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回転翼と固定翼のいいとこ取り?稀有な航空機V-22オスプレイ

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オスプレイと言えば主翼の両端に大きな3枚羽のプロペラを備えた外観が印象的であり、それらを用いた垂直での離着陸が可能な機体として、機構的には回転翼機と固定翼機の長所を併せ持つ事で知られている。

この垂直離着陸を可能としたオスプレイの機構はティルト・ローター方式と呼ばれる特異なものではあるが、日本においてはその特徴よりもある種の政治的な意図を以て、その存在がクローズアップされた感が強い。
それは主として2010年代に在日アメリカ軍基地に反対する政治活動を行う組織において、オスプレイを事故の多い欠陥機と喧伝する事により印象を操作する事に利用された感が強く、多くのマスメディアで当時は取り上げられた。

実際にはそこで訴求されたような欠陥を抱えた機体を、世界中に軍を展開する可能性があるアメリカ軍が態々採用する事など非現実的なのだが、機構の特異性と実際の事故が必要以上に強調された形だった。
そんあある種不遇なレッテル張りを日本ではされてしまったオスプレイについて、アメリカ軍のみならず陸上自衛隊も配備した事を踏まえ、ここでは可能な限り客観的な紹介を試みてみたいと考える。

目次

オスプレイの誕生

オスプレイはアメリカの回転翼機の製造会社であるベル・ヘリコプター社と、固定翼機で署名なボーイング社の傘下のボーイング・バートル社が共同て手掛けた機体で、アメリカ軍の求めに応じて開発された。
アメリカ軍は陸海空軍と海兵隊の4軍で使用する垂直離着陸が可能な新型航空機を求めて1982年にJVX計画を始動、これに応じてベル・ヘリコプター社とボーイング・バートル社が組んでオスプレイが考案された。

JVX計画自体は垂直離着陸が可能な機体であればティルト・ローター方式である必要はなかったが、当時としてはその機能を実現させる手法は技術的にも他に選択肢は無く、且つ他の企業も参画しなかった。
結果1983年にはベル・ヘリコプター社とボーイング・バートル社の案が採用され、1985年にはその名称がV-22オスプレイと決定され、空軍仕様がCV-22、海兵隊使用がMV-22と言う形式名で呼ばれる事となった。

翌1986年から6機の製造が始められたV-22オスプレイは、ベル・ヘリコプター社がティルト・ローター部や主・尾翼部分、ボーイング・バートル社がアビオニクス類やボディ部分と分担して担当した。
但し当時のアメリカではSDI(戦略防衛構想)計画や、新型戦闘機(後の初の第5世代戦闘機・F-22ラプター)の開発が優先された事からV-22オスプレイの開発は遅延し、1989年にようやく初飛行を迎えた。

オスプレイの特徴と仕様

1989年の初飛行の後、V-22オスプレイは試作機において2000年に2度の墜落で合計23名の犠牲者を出す事故に見舞われたが、1994年には量産化が確定、翌1995年以降にその製造が進められて行った。

V-22オスプレイは全長が17.47メートル、全幅が25.54メートル、全高が6.63メートル、ローターの直径が11.58メートルの大きさで、4,536kgの物資を積載し垂直離陸を行っても648km以上の航続距離と最高速度565kmを誇る。
例えば戦闘機のF-35ライトニングⅡA型の場合、全長は15.67メートル、全幅が10.67メートル、全高が4.39メートル程のサイズである為、イメージ程はV-22オスプレイは巨大な機体ではないようにも思える。
元々アメリカ軍においてV-22オスプレイは、中型の回転翼機であるCH-46を代替する機体として採用されたが、これに比して速度で2倍、航続距離で5倍、積載量で3倍もの性能を有し、その優位性は明白である。

