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防衛省、陸上自衛隊が唯一公に存在を認めている特殊部隊「特殊作戦群」とは?

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特殊部隊と聞けば大多数の方が思い浮かべるのが、アクション映画やドラマでお馴染みの「グリーンベレー」や「デルタフォース」など、アメリカ陸軍の部隊ではないだろうか。これらはそうした映像作品のインパクトと共に、広く人口に膾炙された存在の部隊だが、実は日本の陸上自衛隊内にもこれに互した部隊が存在しており、それこそが「特殊作戦群」である。

「特殊作戦群」は文字通り対テロ対策などの特殊な作戦・非対称戦を遂行するために設置された部隊「群」であり、1998年に提起され6年後の2004年3月に設立された。防衛省及び陸上自衛隊が唯一公にその存在を認めている特殊部隊であるが、その任務の性質上「特殊作戦群」の中身については厳重に秘匿されており情報は少ない。

因みに「特殊作戦群」は英語では「スペシャル・フォース・グループ」であり、その頭文字からSFGや「特戦群」などの略称で呼ばれることもある。

目次

日本における他特殊部隊と「特殊作戦群」

日本において陸上自衛隊の公式な特殊部隊は「特殊作戦群」のみであるが、他の組織には似たコンセプトの元に組織された特殊部隊も存在している。
海上自衛隊は「特別警備隊(SBU)」、海上保安庁は「特殊警備隊(SST)」を擁しており、また警察庁警備部の「特殊急襲部隊(SAT)」はフィクション作品の影響かつとに知名度が高い。

但し海上上保安庁の「特殊警備隊(SST)」や警察庁の「特殊急襲部隊(SAT)」は、あくまでも人質立て籠もり事件等、犯罪に対する警察権限での対応部隊であると言えよう。これに対し海上自衛隊の「特別警備隊(SBU)」や陸上自衛隊の「特殊作戦群(SFG)」は、対テロ勢力との戦闘を視野に入れており、非対称戦とはいえ立脚点が少し異なる。

但しアメリカなどであれば警察の延長か、軍隊の延長かで定義付けられる筈の特殊部隊が、日本では自衛隊は軍隊ではないという建前の為に少し明言しづらい。

「特殊作戦群」の現状と編成

「特殊作戦群」は千葉県の習志野駐屯地を本拠地としており、隊員総数は約300人ほどで構成されており、その内の約200人が直接の戦闘任務に従事する隊員だと考えられる。残りの約100人が後方支援等の間接任務を担うと見られるがこれらが本部管理1中隊と教育隊に相当し、前述の戦闘任務は第1から第3までの3中隊で構成されている模様だ。

陸上自衛隊における「群」は連隊と大隊の間に位置し、複数の大隊若しくは中隊で構成されることが通常だが、「特殊作戦群」は複数の中隊で組織されていると言えるだろう。

「群」の統率者たる役職は「群長」と呼称され、この任にあたるのは1等陸佐であり、これは通常の軍隊で言うところの大佐に相当するものだ。
「特殊作戦群」は2004年の設立時には当時の防衛庁長官の直轄下に置かれ、以後は防衛省の発足と同時に防衛大臣直轄下にスライドしたが、2007年から「中央即応集団」隷下に変更された。

2018年には「中央即応集団」が廃止されたことに伴い「特殊作戦群」は「陸上総隊」隷下に再変更され、2020年の今に至っていると考えられている。

「特殊作戦群」の隊員選出と要件や装備

「特殊作戦群」の隊員となるには陸上自衛隊での空挺基本降下課程、または同課程と特殊作戦課程を終えていることが必須の要件と定めらているが、応募者の10~30%程度しか合格しないと言われている。現在の本拠地である習志野駐屯地は、元々が第一空挺団が駐屯する基地でもあり、当初は陸上自衛隊内でも精鋭とされる同部隊から隊員をスライドさせる形で設立されたと見られる。

現在では広く全国の陸上自衛隊隊員から選出されていると言われているが、肉体的にはもちろん精神面での強靱さも要求され、候補となるのに2週間、さらにその後1年に及ぶ訓練を通じて選出されると言う。

主兵装としては陸上自衛隊の正式小銃である89式自動小銃や、アメリカ軍も使用するM4カービンも保有している模様で、アメリカ国防総省の対外有償軍事援助に基づき調達されていると見られる。一説にはバレットM99アンチマテリアルライフルや、各国の特殊部隊が多く採用するH&KMP5なども装備しているとも言われ、世界的にこれを代替しつつあるMP7なども加わるのかも知れない。

異色であるのは一部の衣服や装具類などについて、隊員が独自に自前のそれらを調達し使用していると言われる点であり、任務の特殊性を鑑み黙認されているのだと考えられる。

「特殊作戦群」の対外的な活動

「特殊作戦群」は設立前の2003年12月に準備に従事していた隊員達の一部が、第1次イラク復興業務支援隊としてイラクに送り込まれ、設立後はその任務を引き継いだとされている。また2008年には沖縄においてアメリカ軍特殊部隊の「グリーンベレー」と合同での訓練を行ったとも報じられており、ここに参加した人員数は約20名程度と見られる。

2016年の伊勢志摩サミットの開催にあたっては、不測のテロ攻撃などに対処する為に近隣の陸上自衛隊駐屯地に待機していたとも言われ、今日を迎えている。

※画像はイメージです。

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