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八つ墓村の祟りじゃ!八つ墓村の考察?!

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満開の夜桜をバックに、異様な姿で走ってくる男。
頭に巻いた布に懐中電灯をさし、体に巻かれた弾帯。そして左手に猟銃、右手には日本刀がぎらついている・・・。

そして、「祟りじゃ!八つ墓の、祟りじゃあああああ!」とその映像にかぶさる禍々しい老婆の絶叫。

私が本当に小さな子どもだった頃見たこの映像。
当時よく分からないながらに、「なんだか超怖い!でも超気になる」と、脳裏にしっかりとそのシーンが焼き付いていました。

さて、あれは一体なんだったのか・・・。
それは1977年に公開された、横溝正史原作の映画「八つ墓村」のテレビCMだったのです。年代的に「八つ墓村」がテレビで放送された時のものだったのではないかなと思います。

当時から、映像もさることながら「たぁ〜たぁ〜りぃじゃ~!」の絶叫のインパクトは絶大だったようで、ドリフターズの国民的人気バラエティ番組「8時だョ!全員集合」をはじめ、いろいろなメディアでコピーされ、流行語にもなりました。

「祟りじゃ~」は国民的絶叫とも言えますね。

現在まで数々の映像作品がリメイクされ、社会現象さえ起こした「八つ墓村」。
今回は、横溝正史ファンの私が「八つ墓村」を徹底解説したいと思います!

目次

八つ墓村とは

「八つ墓村」は、横溝正史の著書で、「名探偵金田一耕助シリーズ」と呼ばれる長編推理小説シリーズの4作目にあたります。1949年3月から1950年3月までの1年間、雑誌『新青年』で連載された「八つ墓村」は、その後、1971年に角川文庫の横溝正史本として最初に刊行されました。

この「金田一耕助シリーズ」は多くの作品が映像化されていますが、その中でも「八つ墓村」が最も多く、映画が3本、テレビドラマが7作品、そして漫画が5作品、舞台が2作品と、本作の人気を裏付けています。

祟りじゃ〜!
八つ墓村 (C) 1977 松竹株式会社

八つ墓村にはモデルがある?!

作中に登場する「八つ墓村」は実在しない架空の村ですが、岡山県にモデルとなる村があります。

岡山県は、横溝正史の両親の出身地であり、戦時中、正史本人も岡山県に疎開していました。その時に感じた山村の空気感や、田舎ならではの因習は、少年だった横溝正史に多くの影響を与えたのかもしれませんね。

横溝正史は他にも「獄門島」や「本陣殺人事件」など、「岡山もの」と呼ばれる、岡山県を舞台にした作品をいくつか発表していますので、気になる方はぜひ読んでみてください。

「八つ墓村」の物語とは?(ネタバレ注意)

主人公 寺田辰弥は、空港で誘導員として働いています。ある日、天涯孤独のはずの彼の元に、見知らぬ老人が訪ねてきたことで、自分は天涯孤独ではなく「八つ墓村」の田治見家の血縁であることが判明します。

辰弥は生まれ故郷の「八つ墓村」に帰ることになりますが、その田治見家では後継問題が持ち上がっていました。

一家の主人であり、辰弥の腹違いの兄「久弥」は重い病気にかかっており余命いくばくもない状態。久弥に子どもはいないため、腹違いの弟である辰弥が田治見家の後継者として指名されていました。

突然のことに驚く辰弥ですが、いやが上にも一族の相続問題に巻き込まれていきます。そして、辰弥の帰郷に合わせるかのように、田治見家で次々と凄惨な事件が起き始めます。

辰弥は父方の親戚筋の未亡人である森美也子から、この八つ墓村にまつわる恐ろしい昔話を聞かされます。

時は遡り戦国時代の1566年。毛利との戦に負けた尼子家の武者たち8人がこの地に逃げ込んできました。はじめは歓迎していた村人たちですが、毛利からの褒賞に目がくらみ、武者たちを惨殺します。

このときの首謀者である村総代の田治見庄左衛門は褒賞として莫大な山林の権利を与えられました。それ以降田治見家は村の権力者として君臨しましたが、ある時庄左衛門は突然発狂し、村人を惨殺した後自分の首を斬り飛ばして絶命します。

「この恨み、末代まで祟ってやる」と呪詛を吐きながら死んでいった落武者の祟りだとした村人たちは、改めて落武者たちを丁重に葬り、「八つ墓明神」を建立したことから、村は「八つ墓村」と呼ばれるようになりました。

さらに辰弥は、父である田治見要蔵が妻を斬殺した上に、村人32人を次々と村人を殺害して失踪した事件のことを知るのです。

一族の中で「これは落ち武者の祟りが原因だ」とまことしやかにささやかれ始めます。

そして調査依頼を受けた探偵、金田一耕助が八つ墓村を訪れます。
田治見家の相続問題と並行して起こった殺人事件の謎に、金田一耕助が立ち向かいます。

金田一耕助(渥美 清)
金田一耕助(渥美清)

実は小説版は違う?