こうしたV-22オスプレイの特性は装備するティルト・ローターの向きを可変させる事で実現されており、固定翼・回転翼・転換の主として3つのモードの切り替えが可能で、速度・航続距離・積載量の最大化が図られている。
当然物理的には垂直離着陸を行う事が最も燃料の消費を伴う飛行形態であるため、その抑制を行うには極力短距離離陸を運用上で行う方がより性能を活かす事に繋がる事は言うまでもないだろう。

日本でオスプレイが欠陥機扱いされた理由

V-22オスプレイはその最大の特徴とも言えるティルト・ローター方式の採用によって、回転翼機のような垂直離着陸を可能としつつ、固定翼機の持つ高速性能・航続距離等との両立を実現した機体である。
しかしその可動するティルト・ローター方式故の構造的な特性により、運用するにあたっては通常の航空機よりも多くのアビオニクス類を適切に操作する必要があり、操縦の難易度がかなり高い機体でもある。

V-22オスプレイは1992年7月の試作時に機関部の故障で墜落、乗員7名が落命する事故を起こし、また初期段階の2000年4月に操縦不能で15名、同年12月には操縦ミスと機構の異常で4名の犠牲を出している。
正式な配備が行われて以降もV-22オスプレイは6度乗員が落命する事故を起こし、アメリカ軍では最も重い事故の区分、クラスAに該当するものが4件発生したと分析しており、事故そのもは事実である。
しかしアメリカ軍の航空機としてV-22オスプレイは決して突出した事故率を記録している訳ではなく、2012年時点で海兵隊の集計による事故率は平均よりも低い事が確認されている。
日本ではこうしたV-22オスプレイの事故は、主として在日アメリカ軍の駐留を非難する政治活動にとって、分かり易い反対運動に利用された側面が強く、アメリカ軍を危険視する口実に用いられた感が否めない。

陸上自衛隊でも採用されたオスプレイ

日本でも防衛省は2013年度の予算案の中にオスプレイの取得を検討する費用を盛り込み、主として自衛隊が各種の災害時の救援活動や輸送任務に使用する事を前提とし、重ねて南西諸島などの島嶼防衛が企図された。
これはV-22オスプレイの高速で且つ長大な航続距離と輸送力のバランスが、既存の航空機よりも南西諸島の防衛に必須と判断された為であり、2015年5月にアメリカ側が承認した事で現実のものとなった。

本国のアメリカ以外では初のV-22オスプレイの採用国となった日本は、2020年7月に最初の機体の納入を受けて2022年度までに9機を受領、予算上は17機の調達が確定しており、千葉の木更津駐屯地を拠点とした。
元々陸上自衛隊では南西諸島方面に近い佐賀空港に新規で拠点を構える構想を持っていたが、用地取得の難航や他の航空機のトラブルで暫定的に木更津にて運用を開始したもので、今後変更される可能性もある。
陸上自衛隊がV-22オスプレイを導入した事は、南西諸島防衛においては沖縄本島から尖閣諸島を作戦行動範囲に収める事を意味しており、航空母艦化改修が進むいずも型護衛艦との連携も視野に入るだろう。

今後のオスプレイはその価値を持続できるのかが注目

ようやく2020年に陸上自衛隊の戦力にも加わったV-22オスプレイだが、1機あたりが少なくとも100億円近い高額な機体である事も事実で、アメリカと日本以外にこれまで導入が確定した国は無い状況だ。
今後はイスラエルがV-22オスプレイの導入を行うと言う可能性が高いと見られているが、この2022年12月にはアメリカ陸軍がUH-60ヘリの代替機としてティルトローターの方式のV-280 Valorを採用する事が判明した。

V-280 Valorはベル・ヘリコプター社とロッキード・マーティン社が共同開発を行った機体だが、V-22オスプレイで培われたベル・ヘリコプター社のティルト・ローター機構のノウハウが活かされたと言われている。
こちらが同じく日本にも波及して来るのか、今後はその点についても留意しておきべ必要があるだろう。

※画像はイメージです。

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