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特攻に向かうパイロットたちに迫った意欲作「ゼロの白鷹」

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特攻とは、そして軍隊の実態とはというのはかなり神経質なテーマであり、特に少年誌などではなおさらだと言えます。
しかしそうした中で、難しいテーマを描き切った作品があります。
それが「ゼロの白鷹」です。

目次

死に向かっていく帝大出身の少尉「山吹」

本作は、後に「サラリーマン金太郎」シリーズを描いて大ヒットする本宮ひろ志氏の筆による作品です。
まずは特攻隊として訓練を積む元帝大生、山吹少尉に焦点をあてる形で物語は始まります。

慣れない軍隊暮らし、それも速成でのパイロットコースということでしごきにしごかれる山吹。ですが彼はまったくめげずに訓練に明け暮れます。

(C) ゼロの白鷹 本宮ひろ志 集英社/週刊少年ジャンプ

山吹は束の間の帰省の折に結婚し婚礼を上げて特攻基地に向います。
そこで最後の時を過ごす中で、新妻と再会し結ばれることになるのですが、自分の将来への絶望から初夜では結ばれず、偶発的な「事件」を経てはじめて本当の意味で夫婦になるいじらしさ健気さが本当に泣かせます。

(C) ゼロの白鷹 本宮ひろ志 集英社/週刊少年ジャンプ

短いストーリーの中にも葛藤や周囲の思い、真っ直ぐな感情などすべてが込められており、エピソードを読み終わってから冒頭の特攻シーンを見返してみると感動もひとしおです。

ヤンチャで奔放だが誰より腕の立つ二飛曹「中山」

そんな山吹とともに特攻機に乗って飛び立ちます。
迎撃してきた米軍機を五機も返り討ちにしたのが、本作のもう一人の主人公「中山」です。彼は、喧嘩に強く女の子にも手を出す、典型的なヤンチャ坊主でしたが予科練を受けてみたら何と合格、しかし柄の悪い者ばかりが集められた「番外」組であり、そのエネルギーを活かすために猛訓練で鍛え上げられます。

(C) ゼロの白鷹 本宮ひろ志 集英社/週刊少年ジャンプ

このあたりの「番外合格クラス」のあたりは良くも悪くも漫画的ですが、型破りな当時の若者のエネルギーや、規則に縛られただけというわけではない少年たちの活き活きとした感じが実にうまく描かれていました。

確かに軍隊生活は強烈に辛く苦しいものでもあるのでしょうが、それだけであれば訓練を積んだ仲間同士が折に触れて集まって当時を振り返ることも考えにくいわけで、こういった点もまたリアルであるとも言えるでしょう。

戦況が悪化していくにつれて

それだけに戦況が悪化していくにつれ、丁寧に描かれていた中山の戦友たちがいなくなっていくシーンが胸に染みていくわけですね。

(C) ゼロの白鷹 本宮ひろ志 集英社/週刊少年ジャンプ

本作のラスト、米艦と対峙する中山が味方にも戦況にも絶望する中で、己の技量を存分に示し戦死を遂げるシーンでは何ともやり切れなさを感じました。

軍事的ディティール等々については資料の出揃っている現代漫画の方がむしろ優れている部分もあるのでしょうが、戦争の悲惨さだけでなく、そこに向かう人の熱い思いや周囲の人々の感情、それも性的な要素を含めて描写し切ったという点で、高く評価されるべき部分が多い一作だと言えるのではないでしょうか。

(C) ゼロの白鷹 本宮ひろ志 集英社/週刊少年ジャンプ

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