この話は、M県からI県界隈の漁業者には有名な言い伝えです。
海のしきたり
私の父は代々漁船に乗っていた漁師の家系で、子供の頃から当たり前に信じて言い伝えを守ってきました。
その言い伝えとは、海にいる神様は「女性」であり、海で働くのは「男性」しか許されていない。
海の安全を守る神様も女性で、神社に祀られているのも女神である。
その神様は「何よりも血を嫌う」という特性のため、女性が生理の時は参拝してはいけないという決まりでした。
漁船は、海に出る神聖なものと言われ、女性が乗ってはいけないという決まりがある。それは中を見学することも、荷物の運搬で乗ることすら許されないのです。
それは子どもでも同じで、女児だった私は父の船の中を見学することすら許されませんでした。
もしも・・
女性が船に乗ってしまったどうなるのか?
生理中に参拝したらどうなるのか?
それどころか、生理の女性が船に乗ってしまったら・・・?
疑問は尽きず、年に一度の行事、漁船員とその家族で豊漁祈願にある神社へ向かうバスの中、一緒に乗っていたおばさんに尋ねてみると・・・
「嫁に来たばかりのお嫁さんが知らずに乗った船があった。沈没して乗組員全員が行方不明だったよ」
「他の船は豊漁なのに、どうしてもその船だけは魚が取れずに戻ってきたこともあったね」
「生理だったのに安全を祈りたいと、参拝に行った人の旦那が船から落ちて見つかってないよ」
などゾッとする話を聞かされた。
私が余計に言い伝えを信じたきっかけでもあり、同時に恐怖さえ感じてしまいました。
今では
現在では、水産高校の実習船に女子生徒も一か月間乗り込み、時代の流れを感じるところです。
海の神様が祀ってある神社でも「生理だから」と手を合わせない人もいないですし、神聖さを失ってしまうような感覚にもなります。
しかし、私はまだその言い伝えを強く信じており、海の神様の逆鱗には触れないようにしています。
海神様は、どの神様より強烈な強さを持っているような気がしてならないのです。
※画像はイメージです。
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