「艦これ」「ガルパン」のブームに始まり、美少女とミリタリーの組み合わせなんて珍しくもなんともなくなった2021年。だが、その少し前2000年代の初めに目を移してみると、美少女ミリタリージャンル黎明期の作品とでもいうべきちょっと荒けずりだがそこがいい、そんな作品を見つけることができる。
今回取り上げるアニメ「タクティカルロア」もそんな作品の一つ。
後に一大ジャンルとなる「美少女×ミリタリー」アニメの息吹を感じさせるこちらの作品一体どんなアニメなのか・・・今回はその魅力に迫ってみたい。
2006年の美少女護衛艦アニメ「タクティカルロア」は「要素全部盛り」
さて、今回取り上げるアニメ『タクティカルロア』は2006年の作品。
2006年といえばのちのヒット作となる『艦これ』や『ガルパン』は影も形もなく、「パンツじゃないから恥ずかしくない」のキャッチフレーズで有名な「ストライクウィッチーズ」が登場するかしないかと言ったあたりの年代だ。
ミリタリーと美少女の組み合わせ、いわゆる「萌えミリ」を好むファンは一定数いたが、まだまだジャンルとしては確立されていなかった時代。
そんな時代に作られた本作のあらすじは、大災害によって海上航路が重視されるようになった近未来を舞台に、海のテロリストや海賊と戦う民間軍事会社の護衛艦「パスカルメイジ」の活躍を描くというもの。「萌えミリ」らしく護衛艦「パスカルメイジ」の乗員はみな女性。そこに乗り込んだほぼほぼ一人の男性である主人公の少年と、美少女乗組員が巻き起こすドタバタを交えつつ、強敵に立ち向かっていく様が描かれる。
「美少女・ラブコメ・かっこいい兵器」・・・いわば華やかな要素を全部盛りした作品と言っていい。
その時流行っていた要素と、これから流行る要素を全部盛りした意欲的なアニメ。それが『タクティカルロア』なのだ。
過積載?詰め込みすぎ?・・・だが、そこがいい。
「タクティカルロア」荒けずりが愛しいアニメ
「兵器、美少女、ラブコメ」。当時流行っていた要素と、当時流行の兆しを見せ始めていた要素を詰め込んだ『タクティカルロア』。
では作品としては実際どうなのだろう。
作品としての感想をはっきり言ってしまうと、やはり「詰め込みすぎ」「粗けずり」な部分が多いことは否定できない。
また、キャラクターデザインも2021年の感覚で見ると、やや硬派すぎて好みはわかれるタイプのものだろう。
また、現行の兵器をモデルにしたリアルな戦艦描写(本作はなんと兵器のデザイン協力を海上自衛隊に仰いでいる)も、リアルでかっこいい反面力が入りすぎていてやや胃にもたれるとも言える。
シナリオは作品が作られた当時のベタを詰め込みすぎて2021年の基準で見るともったりしている……と感じさせられる箇所も沢山ある。
・・・とかなり辛口な感想になってしまったが、私はこの作品が嫌いになれない。
というのも、そんな作品の荒けずりな部分から「これから絶対に流行ることはわかっているが、どうしていいわからないのでベストを尽くした」作り手の試行錯誤が伝わってくるからだ。
最新のヒット作と比べるとやや見劣りする部分も否めないが、当時の時代背景や作り手の努力を想うと楽しい。
「タクティカルロア」は荒けずりな部分から見える色々こそが楽しいアニメと言えるのである。
気になった方はぜひ観てほしい
さてご覧いただいたように「タクティカルロア」は「美少女ミリタリー」がジャンルとして確立する以前に作られた、ある種の荒削り感を持ったアニメだ。
現在から見れば拙い部分も多く見られるが、それはそうした時代の証。
気になった方はぜひ、作品を見て当時の空気を感じて欲しい。
(C) タクティカルロア バンダイビジュアル・アクタス
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