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僕を揺さぶるもの

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大学生に入ったばかりの私には、付き合いたての彼女がいました。
地方から上京した僕はアパートを借りていたのですが、そこよりも同じように地方からやってきた彼女のアパートの方が大学のすぐ近くにあったので、大学と彼女のアパートを往復する生活が続いていました。

目次

ふと目が覚めた

そんなある日の深夜、ふと目が覚めました。
僕は普段からとても寝付きがよく、めったなことでは目覚めないのですが、誰かが布団の上から、私のお腹のあたりをゆさゆさと揺さぶっているのです。
てっきり、一緒に寝ている彼女が甘えて来ているのだと思い、寝たフリをしていましたが、いつまでたっても私の身体をゆさゆさ、ゆさゆさと揺する手は止みません。何か様子がおかしいと思って布団の隙間から、ちらっと横を見ると、彼女はすやすやと眠っているではありませんか?

その間も、ゆさゆさ、ゆさゆさと私を揺さぶる手は止みません。
恐怖で一気に血の気が引いていきます。されるがままになっているのも恐ろしく、勇気を出してガバッっと布団ごと飛び起きると、当然と言いますでしょうか・・・眠っている彼女以外、何の姿形もないのです。

何日か後

そんな出来事が続いて、何日か後のことです。
何やら彼女がゆううつな様子だったので、「何かあったの?」と声をかけると・・・。

「最近夜中になると、寝ている私の周りを、ずっと誰かが歩き回る足音がして」
「あなたかと思って起きてみても、私たち以外だれもいない」
と、言うではありませんか。

僕は彼女を怖がらせないように、夜の出来事について話していません。
その時、はっと気付きました。
てっきり私は得体のしれない何かが、僕を揺さぶり起こそうとしているのではなく、歩き回っていて身体を踏みつけていたのではないか・・・と。

それから

それからなんとなく彼女とは疎遠になり、別れてしまいました。
なにかの正体は解りませんが、結果として僕と彼女を別れさせる為にしていたようにも思えるのです。
そして、あの晩の出来事、あの感触を、未だに忘れられません。

※画像はイメージです。

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