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奇跡のシンクロニシティ~16年前の小説「海の英雄」からの救出劇

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この世の中には、単なる偶然ではかたづけられないシンクロニシティがあるようだ。
今回ご紹介するのは、あまりに幸運な偶然が幾重にも重なった救出劇。
それは波間に漂う小さな小瓶からはじまった。

目次

メッセージ・イン・ア・ボトル

ブラジルの戦艦アラグリアの水兵が海上に漂う小さな瓶を見つけたのは、1988年5月4日の朝のことだった。なぜか気になった彼は小瓶を回収し、中を確かめた。紙切れには英語でこう書かれていた。
「こちらは海の英雄号。乗組員の反乱が起きた。船長と一等航海士は殺害され、海に投棄されてしまった。私は船を操舵するために生かされている二等航海士。私も殺されるかもしれない。船は現在、アマゾン川に向かって航行中。現在位置は西経28度、南緯22度、速力3.5ノット。至急、救助を請う」

コスタ艦長が確認をとったところ、海の英雄号は実在するイギリス船籍の船であることが判明した。書かれている海域も近い。
「どうやら本物の救助信号らしい」
そう思った艦長は、ただちに救助に向かった。

海上の反乱

一方、こちらは海の英雄号。
当初、彼らは大西洋からマゼラン海峡を渡って太平洋を航行し、インドへ向かう予定だった。しかし航海中に事件が起こる。

日頃から船長と折り合いの悪かった下士官が反乱を企てたのだ。下士官は水夫たちと結託して船を乗っ取り、船長をはじめ多くの航海士を殺害。
反乱により航路変更を余儀なくされ、アマゾン川をさかのぼることになった。

戦艦アラグリアによる救出

救助に向かった戦艦アラグリアは2時間後に海の英雄号を発見。威嚇射撃を行い、反乱者をまたたく間に拘束して乗組員を救出した。

二等航海士はヘッジャーという男だった。ヘッジャーはコスタ艦長に感謝の気持ちを伝え、反乱の顚末を説明した。しかし、あらましは小瓶のメッセージに書かれていた通り。ひと通り話し終えたヘッジャーがコスタ艦長にたずねた。
「ところで、どうしてあなた方はこの事態がわかったんですか? 反乱は今朝起きたばかりなのに」
「なぜって、君。君がSOSを小瓶に託して海へ流したんじゃないのかね?」
「小瓶? 何のことですか?」
「われわれは、瓶に入った手紙を見つけて駆けつけたんだが」
「僕はそんなもの書いてませんよ。だいいち、奴らに見張られて手紙なんか書くどころじゃなかった」

ほかの乗組員にたずねても、小瓶のメッセージは誰も書いていないという。結局、誰が救助の要請をしたのかはわからずじまいだった。
ところが、事件後の裁判でとんでもない事実が判明する。

驚くべき偶然

かつてジョン・パーミントンという作家がいた。
ある日、新しい小説『海の英雄』を書き上げた彼は、この新作の何かよい宣伝方法はないものかと思案する。そこでひらめいたのが小説の一節を紙に書き、ボトルに入れて海に流すというアイデアだった。ボトルは海流に乗って世界各地に流れ着くだろう。それを肌の色の違う人々が拾い、読んでくれるにちがいない。
ボトルはおよそ2000個用意され、すべて海に放たれた。このロマンチックな宣伝方法は効果を上げ、ボトルは多くの人に拾われて、『海の英雄』は大ヒットする。

1988年5月4日の朝、戦艦アラグリアに発見された小瓶もこのうちのひとつだった。小瓶は16年間海洋を漂流し、ブラジル近海までたどり着き、小説の内容と同じ海域を漂っていたというわけだ。
タイトルと船名の一致に加え、適当に抜き出した2000個分の文章のうち、この小瓶の文章がまさに救助を求める内容だったこと。また反乱が起きた日に戦艦アラグリアが近くを航行しており、それがメッセージとして彼らに届いたこと。これらの天文学的な確率の偶然が重なったことになる。

海の英雄号の救出劇には神の見えざる手を感じずにはいられない。

※画像はイメージです。

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