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うごめくそれ

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その日、友人たちとお酒を飲んでいました。酔いがまわり、お酒の力で場の空気も変な方向に盛り上がるのは仕方の無いことですが、その日は思いもよらず変な方向に向いてしまったことを後悔しています。

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お酒の勢い

ある友人が言いだした「〇〇峠行かね?」と。
〇〇峠とはここら辺の中で必ず名の挙がる程で、最恐の心霊スポットと呼ばれています。
昼間は観光客も多く特に怖くは無いのですが、夜になると明かりの類は一切なく真っ暗。昔からいろいろな噂が飛び交い、通るのですらと躊躇するほど怖い場所に様変わりします。

しかし私たちは地元だし、昼間はもちろん、夜も何回となく通っていることもあり、怖いとも特に思っておらずお酒の力と変なノリのまま、肝試しに行くことになったです。

〇〇峠

居酒屋を出て、その峠で車を走らせること数分すると友人Aがとてつもない吐き気と頭痛と目眩に襲われます。
普段、Aは酒豪として仲間内でも有名。どれだけ飲んでも酔うことは無いくらい強いのですが、なぜか頭を抱え込んでうなっているのです。

その様子を見て運転手はやばいと思い、車を止めて外で吐くように促すと、Aは這いつくばって外に出ようとしました。助手席に乗っていた私はAを手助けしようと、ドアを開けて降りようとした瞬間、急に足首に激痛と様々な声が頭に響き渡りました。

その時Aは、フェンスに上半身を乗り出し、崖の下へ吐き出そうとしていたのです。
私は見てしまいました。たくさんの手がAのあちこちをつかんで引っ張るようにうごめいています。

瞬間、逃げることを優先し足首の激痛を我慢し、Aを車の中に引き戻し「やばい!車出せ!」と叫びました。
その尋常じゃない様子を見て、すぐさま車を走らせて峠を抜けると、先程の体調不良を微塵も感じさせない程、痛みも吐き気も全て無くなったのです。

しばらくしてファミレスに入って休憩をしたとき、私とAの手首や首筋にびっしりと手形がついるのに気が付きました。なにかが崖の下に引き落とそうとしたのでしょう。
本当に恐ろしい経験でした。

きっかけは

最後にこの話ですが、〇〇峠は最近夜景が綺麗だとテレビで放送され、それを見ていた妻が「2人で夜景デート行きたいな」と言ったときに、ふと思い出したのです。
妻にこの話をすると、なにも返答がなかった。

※画像はイメージです。

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