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あなたの身近にもある?毒を持つ樹木8選

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近所の公園に、家からすぐそばの雑木林の中に、いつも歩く道の街路樹。自然が縁遠くなったとはいえ、私たちの身の回りは木がありふれている。四季の移り変わりと共に葉をつけ、繁らせ、色を変えて、葉を落としていく。そんな木々の様に時の移ろいや情緒、時には癒しを見つけている人も多いのではないか。

ただ、自然はそれだけでない・・・時には私たちに牙をむき、陥れることもある。
身近な木々さえもその例外ではないのだ。

目次

イチイ~ミステリーにも登場する毒

日本全国で見かけることができるイチイの木。濃い緑の小さく尖った特徴的な葉は一見固そうに見えるが、柔らかい。
特に寒い地域での栽培に適しているため、北海道や東北地方などでよく見られ、これらの地方では「オンコ」などの別名で親しまれていることもある。
庭木や盆栽にも利用されており、名前は知らずとも身近な場所で目にしたことがある可能性の高い木だ。

このイチイの木、秋になると小さな赤い実をつけるのだが、この実がある種の厄介者なのだ。
イチイの実、それ自体には毒性はないとされている。赤くぷっくりとした実は見た目にもおいしそうで、実際、口にすると甘味がある。
大事な食糧として野鳥たちが食しているのを見かけることすらあるほどだし、ジャムや果実酒の原料として使用されることもある。
しかし、イチイはなんとこの実以外の部分全てにアルカロイドのタキシンという毒を有している。

そのため果肉部自体は食しても然したる問題はないのだが、その中にある種子を間違って飲み込んでしまうと中毒症状を引き起こす可能性があるのだ。特に種子は摂取した人間の体調等によるものの、少量でも嘔吐や痙攣を引き起こし、後に呼吸困難で死亡することがあるため注意が必要である。
なお、このイチイの毒について、日本ではあまり知られていないものの、海外、特にアメリカやヨーロッパではメジャーな毒で毎年のように中毒者を出している。

また、海外のミステリー小説内では犯罪などに用いられる毒してもたびたび登場しており、ミステリの女王・アガサ・クリスティの小説内でも使用されている。
なぜ日本での知名度が低いのか?不思議な毒木である。

ツツジ~身近すぎる意外な毒

日本全国、公園や街路樹、寺院や学校に一般家庭の庭先などあらゆるところで見かけることができるツツジ。桜の季節が終わる頃になるとピンクや赤、白の花を咲かせ、時期になるとこの花の盛りを伝えるニュースが流れるほどだ。

また、ツツジの花を見るだけでなく、子どもの頃にその花をむしって密を吸った思い出がある人もいるのではないだろうか。幼少期の思い出として郷愁を誘う一コマではあるが、自分の子や孫にその思い出話をすることだけは決して止めていただきたい。

ツツジの密を吸ってなおその後、よい思い出だったと浸れるあなたは運がよかっただけかもしれないのだ。
ツツジは毒をもっている。

学術的にツツジ属に属する花木は毒性を持っているものが多く、中でも日本の庭木の定番でもあるレンゲツツジはひと際に毒性が強い。
レンゲツツジは全木に痙攣毒を含んでいて、呼吸停止を引き起こすこともある。口にしたことで死を呼び寄せる可能性もあるのだ。
もちろんレンゲツツジの蜜も例外ではなく、トルコをはじめとする海外ではレンゲツツジの蜂蜜の中毒例も知られており、マッドハニー中毒とも呼ばれている。日本の養蜂業者もレンゲツツジが自生しているような場所では、開花時期に蜂蜜を採取しないようにしているそうだ。

ツツジは漢字で「躑躅」と書く。音読みでは「てきちょく」と読み、、足踏みをしたり立ち止まったりするなど、躊躇しながら進む様子を意味する熟語である。

ツツジの咲く様子が思わず足を止めて見入ってしまうほどに美しいという意味からこの漢字が充てられたとされているが、一説にはツツジに毒性があることを本能的に知っている牛馬がツツジの前では思わず足が止まり、避けることからこの漢字が充てられてとも言われている。

