これは夫の祖母が経験したというお話です。
義祖母はすでに亡くなっており、この話は夫から聞いた又聞きなので詳細は不明です。
義祖父が亡くなってしばらく、義祖母は田舎の割と大きめな一軒家に一人で暮らしておりました。
夫の両親は車で小一時間の距離に住んでおり、夫の学校が長期休暇になった際はよく泊まりがけで遊びに行っていたそうです。
義祖母のお家の庭には川というにはささやかなせせらぎが流れていたそうで、子供時分の夫はそこに葉っぱやら虫やらを流すことを仕事としていたそうです。
そんないつもと同じ休暇を過ごしていた夏の夜
子供である夫はとっくに就寝し、大人たちもさあ寝るべ、となりそれぞれが寝室に向かいました。
みんなが寝静まってからしばらくして。
義祖母が夜中になんの拍子かふと目をさますと、ベッドの足元の方になにやら人影があるような気配がしたそうです。
合理主義?な義祖母はまず泥棒を疑ったそうですが、それにしても微動だにしないし、なんとなく人影の向こうが透けて見えていることに気がつきました。
万一泥棒だった場合、下手に刺激してはいけないと思い、物音を立てず、気配を殺しつつ相手の様子を探る義祖母。
よくよく目を凝らしてみてみると、その人影は軍服を着ていて、手にヘルメットを持っているようです。
思わず息を飲む義祖母
するとその気配を察知したのか、人影が義祖母の枕元までスーッと移動して来ました。
そして義祖母の顔を覗き込むようにしてこう言いました。
「ここは俺の家だよな?庭に川が流れている。でも俺の家族はどこへ行ったんだ?」
義祖母がこの家を義祖父と買ったのは第二次大戦が終わってからのこと。
でも兵隊さんの格好は第一次大戦のもの。
家は確かに古いものではあるけれど、来歴は知らない義祖母はどう答えようかと思案していると、兵隊さんは勝手に「そうか、ここじゃないのか」と勝手に納得して消えて行ったそうです。
その家はもう義祖母が亡くなってから売られて他人の手に渡っています。
兵隊さんがまだそこにいるのか、もしくは川の流れている庭のある家を転々としているのかは謎です。
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