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史実と創作から読み解く「魔女」

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およそ10年程前に自身で書き殴ったメモの中に、「赤ずきんに登場するおばあさん=魔女説」という文言を見つけた。何だコレと首を傾げると同時に、「そういえば魔女の起源やイメージって史実と創作と混同しやすいよな」と至ったので、整理を兼ねて筆を執り紙面を広げてみる。

魔女の定義としては、解明不能な不思議な力、あるいは技術を駆使して他人に干渉する存在を指す。魔女の使う力を魔法や魔術、呪術と言う場合もある。発祥はヨーロッパで、「witch」を日本では「魔女」と訳して男性版を「魔法使い」と呼ぶが、元のwitchには男女の区別は無い。
プロローグの魔女に触れる前に史実の魔女について見ていく。

目次

史実における「魔女」

歴史上で挙げられる「魔女」で思い浮かぶのは「魔女裁判」「魔女狩り」などだろうか。諸説ある中で魔女の起源を定義するのは難しいが、魔女が扱うとされる不思議な力、いわゆる「魔術」の存在は紀元前からヨーロッパ各地で存在していた。当然魔術を扱う人間…後に魔女と呼ばれる存在や、魔術を使った傷害事件を裁く裁判も認知されていた。中世ヨーロッパで横行した、無実の市民を魔女と呼び裁判にかけ処刑した。「魔女裁判」「魔女狩り」が起きたのは記録上は15世紀に始まり16、17世紀に全盛期を迎え18世紀まで。処刑された市民の年齢比や男女比、職業、貧困層か富裕層かなどは地域によってバラつきがあるが、それでも貧困層の高齢の女性が比較的多かったようだ。

12世紀に起きた宗教の教えに反する思想を持った教徒を裁く「異端審問」と混同されることもある。魔女裁判の裁判官を異端審問官が務めるなど全くの無関係ではないのだが、教徒を裁く異端審問と教徒ではない市民を裁いた魔女裁判は別種で考えた方がいいだろう。

創作の「魔女」

プロローグで挙げた「赤ずきん」は17世紀の「ペロー童話集」や19世紀の「グリム童話」に編成されている童話だ。グリム童話には「ヘンゼルとグレーテル」や「シンデレラ」「眠り姫」など、魔女が登場する話が多く存在する。共通項としては「高齢の老婆」「森や辺境など世俗から離れて暮らしている」「不思議な魔法を使って主人公たちに干渉する」など。
シンデレラなど例外は存在するが、ほとんどの魔女が作中では魔法で主人公を害する事が多い。これらのイメージは、先の世紀で起きた魔女裁判で処刑された「市民の一般生活から逸脱し追放された存在」「不可思議な力を使う異質な存在」などの「魔女像」が影響している。

ちなみにプロローグで触れた10年前のメモには「人食い狼が生息する森で老婆1人が安全に生活するには魔法のような強力かつ不可思議な力が必要なのではないか」という根拠を元に魔女説が謳われていた。
ソースとした文献も見受けられず当時の自分のパワープレイじみた暴論に苦笑したが、この暴論に至った思考こそ史実の魔女狩りの際に裁判官の間で横行したソレではと過って筆を持つ手がやや震えた。この辺りの考察や整理は他の場所で行うこととする。

現代の「魔女」

こんにちの創作作品に登場する「魔女」もこの童話集の魔女のイメージが土台になっている節がある。現代では時代の流れとエンターテイメントとしての昇華の過程で、史実の魔女が元来持つ排他・迫害されてきた後ろ暗いイメージはだいぶ払拭された作品が増えている。

史実の魔女たちが受けた迫害を忘却することも、今なお世界各地で行われている魔女狩りを看過することもできない。
しかし、魔法を使う素質を持った女の子が修行を経て一人前の魔女を目指す作品のストーリーから「魔女という異質な存在に対する畏怖」ではなく「魔法という不思議な力を使って活躍する女の子への浪漫」を読み取るのは、現代における「魔女」という存在の受け入れ方でもあると捉えられると思う。
史実か創作かを問わず、興味が湧いたなら読者諸君もぜひ「魔女」という存在に触れてみてほしい。

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