真意がどちらにあるかは不明だが、美しさの中に毒を隠し持つ様は恐ろしい限りだ。

シキミ~植物界唯一の劇物

春のお彼岸の頃にアイボリーホワイトのかわいらしい花を咲かせるシキミ。本州から沖縄までの広い範囲に分布しており、仏事や神事に使われることも多いため、寺院や墓地で見かけたことがある人もいるかもしれない。
また、秋になると八角形の星形という特徴的な果実をつけることで記憶に残っている人もいるだろう。

このシキミも木全体にアニサチンなどの毒を含んでおり、なかでも果実・種子は強い毒性を持っている。
2022年2月1日現在、植物では唯一、シキミの実だけが劇物指定されている。
日本の劇物は成人が誤飲した場合の致死量が、2 ~20g程度のものなどといった判定基準がある。そんな劇物に指定されていることからもシキミの恐ろしさを察することができるだろう。
果実・種子の毒性が強いとされているシキミであるが、誤食が多いのもこの果実・種子である。

特徴的な見た目のため、子どもが知らずに採って誤って口にしてしまう例や果実の見た目が中華料理などでよく使われる八角・スターアニスにそっくりであることから勘違いして採取して口にしてしまったり、料理に利用してしまう例があるそう。

なお、八角はトウシキミというシキミの近縁種の果実であるが、シキミに毒がある一方でこのトウシキミに毒性はない。トウシキミは基本的に日本には自生していない種のため、八角星形の果実の見ても「スパイスの八角かも」などと期待しないのが無難である。
海外では八角・スターアニスと区別するためシキミの実は「毒八角」や「ジャパニーズ・スターアニス」とも呼ばれている。

第2次世界大戦以前には海外に輸出されて死亡者を出したこともあったそうだ。ジャパニーズ・スターアニスとは、日本人としてはなんとも不名誉な名前である気もするが、和名のシキミも「悪しき実」という意味に由来するとされている。

どの国の人間にとっても敬遠したい植物なのだ。

キョウチクトウ~美しく力強い暗殺者

キョウチクトウは漢名の「夾竹桃」をそのまま音読みにした呼び名である。夾竹桃の名は中国の人々が葉が竹の葉に、花が桃に似ているという点から名付けたのだそうだ。
確かにその名の通り、竹の葉のようにすっと伸びる細長い葉や夏頃に白や薄桃、ピンク色の花を咲かせる(種類によっては他色もある)様子はとても美しい。
また、生命力も旺盛で酷暑や自動車の排ガスにも負けずに育つことで知られている。

原爆が投下され、70年以上は草木が生えないだろうとされていた広島の地で最初に花を付けた木としても有名な花木で、広島市の市の花にもなっている。その美しさと生命力の強さもあってか一般家庭の庭木として利用されている事例もとても多い木だ。
もちろん美しい庭木として愛でていだいて結構なのだが、このキョウチクトウが強い毒を持っていることも忘れずに栽培に臨んでほしい。

キョウチクトウは木全体にオレアンドリンという毒を含んでいる。このオレアンドリンの致死量は青酸カリよりも少ない。
かの有名な青酸カリを上回る危険さなのだ。
誤って口にすると吐き気や嘔吐、倦怠感などの中毒症状が出て、摂取量によっては死に至る可能性もある。海外では過去、自殺薬としても利用されていたことがあるそうだ。

ただ、このキョウチクトウ、枝葉や花、根がなにかの食材に似ているなどということはないので気を付けてさえいれば、食材の代用として口に入る可能性は低い。
誤食例としては、キョウチクトウの枝を箸や串の代わりにして口に入れてしまうということがあるらしい。海外ではキョウチクトウの枝を串代わりに串焼きをしたところ中毒死する者が出たことがあるという。また、キョウチクトウを燃やした煙も有毒である。

