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Tさんの不思議な行動の原因

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私は葬儀屋に勤めています。
今はもう辞めてしまいましたが、Tさんは業界に長く勤務し態度もいたって真面目で仕事もできる方でした。
そのTさんにまつわる話です。

目次

何気ない一言

葬儀業界は、十月ぐらいから徐々に忙しくなり、年末年始のピークを越えて春先、三月から四月に落ち着くというのがだいたいの通例です。
中でも師走、大晦日が近付いてくると年内に式を済ませたいというお客様が多く、その年はお迎え(搬送)が一日に何件も重なり、特に忙しかったのを覚えています。

その日は、出勤すると丁度事務所に夜勤明けのTさんと出勤してきた同期のKがいました。

いつも通り挨拶を交わし、私はKと一緒に業務に取り掛かろうとすると・・・
「安置室には行かないほうがいいよ」と、TさんがKを呼び止め一言。
Kは「わかりました」と頷いて自分の仕事を始め、Tさんは黙々と事務作業をこなしています。

私は「何故Kにだけ?」と不思議に思いましたが、敢えて聞くこともしませんでした。
これだけだと特に何も思わないですが、観察しているとTさんは時々、不思議な行動を取るのです。

思わぬ行動

私のいる会社は亡くなった方をお迎えに行った者が、そのまま担当するシステムなのですが、突然、所長に呼ばれて昨晩お迎えにあがった方の担当を、私にしてくれと言い渡されました。

このシステムには例外があり、夜間の当直は二人で行いますが、社員の人数から三件重なった場合は他の誰かに振って調整することができるのです。
当然この事は知っていますが、受注状況を確認するとお迎えは二件だけで、担当するのはTさんともう一人の二人で充分な筈。忙しくて疲れていた事もあって、この時ばかりは承諾することはできません。

所長は困った顔をしながら、
「そのTさんがね、担当したくないって言ってきたんだよ」
とぼやくように頼んできます。

これには私も驚きました!
あの真面目なTさんが担当を拒否するなんて。

「あの、何かトラブルでもあったんですか?」
「いや・・・特にそういったのは聞かなかったんだけどね」

所長もよくわかっていない様子だったのでそれ以上は聞くこともできず、仕方なく承諾しました。
その選択が結果、Tさんの不思議な行動の理由を知ることになったのです。

Tさんのわけ

その日の終業後、私はKにあることを確認しました。
話によるとKは元々霊感が強く、不慮の事故などで亡くなった方の思念の様なものは強く感じるので、「安置室へは行かないほうがいい」と伝えたTさんは、もしかするとKと同じく霊感が強い人なのではないか・・・と思ったのです。
案の定、KはTさんも自分と同じタイプなのだと答えてくれました。

そしてなぜ安置室へ行かない方がよいのかと言うと、私がTさんから引き継いで担当した故人は死因が轢死、つまり列車に轢かれてお亡くなりになったのです。
後々Tさんから、お迎えに行った時から亡くなった方がそのご遺体の傍らでずっと「痛い、痛い」と悲痛な声をあげていたという話を聞き、なんとも言えない気持ちになったそうなのです。

※画像はイメージです。

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