聖徳太子の子孫&自称子孫が一人も現れない不思議?!

聖徳太子が暮らした斑鳩(いかるが)の宮は、現在の法隆寺夢殿の場所にあった。

都の朝堂を遠く離れて斑鳩の里に隠棲したのは31歳の時・・・やがて太子は、この宮で奇妙な死をとげる。
かつて皇位にもっとも近かった、光り輝く飛鳥の聖者の最期だった。

それからおよそ20年後、同じ斑鳩の宮で一族は集団自決の道を選ぶ。
法隆寺は聖徳太子の死地であるばかりか、一族が滅亡したまさにその現場なのだ?!

聖徳太子誕生の経緯はキリストと酷似

正月元日、欽明天皇の皇女・穴穂部間人皇女(あなほべのはしひとのひめみこ)は不思議な夢をみた。
救世観音菩薩が現れて、貴女の腹に宿りたいと告げたのだ。懐妊して8か月がたった頃、お腹の中から言葉が聞こえ、人々を驚かせた。

夢からちょうど1年たった正月の元日、間人皇女が宮中を散策していると馬小屋の前でにわかに産気づいた。
生まれた赤子を寝かせた寝殿にはよい香りがたちこめ、赤や黄色の美しい光が射し込んだと伝えられる。
母の胎内に12か月いた男の子は手に仏舎利を握りしめていた。

皇子は厩戸皇子(うまやどのみこ)と呼ばれ、天皇の宮の南にあった上宮(かみつみや)ですくすくと育つ。
聖徳太子一族が上宮王家と呼ばれるのはここからきている。

「聖徳太子」は死後に贈られた追号で本名ではない。贈られた人物はもちろん厩戸皇子。
近年、聖徳太子虚構説が唱えられているけれど、厩戸は飛鳥時代に実在した皇族だった。
だったら聖徳太子も実在するじゃねーか、と思いたいところだが・・・虚構説とは、「聖徳太子=厩戸皇子」を疑問視する学説のこと。

ひと言で言うと「厩戸って、言うほど偉人か? なんか盛られてる感じ。聖徳太子って、厩戸に後付けされた虚構のスターなんじゃ?」ということだ。
虚構説はこの記事の主題ではないので、ここでは触れない。
けれど便宜上、厩戸皇子を聖徳太子と表記させていただく。

朝廷から孤立、斑鳩に隠棲

父は用明天皇、母は穴穂部間人皇女。両親ともに皇族であるうえに、太子は当時の歴代天皇との血縁も濃いサラブレッド中のサラブレッドだった。
19歳で叔母の推古天皇を補佐し、蘇我馬子を加えたトロイカ体制で国政にあたったと伝えられる。

けれども、その輝かしい前半生から一転して、晩年には常に暗い影がつきまとうようになる。
605年、30代になったばかりの太子は、なぜか政治の表舞台から身を引き斑鳩にひきこもった。
朝廷との突然の決別は政治的失脚を意味するのだろうか。
13年前には、叔父で前天皇の崇峻が蘇我馬子に敵意を抱き、馬子に殺害されている。

斑鳩隠棲の17年後、太子は最愛の妃と前後して不可解な死をとげた。
即位こそしなかったものの、天皇以上に神格化されたこの偉人の死因について、日本書紀は見事に沈黙する。

2月5日、斑鳩にて薨去という1行を記すのみだ。
あれほど持ち上げておきながら、この扱いはどういうことか。

主流を占める伝染病説については、子や側近に死者がいないことが不自然に思える。
暗殺説については、太子と妃の死がたった1日違いであることから信憑性があるようにも思える。

また『聖徳太子伝暦』はまったく異なる状況を伝える。
その夜、太子は妃を呼んで、「わたしは今夜旅立とうと思う。一緒にくるがよい」と告げた。

そのあと妃を沐浴させて身を清めさせ、自分も沐浴して同じ寝床に入り、翌朝に二人の遺体が発見されたというのだ。
これは太子が世をはかなんだ結果ともとれる。

悲劇はさらに続く。
太子の死からおよそ20年後、子で皇位継承の有力候補だった山背大兄王ら上宮王家が、蘇我入鹿の襲撃を受けて自決の道を選んだ。
そしてここに聖徳太子の血脈は絶えることになる。

子孫を名乗る価値の有無

一族が全滅したのだから、子孫が現れるわけはない。これは一見正論にみえるけれど、大きな落とし穴がひそんでいる気がする。
子孫が登場しないことが、はたして上宮王家滅亡の証拠といえるだろうか。

まず、別々に居住していたはずの一族が斑鳩の宮で集団自決したとする書紀の記述を信用するか、出来すぎた話と思うかだろう。
それに、子孫を名乗る者がいないのは別の見方もできるからだ。

歴史の定石として、成り上がりの新興勢力が出自に箔をつけるために名門氏族の名を拝借することがある。
ところが自称太子の末裔は一人としていなかった。

この事実は、太子すなわち厩戸皇子の血統を利用するメリットがなく、むしろマイナスに働くことを意味したとも考えられる。

なぜ太子は国政から孤立して朝堂を離れたのだろう。
聖徳太子について考える時、太子自身に漂う悲劇性とともに、その生涯が多くの謎に満ちているのを忘れることはできない。


世界の未解決事件やシリアルキラー、歴史のミステリーを追いかけています。

※画像は一部イメージです。

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