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タイタニック号の背後にあった不吉な事実

「絶対に沈まない船」と謳われた豪華客船タイタニック。この不沈船がニューファンドランド島沖の極寒の海に沈んだのは、1912年4月15日未明のことだった。
事故発生時の乗客・乗員2224名のうち、生還者はわずか700名あまり。それ以外の人々は海に投げ出されるか、船と運命をともにして溺死、または低体温症で死んでいった。本稿では、タイタニック沈没の背後にあった驚くべき事実をピックアップする。

目次

救命ボートが足りなかった本当の理由

船底を二重にしたり、船体を防水隔壁で区画するなど、浸水による沈没を防ぐ万全の安全対策がとられていたタイタニック。にもかかわらず犠牲が広がった主因はどこにあったのか。
よく指摘されるのが救命ボートの不備である。事実、タイタニックに装備されていたのは木製ボート16艘、折りたたみ式ボート4艘のみ。これは乗客・乗員の半数しか収容できない数だった。

ではなぜこのような失策を犯してしまったかというと、それはコスト削減のためでもなければ、収納スペース不足のせいでもない。タイタニックは68艘の救命ボートを搭載できるように設計されており、仮に50艘増えたとしても、コスト面で問題はなかった。
ボートが不足した背景には、イギリス商務省による時代遅れの規定と、景観を重視する声があったのだ。

当時、1万トン以上の船に義務づけられていたのは最低16艘の救命ボートと折りたたみ式ボート、浮き具の装備。この規定が4万6000トンを超えるタイタニックにも適用されたのだから、危機管理意識が希薄といわざるをえない。けれど、そこは不沈船と謳われた豪華客船である。「まず沈没はありえない」という前提のもと、救命ボートの数はさほど重要視されていなかった。加えてタイタニックは当時のドル箱だった北大西洋航路の定期便。船上の遊歩デッキは乗客が眺望を楽しむためのものであり、救命ボートは景観を損なって興ざめになると考えた。

さらにいえば、事前の避難誘導訓練も十分とはいえず、クルーの緊急時への対応もできていなかった。
事故発生時の避難・救助の段取りがあまりにお粗末だったことから、仮に全員分の救命ボートを備えていても同じ結果になったと指摘する専門家もいる。

氷山に衝突してから2時間40分後、船尾は海面から離れて宙高く持ち上がり、船首は海中へと姿を消した。
船にとり残された人々が傾いた甲板を懸命によじ登り、次々と海へ落ちていくのを、ボートに逃れた幸運な乗客は恐怖に震えながら眺めているしかなかった。

BayerNYC, CC BY-SA 2.0, ウィキメディア・コモンズ経由

4本目の煙突はダミーだった

タイタニックの象徴ともいえる4本の煙突のうち、1本は豪華にみせるための飾りだった。いかに外観を重視していたかがうかがえる。
前3本の煙突からはもうもうと黒煙が立ちのぼっているのに、最後の煙突からはうっすらと煙がみえるだけ。

ボイラーとつながっているのは3本のみで、4本目はタービンや厨房の換気のための煙突だった。
4本立ての煙突は当時の客船のトレンドだったらしく、タイタニックもしっかりと流行にのったことになる。

何度も見過ごされた氷山警告

事故当日、タイタニックは他の船舶から「叢氷(そうひょう)・氷山・氷原が存在する」という警告を少なくとも6回は受けとっている。にもかかわらず、彼らは巨大な氷山群に向かって突き進んでいることに途中まで気づいておらず、最高速度に近いスピードを落とすこともなかった。

警告が役に立たなかった理由としては、無線通信士が逐一伝達していなかったことが挙げられる。受信した警告はスミス船長にも上級船員にも伝わらないまま、無線室に留め置かれることすらあった。

通信士が報告を軽視したのは、乗客の私的なメッセージを送信するのに忙殺されていたから。なぜなら当時、無線通信は旅行客が地上の家族や友人にメッセージを送るサービスと認識されており、運航部門の直轄ではなかったのだ。タイタニックも例外ではなく、無線はサービス部門のもとにおかれていた。
当時の常識は現代の感覚からするととても信じられないが、このことが悲劇の引き金になったことは容易に想像できる。

Werner Willmann, CC BY-SA 3.0, ウィキメディア・コモンズ経由で

消えた双眼鏡

不運なことに、タイタニックは航行中、監視用の双眼鏡が一切使えなくなっていた。
原因は出港間際の人事のひと悶着。当初、主席一等航海士を務める予定だったマードックは、スミス船長が急遽ワイルドを召喚したために次席に降格。次席のポストにいたライトラーは二等航海士となり、順繰りに二等航海士ブレアは下船を余儀なくされた。

ブレアは双眼鏡をロッカーに入れたまま、鍵をもって船を降りてしまった。この双眼鏡紛失のエピソードは広く知られるところで、引継ぎに不備があった点は否めない。たとえ申し送りが徹底していなくても、ロッカーをこじ開けるなどの措置がとれたはずという声も多いが、はたしてクルーはそこまで知っていただろうか。むしろ誰も双眼鏡のありかを知らなかったと考えるほうが、つじつまは合う。

監視役の当直はフリートとリー。二人はデッキから約30メートルの高さにある展望台に立っていた。海面は鏡のような凪。静かすぎて、目前に迫る氷山の手がかりになるようなものはなにもなかった。もし海が少しでも荒れていたら、氷山にぶつかる波の音や気配が味方をしてくれただろう。現在では、このように静まり返った、波ひとつない海面は、近くに叢氷があることを示す現象と認識されている。

タイタニックは出港した日から燃えていた

浸水・沈没の原因をめぐっては、これまでに鋼材の強度不足、リベットの脆弱性、石炭火災による隔壁の弱体化など、さまざまな説が語られてきた。ことにここ数年、再注目され有力説となっているのが石炭火災による隔壁強度低下説だ。
この説は事故直後の調査・査問委員会でいったんは取り上げられたものの、大事に至るほどの火災ではなく、沈没とは無関係と結論づけられた。ところが出港前のタイタニックを撮影した写真には、10メートル近い焦げ跡が確認できるという。焦げ跡は船体の側面にあり、船内では第6ボイラー室の石炭倉庫にあたる。

沈没事故の数日後には、ニューヨークの新聞がボイラー作業員の証言を掲載した。
「われわれは11人で消火作業にあたったが、焼け石に水だった。出港した日から、タイタニックは燃えていた」
船内で自然発火による石炭火災が発生していたことや、サウサンプトン港で旅行客が乗船した際も燃えつづけていたことは事実である。11人で消火活動にあたったにもかかわらず鎮火しなかったとすれば、小さな火災ではなかった可能性がある。

石炭倉庫と隔壁は隣接していたため、船体の強度に大きく影響する。熱で鋼材が脆くなっていたことが沈没の主因であり、氷山との衝突は副因にすぎないという見方が真相に近いのかもしれない。

不沈船の慢心、救命ボートの不足、無視された警告など、いくつもの綻びが重なって引き寄せた大惨事。
事故から110年を経た現在も、タイタニックの残骸は北大西洋の深海で腐食を続けている。船体が完全に崩れ落ち、永久に消滅してしまう日もそう遠くないだろう。

出演:レオナルド・ディカプリオ, 出演:ケイト・ウィンスレット, 出演:ビリー・ゼーン, 出演:キャシー・ベイツ, 出演:ビル・パクストン, 監督:ジェームズ・キャメロン
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featured image:Francis Godolphin Osbourne Stuart, Public domain, via Wikimedia Commons

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