近年、もっぱらの人気であるキャンプなどのアウトドアレジャーの際に焚火をする人は、間違っても薪代わりにキョウチクトウが紛れ込まないように注意してほしい。
さらにキョウチクトウを植えた土壌にも毒成分が含まれる。土壌に含まれる毒性は腐葉土にしたとしても、最低1年間は抜けないとされている。キョウチクトウが植えられているそばで食用植物などは育てない方が無難であろう。

キョウチクトウの花言葉は「油断大敵」、「危険な愛」、「用心」。
まさにキョウチクトウと関わる上での心構えのすべてが詰め込まれている。

アジサイ・アマチャ~身近な風物詩に隠された毒

梅雨時から初夏の風物詩として、植物に詳しくない人でもその名と姿を知る人が多いであろうアジサイ。日本原産のガクアジサイが改良された品種で、園芸植物として国内のみならず世界各地に広がっている。
ピンクや紫、薄い青や白など、色彩豊かに私たちの目を楽しませてくれるアジサイではあるが、この植物も毒をもっている。

しかもこんなにも身近な植物であるわりにその毒性は詳しく解明されておらず、未だ研究の途上なのだ。しかし、少なくも葉に毒性を含んでいることは確かで2008年6月、料理に添えられていたアジサイの葉を食べたことによる食中毒が2件、立て続けに発生している。

小ぶりなアジサイの葉は形が大葉にも似ているため料理に添えられれ、誤食に繋がったと思われる。また、アジサイと同じアジサイ属に属し、ガクアジサイとよく似た見た目のアマチャにも毒がある。
アマチャとは、釈迦の誕生を祝う仏教行事である花まつり(灌仏会)の時に仏像に注ぎかける飲料の「甘茶」の原料である。

昔から花まつりの際に飲用として振舞われることもある甘茶であるが、濃く煮だしすぎると毒性をもつことがわかっている。

2009年4月、仏教系保育園で行われた花まつりで甘茶を飲んだ園児119人のうち28人に嘔吐や吐き気の食中毒症状が見られたり、2010年4月、とある寺で行われた花まつりで甘茶が振る舞われた際、小学1年生の児童66人と大人3人に嘔吐や吐き気などの食中毒症状が見られるなどの事故が起きている。
いずれの事故も食中毒を起こしたのが低年齢の子どもではあったものの、大事には至らず、皆軽症で快方に向かったという。

甘茶飲用は昔から親しまれている文化ではあるが、飲む際には濃く煮だしすぎずに作ること、市販品であれば作り方をよく守って楽しんでいただきたい。

オオミフクラギ~恐ろしき自殺の木

インド洋周辺に生息するキョウチクトウ科に属するオオミフクラギ。
テラテラとした大きく細長い深い緑の葉に、柑橘類を思わせる緑の果実を成す点などなんとも南国ムード満点な木だ。

同じく毒を持つ近縁種のミフクラギ(別名:オキナワキョウチクトウ)は熱帯から亜熱帯の気候帯で育ち、沖縄や奄美群島で見かけるものの、オオミフクラギ自体が国内で自生していないため、オオミフクラギの日本での知名度は低いと思われる。

しかし、オオミフクラギの異名は自殺の木。自殺や毒殺目的で毒成分が使われる程、危険な木なのだ。
オオミフクラギは全体にアルカロイド系の毒を含んでいる。

オオミフクラギがよく見られるインドでは、11年で500人以上もの人間ががオオミフクラギを摂取したことにより死亡したこともあるという。自生地では毒を持つ植物としてメジャーな木なのだ。
ここだけ聞くと異国の地での話のような気もするが、日本とて例外ではない。

近年のインターネットの普及により、個人でオオミフクラギの種子等を購入して自殺などに利用する事例が出てきているのだ。
ある20代の日本人女性がインターネットでオオミフクラギの種子を購入した。彼女はその種子をすりつぶして酒と一緒に自ら摂取した。
その後、女性は吐き気や嘔吐を繰り返し、興奮状態のまま救急搬送されたものの、治療の甲斐なく、多臓器不全により帰らぬ人となった。インターネットの普及により、私たちの生活は便利になった一方で、様々な危険も知らないうちの身近に迫るようになってきた。

