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許されぬ恋のゆくえ

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20年以上前の話になりますが、当時、お年寄りが集まる病院に勤務していました。
病院は基本的には男女は別々の病室になりますが、勤務していた病院では各病棟に1室だけ、性別関係なく入る病室があります。
そこは、病状が不安定で近日中に亡くなりそうな患者さんの為の病室です。
廊下側の窓が大きくあり看護ステーションから丸見えの状態で、急変時にすぐに気づけるようになっていました。

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ふたりの患者さん

ある時、男女ひとりずつ、二人とも動くどころか話をできず、意思疎通が難しい状態の90代後半のご老人が病室に入室しました。
次の日ぐらいだったと思いますが、それぞれのご家族が面会に来たのですが、病室から大きな叫び声が聞こえたのです。何かと思って駆け付けると、70代くらいの男性がその場で頭を抱えていていました。

病室で叫ぶのは他の患者さんの迷惑になるのでキツく注意すると、男性は理由を話してくれたのです。

叫んだ理由

この二人は苗字も自宅の場所も全く違うのですが実は兄妹でした。
若い頃、妹さんは誰の子供なのか解らない子供を出産してしまい、生んだ男の子を育てることを希望するのですが、
若さから子供は遠い親戚に引き取られたのです。

妹さんは最後まで相手は誰かは口を割りませんでしたが、近所の人達まで、兄妹が許されない恋に落ちていたのを知っていたため、十中八九、相手は兄だと噂となりました。

もちろん家族を含め親戚一同はそれを快く思いません。
否定するために兄は地元で嫁を迎えされられ、妹さんは早々に県外へ嫁に出されたそうです。
それからというもの二人は直接顔を合わせることを許されず、二度と会うことはなかったのでした。

そんな二人が亡くなる直前に同じ病院の同じ部屋に入ったということに恐ろしい縁を感じ、頭を抱えていた男性は、その妹のお子さんだったのです。

二人のそれから

それから一週間ぐらい経ち、夜勤をしていると例の病室からナースコールが鳴りました。
でもどちらの患者さんもナースコールのボタンは押せません。誤作動かと思いとにかく行くと、二人の呼吸が止まっていました。
職員の中では報われない二人が一緒に旅立ったことを知らせたくて、ナースコール押したのかもね?と話題になった頃でした。

なんの気無しに新聞のお悔やみ欄を覗くと、二人の名前と一緒に以前に病室で叫ばれた男性の名前を見つけ、兄妹だけでなく、お子さんも一緒に連れて行ったように思ったのです。
きっと今頃、天国で家族三人に暮らしているんでしょうね。

※画像はイメージです。

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