前述のあらすじは1977年に公開された映画版のものですが、横溝正史の原作とは一部違っている部分もあります。

年代設定

 [原作] 昭和20年代で戦後の闇市などの描写があります
 [映画] 現代(1977年)の設定になっています。この映画に、日本航空が協力しているため、ジェット機を映し出す必要があったからと言われています。

このことから、主人公の寺田辰弥の職業も、原作では闇市のブローカーのようなことをしていますが、映画版では空港の職員という設定になっています。
しかし、舞台を現代にし、飛行機を登場させることで、より田舎の因習や田治見家の闇が濃くなりますね。

代名詞にもなった「祟りじゃ〜!」のセリフ

[原作] なし
[映画] あり

映画は目をひきつけやすいホラー的要素がより強く出ていますが、原作はあくまで探偵小説です。辰弥の父の異常な乱心や、次々に殺される人たちの描写はありますが、あまり祟りを全面に打ち出してはいない印象です。

金田一耕助が八つ墓村に呼ばれた理由

[原作] 弟の死に疑念を抱いた西屋の主人の依頼
[映画] 諏訪弁護士から、井川丑松の毒殺の調査のため雇われる

辰弥の相手役が違う

[原作] 里村典子という女性が登場し、最終的に辰弥と結婚します。
[映画] 典子は登場せず、森美也子と大人の関係になります。

映像作品では、金田一耕助に関わることの少ない人物や出来事はカットされてしまいますが、実は魅力的な人物がたくさん登場します。

特に、原作のヒロインで、辰弥を「お兄さま」と慕う里村典子は、26歳でありながら、19、20歳に見えるという典型的な妹系萌えキャラで、過去6回Twitter上で開催された「横溝作品ヒロイン総選挙」において、その内5回堂々の1位に輝くほどの人気を誇っています。

辰弥が見つけた財宝

[原作] 辰弥は財宝を発見します。これでその後の生活は安心ですね。
[映画] 財宝は出てきません。

辰弥の実父

[原作] 辰弥の実父は生きており、原作では辰弥と父は直接会います。
[映画] 実父は生きているが辰弥には会わない。生きていることが金田一耕助から辰弥に伝えられる

被害者の数

[原作] 10人
[映画] 8人

犯人の犯行動機

[原作] 犯人が愛人に田治見家の財産を相続させるため。
[映画] 犯人が辰弥に田治見家の財産を相続させ、取り込もうとした。

今回は1977年公開の映画と原作を比較しましたが、その後映像化されている作品は原作に寄せてあったり、オリジナル色が強くなっていたりと、さまざまな「八つ墓村」を楽しむことができます。

また、このストーリーになくてはならない「名探偵金田一耕助」は、1977年の渥美清さんを始め、片岡鶴太郎さん、豊川悦司さん、稲垣吾郎さん、吉岡秀隆さんなど、個性豊かな俳優が演じています。

ちなみに、金田一耕助の俳優に渥美清さんを指名したのは原作者の横溝正史だったそうです。作者がイメージする金田一耕助像にピッタリはまったんだとか。

八つ墓村のモデルになった事件

「八つ墓村」にはモデルになった事件が存在します。

1938年(昭和13年)5月21日未明に岡山県苫田郡西加茂村大字行重(現・津山市加茂町行重)の貝尾・坂元両集落で起きた事件で、「津山事件」「津山30人殺し」とも呼ばれ、近代日本の単独犯による大量虐殺事件として語り継がれています。

犯行を行なったのは、その村に住む都井睦雄(といむつお)という男性です。
頭もそこそこ良く、容姿端麗。いわゆるイケメンだった睦雄は村の女性たちからも人気がありました。
しかし、二十歳になって受けた徴兵検査の結果、肺結核の診断と不合格が伝えられたことをきっかけに、村での立場は一気に急落します。

当時徴兵は一種のステータスであり、徴兵検査に合格するということは、「強い男」として周囲に認められることでもあります。病気のこともあり、農作業もできずにふらふらしていた睦雄に対し周囲の目は冷たく、距離を置かれてしまいます。挙句の果てに、夜這いの相手だった女性たちからも相手にされず、プライドをずたずたにされた睦雄は村人たちの惨殺を企てるのです。

1938年(昭和13年)5月21日。睦雄は計画を実行に移しました。
手始めに村の電線を切断して停電を起こすと、自分の犯行後、残された祖母のことを心配した睦雄は、最初に祖母を殺害。

その後、鉢巻をしめ、小型の懐中電灯を1本ずつ両側にさした異様な姿の睦雄は、日本刀と散弾銃を携え、自分を馬鹿にした女性や村人の家に乗り込んで惨殺。わずか2時間で30人ほどの村人を殺害しました。

荒坂峠で遺書を書き残し、最後は睦雄の自殺で事件は幕を閉じます。警察での検死後、睦雄の遺体は姉が引き取りますが、村に葬ることはできず最終的に姉の嫁ぎ先の村にひっそりと埋葬されたと言われています。

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最後に

今回は「八つ墓村」について解説しました。

しかし、原作の「八つ墓村」は映像で取り上げられなかった、主人公辰弥の葛藤や、恋愛などの要素も取り入れながら、探偵小説としてのロジックがしっかりと張り巡らされた、エンターテイメント探偵小説となっています。

映像作品をご覧になった方は、ぜひ原作も読んでみてくださいね。

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八つ墓村 (C) 1977 松竹株式会社

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