訓練が厳しそう・・・というイメージの自衛隊。
特に陸上自衛隊は(職種にもよりますが)年数回の演習がコンスタンスに行われ、任期制隊員からは海外ドラマにあやかって「第〇シーズン」と呼ばれることも。そんな陸上自衛隊の演習中で自衛官たちが何をしているのか、どんな生活をしているのか。また気になるアレについて解説します。
陸上自衛隊の演習とは?
自衛隊では日頃駐屯地などで行う「訓練」と別途演習場などに移動して行う「演習」があります。
訓練は個々の部隊だけで行う、いわば練習。普通科であれば主に体力づくりや射撃、格闘などの訓練が行われます。一方、演習は複数の部隊が協働して任務を行う場合の訓練であり、想像しやすいのは「富士総合火力演習」ではないでしょうか?
総火演には全国から部隊が集結し、日ごろの訓練の成果を披露します。(実際には公開されていない期間も富士山中で生活しながら演習はしていますが)
その他、幹部隊員には「図上演習」という戦略ゲームのような訓練もあります。これは指揮する部隊をどのように動かして、戦略行動をとるか・・・という訓練で、指揮を執る階級の隊員のみで行われます。
演習中の生活は?きついってホント?
演習中は、戦闘中という想定ですのでトイレも寝起きもすべて山中で行います。
また、どこに敵役の部隊が潜んでいるかわからないので、森の中で常に緊張状態でいなければなりませんし、喫煙する隊員にはたばこの火が見えないように手のひらで煙草を覆って吸うように指導されるほどの徹底ぶりです。
しかも、かなりの割合で就寝中に「敵襲」があります。たたき起こされることになるので睡眠不足になる隊員が続出します。また、その場合でも交代制勤務なので、居眠りなどしたら上官から厳しい移動を受けることに。
こういうと非常にキツイと思われがちですが、人によっては楽しく過ごす人もいて(私もそうでしたが)、夜寝ずに隠れてお菓子を分け合ったりする様子も散見されます。バレたらもちろん指導を受けるのですが、これを隠れてやるために若い隊員たちが趣向を凝らして受け渡し方法を考案するなど、指導する先輩隊員たちも実は興味津々で見ています。
私が2期目でテントを預かったときには、鳥の声まねで菓子類を受け渡す隊員がいましたし、1日中口を動かしている隊員がいて「ガムを出せ!」といっても持ち物からガムは見つからず、何なのか・・・とよくよく観察していると、なんと作業服の裏地にスルメイカを縫い付け、ちぎって食べていた隊員までいました。
私がまだ新隊員だったころ、夜更かししてお菓子を食べながらトランプなどをやっている先輩たちの仲間入りがしたくて、あらゆる物資(トランプや花札、ウノなどの物資、ガム、グミ、チョコなどのお菓子類)を調達することがよくありました。実際にはほかのテントや部隊の隊員との物々交換などで仕入れるのですが、交換するためにはテントを抜け出して、戦闘状態を想定した警戒網をかいくぐって・・・という作業が必要になります。
前述の鳥の声まねなどを合図にしながら、しかし確実に調達してくるため部隊の内部のヒエラルキーは常に高い位置にいました。
また、気になる幽霊の噂ですが・・・
演習中にそのような怪奇現象に会ったことは、実はありません。音がしたらシカだった。。。なんてことはよくある話で、実際に見たという隊員に対しても、本当に眠くて幻覚に近いものを見たんだろう、と上官から苦言を呈されることになります。
ただし入隊してすぐのころ。教育隊で訓練生活していた時のことですが、消灯時間直前に、なんと廊下に蜘蛛の巣のようにブラックテープを張り、道を封鎖している同期がいました。みんなで「やめてくれ。みんな怒られるからやめてくれ。」といって止めたのですが、彼はもう必死の表情で「夜中に廊下を裸足で走り回ってるやつのほうが悪いだろ!!!」と叫んで聞きません。
ちなみに私も、別の隊員も、その音は聞いたことがありました。ただ、ほかにも聞いたことがある人がいたとは・・・そしてすぐそばの部屋には教官たちが寝ているので、そんなことをしたらすぐにつかまって部屋ごと連帯責任で指導を受けているはず。じゃあ、あれはなんだったの・・・と背筋が凍り付いたことがありました。
とはいえ、どの世界も同じですが、自衛隊の中もやり方によっては映画「大脱走」のように楽しく過ごすことができます。
その代わり、バレた時の腕立ての覚悟だけは・・・お忘れなく!
※画像はイメージです。
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