妖怪「鉄鼠」の怨念!高僧の怒りの念が寺を襲う!

生き物にちなんだ妖怪は数多く存在します。中でもきつねやたぬき、ねこなどは有名ですね。
ねずみの妖怪といえば、水木しげるさんのねずみ男が代表的ですが、今回は、その水木しげるさんや妖怪絵師の鳥山石燕が描いたねずみの妖怪「鉄鼠」を紹介します。
滋賀県には、鉄鼠に関する社が二ヶ所もあるんです。
その社とともに、鉄鼠とはどんな妖怪なのかを説明していきますね。

鉄鼠とは

鉄鼠とは、人と鼠の合わさった姿をした妖怪です。
滋賀県大津市に三井寺という寺がありますが、この寺にいた頼豪という高僧が鼠となったものが鉄鼠だと言われています。
いったいどうして高僧が鉄鼠となってしまったのでしょうか?
その謎を解く鍵は、ある寺と寺との対立にあったのです。

頼豪の願いと寺同士の対立

平安時代、祈祷の力が確かだった三井寺の高僧である頼豪は、白河天皇に、「私に皇子が生まれるように祈祷してほしい、願いを叶えてくれたら何でも頼み事を聞いてやる。」と頼まれました。
頼豪は懸命に祈り、その力が届いたのか、見事に白河天皇に皇子が生まれました。
その後頼豪は、白河天皇に「三井寺の戒壇院の創設」を願います。

戒壇院を創設すると、その寺の僧侶は正当な僧侶とみなされるのです。
当時、そのような寺といえば、力を持っていた国分寺や比叡山延暦寺などでした。
頼豪は、延暦寺などと同じように三井寺にも力を与えてもらいたい、との思いで白河天皇に頼みますが、ここで問題がおきます。
三井寺は、以前より延暦寺と対立関係にあったのですが、頼豪の願いはその延暦寺に阻止されたのです。

月岡芳年「新形三十六怪撰」
■月岡芳年『新形三十六怪撰』より「三井寺頼豪阿闍梨悪念鼠と変ずる図」Tukioka Yoshitoshi, Public domain, via Wikimedia Commons

怒り狂った頼豪は・・・

白河天皇への願いを延暦寺に阻止され、たいへん怒り狂った頼豪は、護摩焚きや断食をし、死んで怨霊となったのです。
頼豪の怨念は、白河天皇の皇子の命をうばいました。

さらに84000匹の鼠となって延暦寺を襲い、経典や仏像などを食い荒らしたのです。
頼豪は、激しい怒りによって、鉄鼠という恐ろしい妖怪になってしまったのです。

三井寺の「十八明神社」と日吉大社の「鼠社」

滋賀県大津市には、頼豪の鉄鼠に関する社が二ヶ所あります。
一ヶ所目は、頼豪のいた三井寺の観音堂近くにある「十八明神社」で、またの名を「ねずみの宮」と言います。
頼豪の怨霊を祀ってあり、延暦寺への強い念からか、社は延暦寺の方向を向いて建てられています。

二ヶ所目は、日吉大社の「鼠社」です。
頼豪の怨念を恐れた延暦寺は、延暦寺の守護神である日吉大社に、鼠の秀倉を築き鉄鼠を封じ込めました。
その鼠の秀倉が、現在の日吉大社の鼠社のことだとされています。

まとめ

人の思いや念はいつの時代も恐ろしいものです。
悲しみや苦しみから、怒りや恨みなどの念が心に宿るのが人間なのでしょうが、少しでも心穏やかに生きたいものですね。

三井寺と対立した延暦寺も滋賀県大津市にあるので、鉄鼠になった頼豪の思いや延暦寺の思いなどを感じながら、三ヶ所あわせて参るのもよさそうです。
三井寺では、夏に妖怪ナイトというイベントがあるのだそうです。

敷地内には、うようよと妖怪が出没して、訪れる人々を震え上がらせているようです。
一度訪れてみるのも楽しそうですね。
もしかしたら、本物の鉄鼠に会えるかもしれませんよ・・・

eyecatch source:Toriyama Sekien, Public domain, via Wikimedia Commons

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