正月に玄関などで飾られる「しめ飾り」。
ありふれた季節のアイテム過ぎてスルーしている人もいるかもしれませんが、実は奥深い正月飾りであることは知っていますか?
例えばしめ飾りといっても西日本と東日本で形状が異なっており、西日本では「ごぼう注縄」というごぼうのような形が、東日本では「玉飾り」という太い縄でつくった輪っかを玉に見立てた形が玄関に飾る定番のカタチとなっています。
それだけでなく地方によっては変わった形状のしめ飾りがあるんですよ。
というわけで今回は「しめ飾り」のトリビアについて迫っていきましょう。
しめ飾りの由来と意外な歴史
神社に赴けば必ず目にする注連縄。
その起源は日本神話屈指の逸話「天岩戸」で天照大御神が二度と天岩戸に閉じこもらないよう、出入り口に張りめぐらせたとされています。
注連縄の材料である藁は9~10月に行われる稲刈りで収穫される稲のなかから選ばれますが、「天岩戸」の逸話を踏まえるとそれだけ古代日本では稲が身近な存在だったことがうかがえますね。
元々藁は日用品だけでなく、祭具にも用いられていました。
その代表格である注連縄は内と外、神域と現世といったように空間を分ける結界の役割を任されています。
さて、その注連縄からどうやってしめ飾りが生まれたのでしょうか?
その経緯は実のところ、難しいものではありません。
まず平安時代から中世に注連縄を正月に飾る風習が生まれ、それが少しずつ広がっていきました。これは「土佐日記」に記述があるので確かですね。
現在のように華やかな形状になったのは江戸時代からだったようで、江戸時代後期の百科事典「守貞謾稿(もりさだまんこう)」などでそのことが記されています。
さらに多様化したのは近代、特に1971年に施行された農業政策・減反政策が原因です。
この政策は米の生産を控えることを求めた政策ですが、当時の農家はしめ飾り用の稲をあえて育てて手がけていったとされています。
しめ飾りにはどんな形があるの
冒頭でお話したように玄関に飾る定番なしめ飾りとして「ごぼう注縄」と「玉飾り」が挙げられます。
しかししめ飾りを飾る場所は玄関をはじめ、神棚や仏壇、小屋など住宅のあちこちに飾られ、その場所によってふさわしいしめ飾りが飾られるんですよ。
そうした玄関以外に飾られるしめ飾りは「輪注連」とも呼ばれていますが、ポイントはそうした輪注連のカタチです。
例えば「のの字」。
これが文字通り「の」の字を書いたようなシンプルな飾りで、台所やお風呂といった水回りと勝手口や車など生活の要所要所に飾られる代物です。
「ここはうちの家の生活圏ですよ」というアピールとともにあまり見慣れない輪飾りがまさに注連縄の代わりになっていると思います。
他にも
杓子
しゃもじやお玉を模したしめ飾り。
「福をすくい取る」という願いが込められているらしい。
めがね
飾りの真ん中あたりで2つの輪っかがあるしめ飾り。
意味は「先を見通す」「見通しがいい」など。
小槌
「打ち出の小づち」を模したしめ飾り。
ごぼう注連のようにも見えるが、こちらのほうが細い先端が上向きになっている。
しめ飾りは縁起物を模すことが好まれているため、このしめ飾りがおとぎ話が由来でも何ら不思議ではない。
また地方によっては鳥や俵などユニークな形もあるんですよ。
締めかざりとは?
正月に飾られるしめ飾りは注連縄が起源ですが、現在のようなカタチになるまで相当の時間がかかりました。
資料が少ないため、いまいち断言できませんが、古代から近代まで私たち日本人の正月行事に寄り添ってくれたのは間違いありません。
そんなしめ飾りの形状は地方によって多種多様で、その願掛けには豊かさや幸福が込められています。
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