秋田県潟上市の東湖八坂神社、毎年7月7日に行われる祭礼「統人行事」。
氏子たちが一年をかけて準備してきた「統人行事」が本番を迎える。
統人行事は、スサノオノミコトを祀るこの特有の祭礼で、国の重要無形民俗文化財にも指定されている。
起源は平安後期にまで遡るといわれ、ヤマタノオロチ退治の神話と、八郎潟周辺の水神信仰が重なって成立したと考えられている。
秋田に住む私がこの奇祭とも言える行事を考察する。
統人
主役となるのは「統人」。
これは、氏子のなかから一年任期で選ばれる祭礼の中心役で、神事の一切を取り仕切る責任ある役割だ。
統人は祭前夜から酒部屋に入り、外界との接触を絶ち、一定時間の隔離状態で儀礼的な潔斎を受ける。
この籠りが終わると、意識を失った状態になり「神が宿った」として扱われる。
この儀式の意味は、おそらく「神を迎えるための身分転換儀礼」として位置づけられ、シャーマン型の役割転換の一類型だと推測される。
蜘蛛舞
統人行事の中心に位置づけられる儀礼が「蜘蛛舞」である。
舞手は船に乗り、湖の上で糸や縄を操るような所作を繰り返す。この舞は牛乗りと並び、行事全体を構成する主要な要素とされている。
「蜘蛛舞」という名称の由来については、確定した史料は残されておらず、いくつかの解釈が考えられている。
いくつかの説があるが、八つの頭を持つヤマタノオロチの象徴としての蜘蛛の転用したのだろう。
いずれにしても、八郎潟沿岸の村落が古くから水害と共存してきた歴史を背景に持ち、水神信仰を色濃く映し出す「水神鎮撫儀礼」であると考えられ、「水を鎮め、豊作と漁の無事を祈るための祈り」の意味合いを受け継がれている。
牛乗り
統人行事のクライマックスが「牛乗り」。
統人が黒毛の牛に乗せられ、町内を巡行する。
牛を用いる理由については、スサノオ信仰と牛頭天王信仰の習合が影響している可能性が考えられる。
中世以降、スサノオは疫神として祀られるようになり、牛頭天王と同一視される中で、牛が象徴的存在として扱われる地域も生まれたとされる。
巡行のルートは決められており、地区の家々を順に回り、災厄除けと1年間の安定を祈願する。
最後に川岸で「蜘蛛舞」が行われている船に向かって弓を引く所作をすることで地域の魔や厄を払い、豊作や豊漁を祈願して牛乗りが終わる。
引き継ぐ儀礼
統人行事は、本祭をもってすべてが終わるわけではない。
本祭終了後の夜間、7日の夜から翌8日にかけて、氏子らが集まり、次の統人へと役目を引き継ぐ儀礼が行われる。
この引き継ぎ儀礼によって、新しい一年が始まるというのだ。
※画像はイメージです。


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