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心霊写真に望まれる心理的背景と意義

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少し前になるが、全国から投稿された心霊写真を紹介していくDVDをよく観ていた時期がある。
観ていた、というより淡々と心霊写真を紹介していくナレーションを作業の合間のBGMとして流し聞きしていたという不純な用途も含まれていたが、映り込むこの世のものではない存在とそれが発するメッセージ。
稀に「偶然そのように見えるだけの普通の写真」の根拠として説明される心理効果などは実に興味深かった。心霊写真とはいつ頃から存在し、なぜその存在が大衆から求められたのか。

目次

写真の歴史

心霊写真の歴史は写真史と深く関わっていることがわかる。
写真の発明は前衛に1827年フランスのニセフォール・ニエプスの発明があるが、我々が馴染み深いポラロイドカメラの仕組みの祖は1839年同じくフランスのルイ・ジャック・マンデ・ダゲールの発明した「ダゲレオタイプ」という方式である。その後1840年にはイギリスのウィリアム・フォックス・タルボットにより史上初のネガ・ポジ法であるカロタイプを確立。ダゲレオではできなかった写真の複製を可能にした。

ニエプスの発明したカメラでは1枚の写真を撮影するのに8時間かかっていた。すなわち被写体はレンズの前から8時間動かないものに限定されていたので出来上がるのは風景写真か版画を撮影したものだった。最古の肖像写真はタゲレオタイプのカメラで撮影されたが、それでも2、30分は要した。

心霊写真登場

現代の写真でも心霊写真であると断定されるもの、その原理が解明されているものは多く存在しているが、写真が発明され大衆化する以前の時代ではどうであっただろうか。

撮影した写真に被写体以外の、その場にいるはずのない存在が映り込む。そんな心霊写真が登場したのは1860年代。椅子に腰掛ける女性の後ろから半透明の人間の影のようなものが手を添えている、なんて写真を見たことがないだろうか。その写真に映っている女性は初代大統領エイブラハム・リンカーンの妻、人影はリンカーンその者であるといわれており、最古の心霊写真群の中でも有名な1枚である。
撮影したのはアメリカのウィリアム・マムラー。彼は心霊写真家として有名であり、後に詐欺罪で起訴された事でも有名である。

当時の心霊写真の仕組みは『多重露光』といい、既に撮影に使用した金属板やフィルム板を使いまわすことで焼き込まれた、前に撮影した写真の影を霊的存在と主張していた。マムラー含む心霊写真家の側にはその所業をインチキと主張する者、そして時には詐欺の罪に問うかの裁判沙汰まで付き纏ったが、興味深いのはそうして疑いをかけられた心霊写真家たちを擁護する存在である。

ウィリアム・マムラーの撮影した写真
William H Mumler, Public domain, via Wikimedia Commons

心霊写真を信じる者の存在

心霊写真家の弾劾派と擁護派の争いで有名なのはイギリスの写真家ウィリアム・ホープの周囲で起きた騒動だろう。この騒動では、かの有名な小説家アーサー・コナン・ドイルが擁護派に付き、弾劾派のハリー・プライスと対立していた。この他にもフランスのエドゥアール・ヒュゲーが詐欺容疑で逮捕され裁判になるも擁護派の声が上がった。そして驚くことに、裁判で有罪判決が下っても、ホープやヒュゲーなど言及された当事者たちが自身のイカサマ行為を認めても、擁護派からの「彼らが撮影したのは霊の影だ」「彼らの霊能力は本物だ」という主張は止まなかった。

この時代、アメリカやヨーロッパ諸国で心霊写真を用いた霊媒商法は流行していたが、交霊術がブームとなっていた背景や『ピクトリアリスム』という写真を加工する偽造手法が浸透していたこともあり、カメラ技術が発明された当初から存在していた『霊的存在が写った写真』や『偽造写真』に抵抗を持つ民衆は少なく、案外その存在は『写真に映り込んだ影に親しく亡くした故人を重ね、悼みながら思い出に浸る』という文化として受け入れられていた。被告人を擁護する者の中には「たとえその写真が偽物でも、自分たち遺族はその写真に心を救われた」と主張する者もいたという。

技術の進歩と心霊写真

心霊写真・・・今日では写真の解像度や技術の向上に押され、特集で取り上げられていたほどのかつてのブーム的勢いはなりを潜めている。
しかし、いつの時代も心霊写真が存在してきた意義が『映り込んだ未知が存在する期待とロマン』でも『二度と会えない大切な存在の面影を感じる余地』でも、その心霊写真の実在を望む民衆の気持ちがある限りは、完全に廃れることはないだろう。

※画像はイメージです。

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