これは中学生の時に体験した不思議な事で、心霊やオカルトを信じるきっかけとなった話です。
当時の私は一ヶ月に一度、週末になると祖母と一緒に一人暮らしの叔祖母の家に泊まりに行っていました。
自宅からはバスと電車で約一時間程の距離にあり、二階建ての一軒家。砂利が敷いてある駐車場兼庭先、玄関を入ると階段とキッチンへ続く廊下、その横に居間と叔祖母の寝室がある。
二階は襖で仕切られている和室が一部屋。寝泊まりはこの部屋なのですが、床の間に七福神の布袋様の木像が飾られていて、私は幼い頃からこれが苦手で、視界に入れないよう乱暴に座布団を被せていました。
ある日の夜
あの日の夜、食事を食べてお風呂を済ませ、居間でジュースを飲みながらぼーっとテレビを見ていると二階からゴトゴトと物音がする。
祖母が布団を敷いているのだろうと思いつつ、再びテレビに目をやると祖母は風呂。叔祖母といえば隣の部屋で寝てしまっているのです。
他に誰かが二階にいる?でも、家には私を含めて三人しかいません。
相変わらず聞こえる物音に「いやいや、まさか、ドロボウかもね・・・」なんて独り言を言いながら二階へ。
階段を上がるたびにはっきり聞こえる物音は、硬いものを動かしているような音となにかを引きずるような音。
二階に上がって襖を開けると部屋は当然真っ暗。蛍光灯の紐を引いて電気をつけると、床の間の布袋様の木像が足元に転がっている・・・なんてことはなく、いつものように床の間にいます・・・が、妙なのは布袋様の向きが変わっているのです。
普段は壁に背を向けて正面を向いている状態だったのが、階段の方を見るように体の向きがかわっている。
私は罰当たりにも布袋様の頭を叩きながら「驚かすなよ」と悪態を付きました。
ーーきっとこれがだめだったのでしょう。
それから布団に入って寝ていると誰かが近くにいる感じがして、目を開けると木像が私の顔を覗き込んでいます。
その表情は笑顔などではなく怒り狂ったような表情で私を睨みつけている。
恐怖を感じると声なんか出ないんだとこのとき知り、布袋様からなにかブツブツ聞こえますがあまりの恐怖に私は意識を失いました。
堪忍袋の尾が切れた
翌朝目が覚めると原因不明の高熱と酷い頭痛で起きれなくなった。
叔祖母が二階へ上がってきたかと思うとため息一つとともに私の頭を叩き、「布袋様の堪忍袋の尾が切れた」のだと一言。
布袋様の持っている袋は堪忍袋で本来ならば幸福や財産を与えてくれるらしいのですが、来る度に座布団で隠したり向きを変えて顔が見えないようにしたりとしたことが溜まりに溜まった挙げ句、頭を叩いた事で堪忍袋の尾が切れたのでしょう。
そもそもなぜそんなことを知っているかと聞けば、夢の中で怒り狂った布袋様が堪忍袋を振り回し叩きつけ荒れ果てていたので、恐る恐る理由を聞いたら私が原因だったと教えてもらったんだと。
私はふらつく体で布袋様に謝罪をして布団に戻って眠りに落ちました。
昼くらいに目が覚めると熱は下がっていて、布袋様を見るとあれだけ苦手だったのが嘘のように何も感じなくなっていました。
いくら木像とは言え神様は神様。皆様も罰当たりなことをしないようにお気をつけください。
※画像はイメージです。
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