九六式艦上戦闘機は設計者・堀越二郎にして、 零戦より会心の作と言わしめた画期的戦闘機でした。
九六式艦上戦闘機
略して九六艦戦は帝国海軍の制式採用艦戦としては初の全金属製低翼単葉飛行機です。
世界水準を超える高速性能及び旋回性能という相反する性能を併せ持ち、加えてパイロットの思いのままに動く操縦応答性の良さも抜群のこの戦闘機は、日中戦争において大活躍します。
その強さは、米・英・ソなどから供与された中国軍機33機を、九六艦戦12機がたった15分で撃墜するなど圧倒的なものでした。
この戦果により、戦線から中国軍機は姿を消してしまいます。
制空権の概念
制空とは、敵からの攻撃など妨害を受ける事無く諸作戦を遂行できる様に、航空戦によって敵航空戦力を無力化または弱体化する事で、制空を果たす事を制空権の獲得と言います。
この制空の概念は、第一次大戦当時に既にありましたが、航続距離の短かった当時の複葉戦闘機では制空域は非常に限定的でした。
その為に、当時の敵地侵攻の為の制空とは、爆撃機での敵地上基地への爆撃によって地上にある敵航空戦力を撃滅する事でした。
しかし高水準の戦闘性能を持つ九六艦戦を得た日本海軍は1937年の南京空襲作戦で、戦闘機を主体的に使って敵戦闘機を撃墜する事による制空戦術を源田実参謀が考案して大成功を収めます。
敵戦闘機を地上で破壊するのではなく空中戦で撃墜する事は、戦闘機という敵航空戦力のみならず、それ以上に育成に手間と時間のかかるパイロットという航空戦力を消耗させる事でも効果が大きいとされました。
世界初の画期的な戦術
戦闘機によるこの新たな制空権獲得戦は世界初とも言える画期的な戦術で、これをさらに高度化する為に次期主力艦戦としての零戦には長大な航続距離が要求されたのです。
そして零戦の期待通りの働きは太平洋戦争初頭の日本軍大侵攻を支えます。
零戦の素晴らしさは言うまでもありませんが、九六艦戦が開発されたからこそこの大戦果があるのです。
九六式艦上戦闘機がその原点である事を忘れてはいけません。
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