私が昔住んでいた海辺のある地区では、毎年5月5日の子供の日に必ず行われていたお祭りがありました。
祭りに名前は無いのですが、この日はお祭りをやるから絶対に予定は入れられない。
オカルトというには乏しいですが、他では聞いたことがない祭りなのでこちらで紹介させていただきます。
名も無い祭り
参加するのはその地区の中学生以下の子供が中心、大人は手伝いをするだけで、あくまで主体となるのは子供。
暗黙の了解で全員参加が決められており、もし参加しないとなると子供だけではなく家族までもが裏で、こそこそ言われてしまうのです。こそこそだけでは済まない事もあるのですが、あえて書きません。
お祭りの流れは、朝8時頃までに地区内にある小さな神社に集合し、諸々の準備を開始。お祭りで使うお神輿や神具を社輿庫の中から出しますが、子供が使うのが前提の全て子供サイズなのです。
準備が終わる頃には神職の方が到着し、何を言っていたかは細かく覚えていませんが社の前で何かお祈り?をします。それが終わると、子どもたちは渡された神具を手にして、地域をぐるぐると回り始めます。
祭りの風景
一列に並んで歩くのが決まりで、誰一人として列を乱したり、ふざけたりする子供はいません。
子供の頃に参加した記憶では、周りから感じる空気のような物が重苦しく、そんな事はないハズなのですが、しきたりを破るととんでもない罰が待ち受けているような気持ちになり、そんな事はできないのです。
その道すがらに村民が待ち構えていて、子供が持っている器にお菓子やお金を入れるのです。それ以外は入れてはいけないという決まりがあり、渡されるのは必ずお菓子とお金。
掛け声なども無く、お祭という程の活気はない。ただ黙々と決まった道順で歩いている子供たちに、お菓子やお金を手渡すだけのお祭りで、客観的にみると不気味さすら感じる事でしょう。
お昼ぐらいになるまでその巡回は続き、そろそろいいかなという具合で海辺の決まった場所に向かいます。
そこには神職さんが待ち構えており、同じようにお祈りをし、終わると出発した神社に戻って、お菓子とお金を子供達の間で山分けします。
その分け方も細かく決まっていて、小学生はお菓子、中学一年生は500円、二年生は3000円、三年生は7000円。それ以上でもそれ以下もなく、すべてピッタリの金額を渡されます。
祭りが終わると何事もなかったように解散しおしまいとなるのです。
普通であれば、その後は学校なんかで話題に出たりするのでしょうが、だれも一言も話しません。
話をしてはいけないという決まりはないのですが、話していけない雰囲気が立ち込めているのでした。
土地特有のしきたり?
その土地特有のしきたり・・・いえばそれまでですが、由来や伝承、いつから始まったのか誰に聞いてもわからず、ただただ静かに行われ、誰も伝えようとしないから、このお祭りのことは他の地区の人は誰も知りません。
この事を知ったのは大人になって村を出てから。
異質なお祭りについてはこれで終わりです。
あまり濃い内容でなくて申し訳ありません。
※画像はイメージです。
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