今回紹介するアニメ、「シリアル エクスペリメンツ レイン」は1998年に発表され、アニメ化にゲーム化などの各メディアミックス化、プレイステーション用ソフトなども発売される等で、第2回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞を受賞した作品でもあります。
あらすじ
物語の主人公となる岩倉玲音は、内気な自分の想いを素直に前に出す事の出来ない少女で陰鬱ながらも平凡な毎日を過ごし、少し不和のある家庭環境でも両親はそれなりに優しく、彼女の人生は満たされていたものでした。
そんな中で、彼女はある少女の死を体験します。
それは何のつながりもなく、クラスメイトでもない、まして親しい友達でも無かった「四方田千砂」と言う、一度だけ帰った事のある間柄で何気ない彼女の死が、玲音の心の何かを傾かせてしまいます。
そして死んだ筈の「四方田千砂」からメールが届き、彼女は魂や死について考える様になり、また父親である岩倉康男が彼女に与えてくれたコミュニケーション用コンピュータネットワーク端末「NAVI」が、玲音の人生を大きく変え、彼女に出生の秘密へと繋がっていく事となると物語は大きく進んでいく事となります。
見どころ
この作品の中で描かれているのは玲音の日常が歪みだし、また奇妙な集団に狙われる様になり、彼女のあった筈の身近な日常が壊れていく、その変化が今作の見どころともなっていました。
この作品の世界に存在する文明は、高度に発展したネットワーク社会と現実と区別のつかない仮想空間が存在する。
その仮想の世界には玲音と同じ人格を持つもlainとしての個人の人格を持つ存在に成長し、現実にいる玲音に対して葛藤を抱くなど、彼女を陥れようと動いていくなど、仮想世界と区別のつかない曖昧な現実にこの物語の注目すべき点が存在し、玲音の人生を大きく歪ませ、彼女にある結論を導き出してしまいます。
この物語の奥深さ
それは全ての存在は認識と意識の接続によって定義されつだけの存在で、人はみな繋がれ、個人の記憶とはただの記録にすぎないと、自信の人格の存在を記憶だけのものとして扱う様になってしまい、その結果、彼女は現実の存在を捨てる事となると、この物語の深さが描かれてもいます。
存在と記憶と、魂の在り方をSFを通して描かれ、壊れていく日常に己の存在を見出してく彼女の葛藤が、この作品の面白さを引き立たせています。哲学に似た暗くも微かな輝きが見え、それに縋ろうとする想いに満ちた作品である「シリアル エクスペリメンツ レイン」は、冷たく、そして温もりを求めていく、実に奥の深いアニメでもあります。
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