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民間伝承から探る「動く死体」という存在

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ホラー映画を観漁っていた時に浮かんだ、「最近のゾンビは全速力で走ってくるなぁ」「いつからゾンビって走るようになったんだ?」「そもそもゾンビという「動く死体」の概念はいつ頃から存在したんだ?」「もしかして、ゾンビの特徴って死生観の違う国ごとに相違点や類似点があるのか?」という疑問たち。
そんな当初の目的そっちのけで浮かんだ疑問を解消すべく、紙面を前に筆を執る。

目次

ゾンビってなんだろう?

各々が頭に思い浮かべるゾンビのイメージは、ゲームや映画などの創作作品で認識した人間を襲ってゾンビ化させる、頭を飛ばさないと倒せないアレだと思う。創作作品に登場するそれらは創作物を通して新たに存在を確立させた「モダン・ゾンビ」と呼ばれるもので、起源のゾンビとは少し系統が違う。

モダン・ゾンビは「人肉を食うために人間を襲う」「襲った人間を感染・ゾンビ化させる」「脳を破壊されるまで動きを止めない」という定義を持つ、分類としてはクリーチャーやモンスターに近い。逆にいえば上記以外は特筆する定義はないので、時代が進むごとに「ゾンビ発生の原因」「爆速で追ってくる俊敏性」「物理的な凶暴性」「自我」など、より大衆に恐怖を与える要素が付与されていく。

ちなみに作品を映画に絞っていえば元祖ゾンビ映画は1930年代、元祖「走るゾンビ」映画は諸説あるが1980年代には登場していたようだ。元祖モダン・ゾンビ映画は1960年代、かつてからタブー扱いだった「人間が人間を食べる」カニバリズム要素は当時賛否両論だったが、後に大衆から受け入れられ今日のモダン・ゾンビの重要な定義となっている。

ゾンビの定義と起源

創作物の中で確立したモダン・ゾンビという存在を踏まえて、改めて民間伝承として伝わるゾンビの起源を見ていく。
民間伝承のゾンビの定義は「死体であること」「その死体が蘇生し動いていること」。蘇生方法は呪術的なものから科学的なものまで特に問わない。その代わりあくまで死体が動かなければならないので、心肺が再び機能する蘇生法で蘇った存在はゾンビの定義からは外れる。

ゾンビは元々ブードゥー教の司祭が呪法で蘇らせた死体で、中部アフリカのコンゴの神「ンザンビ」がハイチに「ゾンビ」として伝わったのが語源である。
ハイチに伝わる司祭がゾンビ化の呪法を施す目的は「死体の奴隷化」。死んでいる故に自我がない、反抗する心配のない死体を動くようにし、従順で半永久的に使える奴隷を作り上げようというものだった。

奴隷として蘇ったゾンビはそもそも自我がないので、衝動的に人間を食べることも感染させることもない。呪法を施している司祭を撃退することで無力化…元の死体に戻せるとされている。ゆえにモダン・ゾンビとの相違点はそこにあり、民間伝承のゾンビに抱かれる畏怖は「奇怪な呪法によって動かないはずの死体が動いている」という点に集束する。

各国の「動く死体」

アフリカのハイチではブードゥー教の司祭が蘇らせたゾンビがその土地の人々に「動く死体」あるいは「呪法によって死体が動く現象」として恐れられている。
では、各国の民間伝承や宗教を礎にその地に根付いた「動く死体」という存在に果たして相違点はあるのか。

真っ先に思い浮かんだのは中国のキョンシー。モダン・ゾンビ同様ホラー映画の題材としても扱われるが、これも元々は道士と呼ばれる道教の信奉者が呪術によって動かした死体である。死体の同郷への運搬を目的とし、死後硬直で関節が固いなどのハイチのゾンビとの相違点がある。

イギリスの伝承に伝わるネクロマンシー。こちらは動く死体ではなく死体に施す呪術の名称であるが、新鮮な死体に魂を吹き込み一時的に蘇生し占いを試みるという呪法が伝わっている。ハイチのゾンビも呪法の中で霊魂を拘束するので、死後の魂に対する概念は類似するものがあるといえる。

日本にも動く死体の描写はイザナギ・イザナミ伝説のように各伝承や神話に記載がある。死体に取り憑き意のままに動かす妖怪の死人憑きはネクロマンシーに近い。

ゾンビの定義?

各国の伝承内で語られる「動く死体」には土葬か否かという「死後の死体の扱い」に加え、死後の世界や故人の魂の行方などの「宗教的観点」の影響を大きく受ける。

共通するのは「死体が動くという奇怪な現象に抱く恐怖心」「死体蘇生は冒涜的行為であるという認識」だが、それでもゾンビの伝承が各地に残るのは「奇怪な存在に対する浪漫」の他にも「亡くした故人の蘇生を望まずにいられない者たちの願望」も含まれているのかもしれない。

紙面に書き切れなかったけど「ゾンビパウダー」って中々パワーワードだと思う

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