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主にアメリカやカナダで採用されている「非致死性兵器テーザー銃」を考察

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「テーザー銃」若しくは「テイザー銃」と呼ばれ英語のスペルでは「Taser gun」と表記される武器があるが、厳密に言えばこれは「銃・gun」ではなくスタンガンの一種に相当する。スタンガンと言えば日本でも防犯用として広く知られている、相手に接触させて高圧電流を流しその動きを封じるものだが、強盗や拷問など真逆の用途で犯罪に使用されるケースも多い。

「テーザー銃」はアメリカの現アクソン社、旧テーザー・インターナショナル社が開発した製品の総称であり、1974年に「テーザー・パブリック・ディフェンダー」の名で試作された。
2020年の時点でも現アクソン社は3種類の「テーザー銃」を製品としてラインナップしており、主に北米大陸のアメリカやカナダの警察を始めとする法執行機関で採用・使用されている。

目次

テーザー銃の仕組みと射程距離

「テーザー銃」は目標に刺さった後抜けにくいよう銛型に加工された2つの電極を撃ち出し、これを細い銅線を伝って本体から高圧電流を流す仕組みとなっている遠距離使用可能な武器だ。まさにスタンガンを有線接続にして多少離れた目標に対処出来るよう考案された武器であるが、1974年の試作品の頃は電極を撃ち出す力に火薬を用いており、その意味では「銃」だった。
しかし現在では電極の撃ち出しには圧縮された窒素が使用されており、その窒素の気化する圧力で撃ち出す方式に改められており、どちらかと言えばエアガンやガスガンに近いだろう。

Yuotube上の動画などでもその発射シーンを確認する事が出来るが、流石に圧縮窒素を使用しているのでかすかな発射音が聞こえるだけで通常の銃器のような音はなく静粛性は高い。発射される電極は秒速約55メートル程度とされており、例えば拳銃の標準的な弾丸である9mmパラベラム弾が秒速300メートルを軽く超えるのと比較すれば、遙かに遅いと言える。

また当然ではあるが圧縮窒素で発射すること、有線であることから警察用の「テーザー銃」でも射程距離は短く約10メートル程であり、民生用のモデルはさらにこの半分以下とされている。

テーザー銃の威力と致死性の議論

「テーザー銃」は火薬を使用する銃器類とは違い本来目標の殺傷を目的とした武器ではないが、撃ち出す電極の先端が鋭利な事から、その電極が深く刺ささった場合などには致命傷にもなり得る。これは目標が倒れ込んだりした際に刺さった位置によっては致死性を帯びてしまう可能性があるという事で、通常の銃器のように狙って致命傷を与えるというのは困難だとも言えるだろう。

また目標が心臓周辺の疾患などを有している際には、高圧電流によって死亡してしまうこともあり、その意味でも決して致死性がないとは言い切れず、あくまで低いと言う表現がなされている。ロイターの記事に寄れば2018年までに警察が使用した「テーザー銃」によって述べ1,000名以上がその後死亡したとも伝えられるが、分母が不明であり致死率の明確化までには至っていない。

しかしこうした状況下、主な使用国であるアメリカにおいても「テーザー銃」を致死性のない武器と考える事に警鐘を鳴らす指摘も多く、使用者側の道徳・倫理感を問う声も後を絶たない。

■M-26 TASER 軍用バージョンUnited States military, Public domain, via Wikimedia Commons

それでもテーザー銃が許容されるアメリカ・カナダの現状

「テーザー銃」の使用に批判の声が上がる反面、アメリカやカナダの警察においては既に必須の装備品ともいえる存在になっているが、これは日本とは比較にならない治安情勢が一因だろう。一般の銃器類の致死性の高さに比べ、周囲に一般市民が多数いる状況下でも比較的安全に目標だけの制圧を行える点が、「テーザー銃」の欠点を補って余りある利点だと考えられる事が大きいい。

殊に州にもよるが銃器類の所持の可能性が高いアメリカにおいても、目標となる対象者が全員銃器を所持しているとは言い切れず、そのようなケースでも過剰防衛を防ぐと言えるからだ。また仮に警官が誤射をしたとしても、一般の銃器と比較すれば死亡事故に至る可能性は極めて低く、許容出来る範囲内だと判断されていることも大きな追い風と言えるだろう。

更に薬物の摂取などで正常な判断力を欠いており、説得が難しいような目標に対しても、無駄な犠牲を生むことなく、制圧できる可能性が高い事も警察側のメリットとなっている。

日本におけるテーザー銃の扱い

アメリカでは「テーザー銃」はこれまで挙げてきた警察などの法執執行機関での採用だけで無く、自衛用に各個人向に向けた民生用のモデルも販売されている。前述の通りで有効射程距離こそ警察仕様の半分程度に制限されてはいるものの、自衛用の武器としても個人で入手することも可能となっているのだ。

翻って日本ではかつては同じく自衛用の用途で輸入販売されていた時期もあったようだが、2020年現在では銃刀法の規制対象の「空気銃」に相当するものとして販売・所持は禁止されている。そのためインターネットなどを通じて仮に入手する事が出来たとしても、所持するだけで違法となるので注意が必要だろう。

また日本の警察に関してもアメリカやカナダでの実績を元に、「テーザー銃」導入の検討をしたことのあるようだが、そうした国々と比べ必要となる事件の母数自体が少なく実現には至っていない。

ただ個人的に見ると武器として遙かに殺傷力の高いボウガンなどは日本でも入手可能であり、「テーザー銃」の機構が銃器だとの理由のみで規制されるのであれば議論の余地もあるように思える。

eyecatch source:United States military, Public domain, via Wikimedia Commons

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