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本当の先生はいったいだれ?

私は中高一貫校に通っており、中学生から一緒の先生方が沢山いらして、兄弟のように仲良く、時に厳しく接してくださっていました。中でも数学の「中本先生(仮名)」は、わかりやすくてユーモアを交えた楽しい授業で、生徒から人気があったのです。
私も中本先生の授業は好きで、授業外でもわからない事があれば、直接先生に教えて請いに行っていました。

目次

ある日の朝

ある日の朝、宿題で判らない事があり、友達と一緒に職員室へ中本先生に質問しにいきました。
「失礼します。中本先生いらっしゃいますか?」
職員室の先生がちらりと辺りを見渡し中本先生の方に視線をやると、そこにはお忙しそうな先生の姿がありました。
「おはようございます。判らないところがあり、ご質問よろしいでしょうか」

お忙しいのを邪魔しないよう、おずおずと話しかけた私たちに対し、先生はにこりとすると
「どこだい?」
と、読んでいた資料から目を離し、忙しいのに快く質問に答えてくださいました。
時間にして20分ほどでしょうか。そろそろ始業の時間だからと私たちは先生にお礼を言って、教室に戻りました。

授業が始まらない

しかし、始業の時間になっても授業は始まりません。
いつもとは違う雰囲気にクラスが騒ついていると、緊急全校集会があると放送が入り、クラス全員ざわざわしつつも体育館へ行きました。
体育館に入ると先生方の空気が重くなって、只ならぬ雰囲気に私は思わず息をのみました。他の生徒もこの雰囲気に何かを感じ取っているのかざわざわしています。

全校生徒が集合ししばらく経つと校長が壇上にあがり、こほんとひとつ咳払いをして、
「急な知らせですが、残念な事があります」
ここでひと呼吸おいて、ぽつりと声を発しました。

「今日、中本先生がご自宅で亡くなられているのが発見されました」

そんな事はない??

私は思わず友達と顔を見合わせます。
そんなはずはありません・・・今朝、私たちはその中本先生に質問しに行ったのですから。
軽くパニックになっている私たちをよそに校長は言葉を続けます。

「朝、連絡がなく、他の先生がご自宅に伺った時には、学校に行く服装のまま玄関で倒れられていて・・・」
その後の校長の話は耳には入ってきません。

全校集会後、あの朝、中本先生を目撃した私達や職員室にいらした先生方以外にも、廊下であったり挨拶されたという生徒が続出し、「亡くなったのに気が付かず、学校にきて仕事をしていたのだろう」とささやかれていたのでした。

私たちが会った「中本先生」は一体「何」だったのでしょうか。
それは今でもわかりません。

※画像はイメージです。

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