原作は南條範夫の短編「駿河城御前試合」だが、原作をリスペクトしつつも山口貴由氏による絶妙で大胆な脚色によって、最高の残虐さを誇る剣術マンガとなった。
このジャンルにおいて本作を越えるマンガはもう現れない・・・気がする、至高の逸品。
駿河城御前試合
舞台は江戸、駿河城で行われる御前試合。
狂った主君の命令により、真剣で行われることになってしまった御前試合は凄惨な闘いとなる。
試合に現れたのは、隻腕の剣士・藤木源之助、それに対するは盲目・跛足の剣士、伊良子清玄。
五体満足でない二人の剣士に、まともな試合ができるかどうか周囲は(読者も)危ぶむが、試合がはじまると、伊良子はみたことも無いような構えをとった。
刀を杖のように地面につきたて、跛足にはさみ、体を捻り込んむ。
片手で刀を抜いて相対する藤木源之助。その表情から藤木はその技の脅威を知らないわけではなさそうだ。
「化け物め!」叫ぶ藤木。
二人にはかつては同門で、深い因縁があった・・・と過去の回想に入っていく。
物語の冒頭では、五体不満足の二人の剣士が御前試合に臨むところから話ははじまるが、なぜ伊良子清玄は盲目になったのか、なぜ藤木源之助は隻腕になったのか、ということが最初の謎。
場面はすぐに二人の出会いまでさかのぼるが、その時点ではまだ二人とも五体満足だ。
圧倒的剣術戦闘の描写
もともと山口貴由は、圧倒的な画力による格闘戦の描写が得意である。
原作の要素である、五体不満足になってしまったところから最大限まで研鑽を積むという要素が、読者が見たことも無いような戦いを見せてくれる。盲目の剣士の戦い方・隻腕の剣士の戦い方が、読者には読むまで想像がつかないのだ。
劇中で出てくる虎眼流の技の数々も胸をときめかせてくれる。
「流れ星」は人差し指と中指の間に刀を挟んで持つ、多くの虎眼流の人物が使う奥義だが、思わずマネしたくなる。
カムイ外伝の「変移抜刀霞斬り」や、FiveStarStorys「飛燕剣」のように、男子は必殺技に燃えてしまうもの。
そこに残酷な描写も本作の魅力の一つで、全身裸なのだが局部を内蔵(腸?)で隠す、というような様式美も独特。
劇画×残酷×剣術×変態=シグルイ
出てくる人物はちょっと頭がオカシイ人ばかりで、みなものすごく強く、個性的な人物達なのだが、伊良子に一人一人倒されていく。
劇画と残酷が受け入れられる方なら、見たことが無いような極上のエンタメを読むことができることは保障する。
剣術と戦闘シーンは、抜群にかっこよく、また理屈に説得力もある。変態的なキャラクターたちがストーリーに花を添える。
藤木源之助と、宿敵・伊良子清玄の闘いがどんな結末を迎えるのか、あなたにも確かめて欲しい。
(C)山口貴由 / 南條範夫 秋田書店


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