ、繁体中国語(台湾)支部/SCP-ZH、ベトナム支部/SCP-VNの十五か国に展開。
各国支部には実験・観察を行いアノマリーの性質を調べる博士・研究員、アノマリーの調査や回収を目的に現地に派遣されるフィールドエージェント、研究員やエージェントの中から選別された機動部隊員の他、人体実験に使われるD職員が配置されています。
注目してほしいのは最後のD職員。
彼等は死刑囚や自殺志望者の集団で、大半が凶悪な犯罪者。D職員は罪が重いものほど危険な任務に回される傾向があり、基本的に消耗品のモルモットと見なされています。報告書内に「D職員を終了する」と書かれている場合、そのD職員は財団によって処分されていると考えて間違いありません。
恩赦と引き換えに非人道的実験に従事しているとも言われる彼等は、財団に与えられた過酷な任務の中で多くが命を落とし、悲惨な末路を辿りました。
SCP財団の成り立ちはカノン(正典)ごとに異なる
組織としてのSCP財団のはじまりはカノン(正典)と呼ばれる設定に準拠します。
このカノンは数種類あり、各執筆者がそれぞれのカノンをベースに話を発展させてきました。
財団のライバル?要注意団体とは
アノマリーの回収を目的とし、世界の秩序を守るSCP財団ですが、その活動を妨げるライバルもまた存在します。
ここではSCP財団と時に敵対し時に共闘する、代表的な組織をご紹介していきます。
世界オカルト連合(Global Occult Coalition, GOC)
イルミナティやカルト宗教団体が属する国連の下部組織。108評議会と呼ばれる有識者が意志決定権を持っています。
活動目的は人類から異常存在を遠ざけ安全を確保すること。異常存在の徹底破壊を謳い、過激な作戦に打って出ることもしばしば。
カオス・インサージェンシー
財団の機動部隊から派生した組織。財団が収容していたアノマリーを盗んで離反後、貧困地域を中心にレジスタンスへの武器提供や人体実験を行い、世界征服を目論んでいます。
酩酊街
忘却・酩酊・停滞を存在理念とするこの世のどことも知れない場所。一年中雪が降る常夜の街で、忘れられたものが行き着くと噂され、常にお酒の良い匂いが漂っています。
要注意団体に分類されているものの酩酊街自体に害意はなく、最も穏健な団体です。
きさらぎ工務店
酩酊街の理念に反して抜けた鬼の末裔が立ち上げた大工集団。
「我々の素敵な故郷を永遠に残したい」→「村を隔離し、大晦日の一日を無限ループさせる」など発注者の意向を曲解した施工に走るのが特徴で、人間を建築材料(いわゆる人柱)に組み込むなどし、財団の警戒を招きました。
代表作はSCP-480-JP「未完成の山間公園」、SCP-544-JP「孤独な放送室」、SCP-619-JP「ミレニアム・タウン」など。
蒐集院
SCP財団日本支部の成立前から存在し、異常存在の蒐集を担っていた組織。卜占や呪術、神道や修験道に通じ、現在の日本支部の特別収容プロトコルにも影響を与えています。
まずはこれから!初心者でもハマる、おすすめSCPを紹介
SCPは著作権者の表示、利用記事の名前の表示、元記事へのリンクなどの条件を満たしていれば、YouTubeやブログでの紹介も許可されています。
ここではSCP初心者でも楽しめるホラー・ミステリー系の報告書を、YouTube動画を交えご紹介していきます。
SCP-587-JP【死体に非ず】
ある離島に出現した人型アノマリー。他殺の痕跡が残された身元不明死体に島民たちは恐れ慄き、やがて疑心暗鬼に陥って・・・。
SCP-1131-JP【数奇に翔んでごらん】
あるビル周辺に現れる、飛び下り自殺を採点する七人の審査員。彼等の驚くべき正体とは?シュールな発想に脱帽です。
SCP-1283-JP【踏切のむこう】
死んだ人に会える東京近郊の踏切に隠された恐ろしい真実とは……世界の見え方がひっくり返る、衝撃のラストに絶句。
SCP財団をたのしもう!
いかがでしたか?
SF・ホラー・ファンタジー・感動ものなど、奇想の宝庫といえるSCP。誰でも参加できるのが魅力なので、あなたも良いネタを思い付いたらぜひ参加してみてください。
優れた報告書には評価がもらえるかもしれません。
※画像はイメージです。
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