サイレンサーとサプレッサーの違いって知ってますか?

スパイ物のアクション映画やドラマなどで、敵に気づかれないように拳銃などの銃口部分に円筒形の器具を装着して射撃するシーンは誰でも目にした事がありますよね?

古くは007などで主人公のジェームス・ボンドが愛銃であるワルサーPPK/Sの銃口に用いたりしていた、そう「サイレンサー」と呼ばれる銃器の消音装置。しかしこの「サイレンサー」、近年は別の呼名である「サプレッサー」の方が多く用いられているようで、特に銃器関係者の間ではその傾向が顕著に思えるのです?

そこでこの「サイレンサー」と「サプレッサー」について、どのような変遷を経て現在に至っているのかを含めて相違点があるのかなど、いくつかの視点で紐解いてみたいと思います。

用語にみる「サイレンサー」と「サプレッサー」

先ず「サイレンサー」はスペル上では「Silencer」であり、沈黙を現わす「サイレンス」のer系であることから、日本語では「消音器」と訳されることが多いのです。
しかしご存じのように「サイレンサー」を装着しても完全にその発射音を物理的に消す事は出来ず、その意味からは間違った用語なのではないかと指摘される事もあります。

次に「サプレッサー」だがスペル上では「Suppressor」であり、抑制を現わす「サプレス」を語源としており、日本語としては「減音器」と訳されることが多いのです。
こちらは文字通り銃火器の発射音を抑制すると捉えることが出来るため、言葉の指し示す印象からは、よりその状態を正確に表現していると感じられるかも?

事実、そうした理由から「サプレッサー」の方が近年は使用される頻度が高まり、人口に膾炙されていったものと考えられています。

技術的に見る「サイレンサー」と「サプレッサー」

前述のように銃火器の発射音を抑制するという意味からは、「サプレッサー」の方が仕組みとしてもその現わす実態に近いと言う事は間違いないでしょう。

実際に銃火器を発射する場合には大きく3種類の音が発生し、1つ目が銃口から生じる音、2つ目が弾丸の飛翔で生じる音、3つめが銃の機関部が動作する音です。
「サイレンサー」や「サプレッサー」はこの内の1つ目である銃口から生じる音を減音させるものであり、3つの中で最も音量が大きい部分に向けて作用するもの。

銃火器の弾丸は装薬の燃焼で弾頭を銃身から打ち出すが、その際に弾頭が銃身から出た瞬間に大音量を出すため、その燃焼で生じるガス圧力を下げることで減音を行っています。

歴史的に見る「サイレンサー」と「サプレッサー」

近年でこそ「サプレッサー」の方が使用頻度が高まってはいるものの、世界初の銃火器用の同商品は「マキシム・サイレンサー」として1909年に特許を得て世に出されたのでした。
この「マキシム・サイレンサー」は名称から推察されるとおり、世界初の全自動式機関銃を発明したハイアル・マキシムの息子が商品化したもので一躍脚光を浴びます。

当時のアメリカでの広告を見ると、時代を反映してレバーアクション式のウィンチェスター・ライフルの銃口に装着された「マキシム・サイレンサー」が描かれています。
ここでのニーズとしては狩猟やスポーツなどでの銃火器の使用時に、耳に悪影響を及ぼす発射音を低減させる目的で開発されており、少数は軍の訓練用にも導入されたと言うことです。

こうして商業的にも成功を収めた「マキシム・サイレンサー」だったが、1934年にアメリカで「ナショナル・ファイアアームズ」法が施行されると所持に高額な税が課せられるのでした。
このため「マキシム・サイレンサー」は下火となり、製造会社はその後は自動車やオートバイのマフラーを手掛ける事に替わり現在もテキサス州で存続しています。

「マキシム・サイレンサー」は銃火器の減音を行う機器の名を「サイレンサー」として認知させ、また規制の法律の文言でも「サイレンサー」や「マフラー」と記述されたのでした。

結局「サイレンサー」と「サプレッサー」とは?

結局のところ、「サイレンサー」と「サイレンサー」は同様のものであるのですが、近年は軍事関係者を中心により単語として「減音」を意味する「サプレッサー」が主流だと言えます。
これがアクション映画やドラマなどの世界にも波及し、それまで概ね1980年代まで「サイレンサー」と呼ばれていた物が「サプレッサー」に置き換わったと見る事が出来ます。

規制する法律用語などでも最初の同用途の製品である「マキシム・サイレンサー」の影響で「サイレンサー」・「マフラー」が使用されており、どちらが正確とも言い難いです。
因みに「サプレッサー」には銃火器の発射音だけではなく、銃口から生じる炎、マズル・ファイアを抑制する「フラッシュ・サプレッサー」も存在しておりこちらも一般化しているようです。

eyecatch source:Victoria_BorodinovaによるPixabayからの画像
※画像はイメージです。

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