自殺に使えるということは他殺にも使えるということだ。
自分たちが聞いたこともないような毒で自殺、殺害されるような事態がやってくる日もそう遠くはないのかもしれない。

ソテツ~悲しい歴史を持つ南国の象徴

九州南部や沖縄などに自生するソテツ。南国リゾート感がでることや丈夫なことから、近年は自生地以外でも見かけることがある。中には観葉植物としてホームセンターや花屋で購入した鉢植えのソテツを自宅に飾っている人もいるのではないだろうか。

そんな南国情緒たっぷりのソテツだが、毒を持つ木の一種である。
ソテツは主に種子に毒成分を有しており、誤って口にすると嘔吐、めまい、呼吸困難などを引き起こし、最悪の場合、死に至ることもある。しかし、このソテツ、毒があるとは言いながらも、毒抜きをすれば食べることもできる。

特に沖縄・奄美地方では、飢饉の際にはソテツを食べて飢えを凌いでいた歴史もある。毒抜きしたソテツからでんぷんを取り出し加工して食したりしていたのだ。
また、ソテツの種子を主原料として作られる蘇鉄味噌は現在でも食用・販売もされている。

一方で食用に当たっては毒の恐怖がついて回る。
大正末期から昭和の初期にかけて、戦争や経済恐慌、農作物の不作のため、沖縄・奄美地方の人々は極度の貧困と飢えに喘いでいた。その時もソテツを食べて飢えを凌いでいたのだが、不十分な毒抜きにより中毒症状を引き起こし死亡する者が後を立たなかったという。

後にこの状況は「ソテツ地獄」と呼ばれるようになり、悲惨な時代の象徴にもなっている。

マンチニール~死のりんごを実らせる世界最悪の樹木

カリブ海沿岸や南アメリカ大陸北部の水辺で見かけることがある高さ15mにもなる常葉樹。この木は瑞々しく繁る葉の影にまるで小ぶりなりんごのような、甘い香りを漂わる黄緑色の果実をつける。
一見して美味しそうと思える見た目だが、決して騙されてはいけない。

その木の名前はマンチニール。
別名、「小さな死のりんご」とも呼ばれる致死性の猛毒を持つ恐ろしい木なのだ。
その毒性の恐ろしさから、世界一危険な樹木として、2011年にはギネス記録にも認定されている。

マンチニールの毒性はいまだ完全には解明されていないとされている。
しかし、木全体に毒成分を持つことはわかっており、興味本位から果実を食べてしまうと喉を焼くような痛みが現れ、症状が進行してしまうと咽頭が腫れあがり、激痛に見舞われ食べ物が喉を通らなくなり、死亡することもある。また、口にした場合以外でも誤ってマンチニールの木の下で雨宿りでもしようものなら、木の葉から滴ってきた雨水が皮膚に触れただけで、強烈な痛みに襲われるのだそうだ。

マンチニールの枯れ木などを燃やした際に出る煙ですら危険で、この煙が眼に入ってしまうと、最悪の場合失明に至ることもあるという。
世界最悪の樹木の名は伊達ではない、最早近づくことも恐ろしい木なのだ。

幸いにも日本には自生していないものの、気分が開放的になる旅先では細心の注意が必要だろう。

最後に

私たちが身近で町を彩り、時にはほっとする一時を提供してくれる木々。しかし、一見人間に管理されているように見えても相手は自然。

私たちが知らない脅威を隠し持っていることもある。
人はこのことを忘れずに木々と接していかなければならないのだろう。
もしも、自然の恐ろしさを忘れ、見くびった時、私たちは手痛いしっぺ返しを喰う羽目になるのかもしれないのだから。

※画像はイメージです。

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