「ガトリングガン」「バルカン砲」「ミニガン」の歴史と発展を考察。

ガトリングガンとバルカン砲・ミニガンと並べれば、現在最も耳にする機会が多いのはバルカン砲であり、航空機などに搭載された兵器としてのイメージが強いのではないでしょうか?
概ねそうした理解で間違ってはいないと言えますが、兵器としてこれらを系統づけするならば、バルカン砲・ミニガンは製造企業の登録商標の製品名であり、ガトリングガンの1種です。

ガトリングガンの登場

ガトリングガンが開発されたのは1861年のアメリカで、発明家のリチャード・ジョーダン・ガトリング氏が複数の銃身を円形に配置し、手動でそれらを回転させて連射出来るようにしたものでした。
この時期は日本では明治維新の前の幕末、アメリカではちょうど南北戦争が行われていた頃であり、未だ歩兵の装備が前装式の小銃であった時代に毎分200発という驚異的な発射速度を実現しました。

正式にアメリカで軍がガトリングガンを採用したのは南北戦争終結の1年後の1866年でしたが、同戦争中に実際の戦場で南軍に対する攻撃の実演が行われ、戦列歩兵戦術を相手に威力を発揮したと言います。
しかし歩兵にライフリングを施したミニエー式小銃が普及し命中率が向上すると、歩兵が一斉前進から身を隠しながら敵に接近する戦術へと変化した為、機動性に欠けたガトリングガンの有効性も低下しました。

1893年には手動からモーター使用に改良され、一定速度での射撃が可能となったガトリングガンではありましたが、以後は防御向けの兵器として陣地や艦艇への搭載が主となります。
更に単銃身ではあるものの無煙火薬を用いた銃弾が登場すると、その発砲時の反動やガス圧を使用して動作する、小型で且つ軽量の機関銃が開発されガトリングガンは斜陽となっていきました。

バルカン砲として復活を遂げたガトリングガン

前述のように単銃身ながら軽量・小型で汎用性の高い機関銃の実用化から、一度は兵器としての役割を終えたかに見えたガトリングガンですが、航空機用のバルカン砲として復活を遂げます。
これはアメリカ空軍が航空機用の兵装として、かつてのガトリングガンの多銃身で発射速度が高いことを見直し、ゼネラル・エレクトリック社によりM61/M61A1「バルカン」として製品化したものです。

戦闘機としての航空機が登場した時点で既にガトリングガンは過去の兵器であり、単銃身の機関銃や機関砲を主兵装として搭載して発展していったと言うことが出来るでしょう。
因みに機関銃と機関砲の区別については、時代や国によってその定義自体がまちまちではあるものの、今日的には日本を含む西側では口径20mm未満を機関銃、以上を機関砲と呼ぶのが一般的です。

第二次世界大戦以降に戦闘機がジェットエンジンを搭載することが一般化すると、その速度と機体自体の強化から機関銃・機関砲は命中率の低下や威力不足という問題に直面しました。
これに対応したのが第二次世界大戦後期にドイツで開発された「リボルバーカノン」方式で、文字通り拳銃のリボルバーのように回転する薬室を持ちますが、弾薬は別に設けられた弾倉から装填されます。

この「リボルバーカノン」方式は従来の機関銃・機関砲よりも高い発射速度を実現し普及しましたが、これに満足出来なかったのがアメリカ空軍で、ガトリングガンのモダナイズを思い立ち現在に至ります。

ミサイルをライバルとしたバルカン砲

しかしゼネラル・エレクトリック社製のM61「バルカン」が開発された後、激化するベトナム戦争にアメリカは突入していきますが、アメリカ空軍の戦闘機にこれを搭載した機体は当初はごく一部でした。
この時代の主力戦闘機はF-4ファントムでしたが、その製造時には機関銃・機関砲などの銃火器を兵装とすることは想定されておらず、空対空戦闘はミサイルが担うことになると考えられていた為です。

ところがベトナム戦争での現実は予想を覆し、ミサイル自体の命中精度は気象環境からも低くなり、また1機あたりが搭載する数も仮に最大で8発の懸架が可能であっても運用・戦術面から少なくならざるを得ませんでした。
加えてミサイル自体の重量が重く、多数懸架した状態では機体の運動性能を著しく低下させ、また航空母艦の艦載機は例え未使用のミサイルが残っていても母艦への着艦時には安全の為投棄する必要も生じます。

更に空対地攻撃用と目されていた機関銃・機関砲が、思いのほか高速とはなならなかったドック・ファイト・空対空戦闘で威力を発揮し、目視での戦闘においては依然として有効である事が再評価されました。
こうしてガトリングガンは、第5世代戦闘機であるF-22ラプターやF-35ライトニングⅡなどの機体でも搭載可能な兵装として、また水上艦艇の個艦防御兵器CWISの火器として今日を迎えています。

バルカン砲の小口径機関銃版といえるM134ミニガン

M134ミニガンはM61A1「バルカン」と同様にゼネラル・エレクトリック社が製造する機関銃で、小銃弾である7.62mm×51mmNATO弾を発射するように小口径仕様に改められたものとなっています。
基本的にM61A1「バルカン」をダウンサイジングしたもので同様に6本の銃身を備えており、実に毎分2,000~4,000発の発射速度を誇り、向けられた敵を一瞬で葬る意の「ペインレスガン」との別名もあります。

M134ミニガンは主としてヘリコプター搭載用の機関銃であり、対地攻撃用に制圧射撃を加える火力として運用され、機体側面のドアから射撃する形式がとられています。
また陸上の「ハンヴィー」などの装甲車両の主兵装にも搭載されており、車体の上部にマウントして使用する形式となっています。

M134ミニガンは本体重量が単体で18kgであり、これだけを見れば兵士が保持して射撃することも可能と映るかもしれませんが、ベルト給弾式の弾丸や駆動に必須のバッテリー込みの総重量は100kgにも達します。また発砲時の反動も強力な事からM-60機関銃の様に個人で取り扱うような運用は有効的ではないと考えられます。

eyecatch source:MKFI, Public domain, via Wikimedia Commons

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