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傑作SF小説「戦闘妖精・雪風」を紹介したい!

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「戦闘妖精・雪風」、正体不明の存在ジャムと人類の戦争を描いた神林長平氏のSF小説。
OVA化もされた傑作なのですが、あまり知られていない・・・。空戦が主で軍用機が好きな人にもオススメしたいです。

目次

話のあらすじ

ある日、南極大陸に柱のような霧が発生し、そこから謎の存在「ジャム」が現れ人類に攻撃をしかけてきます。柱状の霧は超空間通路で、簡単に言ってしまえばワープゲートだったのです。
人類はジャムを撃退し、通路の向こう側へ攻め込むと、通路の先は未知の惑星(フェアリィ星)につながっていました。

人類は通路を囲むように6つの基地を作り上げ、フェアリィ空軍(FAF)を設立、ジャムの侵攻を食い止めるのですが、ジャムとの戦争は長期化し数十年も続いてしまいます。人的消耗を嫌った各国は犯罪者や精神疾患患者などをフェアリィ星に送り込むようになったのでした。

主人公の深井零もその一人。
彼は他者に関心を持たない排他的人格者です。口癖は、「それがどうした。俺には関係ない」。

その彼が所属しているのは、戦略偵察が主な任務の特殊戦第5飛行戦隊。この戦隊の特徴として、味方を犠牲にしてでも必ず帰還し情報を持ち帰ること。だから零のような他者に関心を持たない、味方を見捨てるのに何の苦痛も感じないような人間が集められています。

その彼が唯一関心を持っているのが彼の乗機である「雪風」。雪風は、高性能コンピュータとそれに搭載された機械知性体(平たく言えばAIです)、様々な電子機器、強力なエンジンを搭載した偵察機。零は雪風を半身と思うほどに偏愛している。

主人と雪風と周辺の人間、機械との関わりを描いたのがこの小説です。

この小説の読み方

OVA化もされたけれど、ミリヲタ的に見ると、作中の描写には少し疑問を抱いてしまう部分もあります。
基本的にFAFは作中世界の地球よりも、科学技術が進んでいる設定になっています。SF的なガジェットも多く、少なくとも機械知性体は兵器として地球よりも高性能。それなのに、空戦の基本はドッグファイト。機関砲での撃墜が頻発するのは、ちょっと違和感があります。ただ、1980年頃に発表された作品ということを考えると仕方ないのかもしれません。戦闘部分については流し読みして、機体スペックを眺めるのがこの作品のミリタリ的な楽しみ方だと思います。

作品の根幹は、人間と機械の関係。
機械知性体は「ジャムの撃破」を根本として、発展・発達しました。人間とは全く異なる価値観や倫理観、論理をもっています。例えば、次のようなエピソードがあります。

フェアリィ星では、冬には雪が降ります。滑走路の除雪作業に駆り出されるのは、パイロット等の花形役職に就けなかった者たちです。その作業員である天田少尉に突然、最高位の勲章が与えられ、それを妬んだ仲間の作業員達から侮辱され、仲間はずれにされてしまいます。

孤独感から酒にのめり込んだ彼は、除雪作業中に運転を誤り事故死します。現在の除雪作業が非効率だと判断した機械知性体は、作業を無人化すべきだと主張しますが、実はFAFでは勲章の授与は機械知性体が決定していたのでした。結局、作業の無人化のために天田少尉は利用されたのです。そして、ジャムに勝利するためにそれが必要だと機械知性体は判断しました。

また、こんなエピソードもあります。
新型機が試験飛行中にジャムと遭遇し、自動操縦で敵機を振り切ります。高機動に耐えきれずパイロットは死亡しますが、機体自体に異常がないため機械知性体は「全系統異常なし」と報告します。

一方で、人間を認めている機械知性体もあります。「雪風」です。
作中のある時点で、雪風は零の操縦を非合理的だとして、彼を強制射出し排除。自動操縦でジャムと戦います。その後、新型のジャムが発見された際、自分では見つけられない新型ジャムを見つけ出すため、零を必要だと判断します。そして、零と雪風は互いに協力・利用しながらジャムと戦っていきます。

人間を全く軽視している機械知性体とどう協調するのか?あるいは、どうやったら人間の価値を認めさせられるのか?
それを考えていくのが、この作品の肝だと思います。

難しい話はともかく

そういった難しい話はともかく、「空間受動レーダー〈凍った目〉」やバンシー級原子力空中空母など男心をくすぐるSF軍事ガジェットも数多く登場します。興味をもった人は、是非この小説を見てもらいたいと思います!

ただOVAは端折りすぎているのとBL臭が若干しますので、動いている「雪風」を堪能し、雰囲気だけ味わってもらえればぐらいです。

著:神林 長平
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戦闘妖精・雪風 (C) 神林長平 早川書房

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