神話を通して見る各国の「月」と「太陽」の解釈

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神話を調べる際、天地創造の経緯と並び必ずといっていいほど登場する神格化された「太陽」と「月」。
国や時代を問わず存在してきたそれらを現地・当時の民はどのように解釈し、崇め、語り継いできたのか?

目次

神話とは

各地方で語られる「世界が誕生する瞬間と経緯」「神の存在と偉業」「人類の誕生」といった伝承である。
こういった神話はのちの宗教観や死生観にも影響を及ぼし、前述のように「何かしらを神格化した、或いは司る神」が多数現れる話が多い。今回は神話の中でも「天・地」の次に共通して登場しセット扱いされる「太陽・月」の神とその解釈を、紙面が限られているので抜粋になるが幾つか並べて見ていく。

日本神話

高天原にて起きた天地開闢…初の世界誕生の際、別天津神(ことあまつかみ)と神世七代(かみよななよ)が生まれ、神世七代の最後に生まれた伊邪那岐(イザナギ)と伊邪那美(イザナミ)によって更なる神の誕生(神生み)とのちの日本列島となる島々の誕生(国生み)が行われる。

太陽神:天照大御神(アマテラス)
女神(諸説あり)。大嘗祭を行う巫女の役割も担う。天岩戸の逸話が有名。

月神:月読(ツクヨミ)
性別諸説あり。夜の象徴。高天原を統べるアマテラスと比べ支配域が夜であったり天であったり曖昧な部分がある。

どちらもイザナギから生まれた姉弟である。「月日分離」の神話ではなぜ昼と夜が分かれたかの起源が語られている。

ギリシア神話

古代ギリシアの世界の始原と神々の逸話が語られている。同時に星座の起源にまつわる話が多い。
全知全能の神ゼウスが知名度が高いが、天地創造には別の原初の神が関わっていてゼウスは他の兄弟や一族の神と覇権争いの末に王権を握った三代目の主神である。人類は神が生まれる以前の天地と同じタイミングで創造されたとされている。

太陽神:アポロン
男神。芸術、牧畜、予言を司る。恋物語の神話が多い。

月神:アルテミス
女神。狩猟と貞潔の神でもある。英雄オリオンとの話が有名。

アポロンとアルテミスは双子の神。どちらも弓の名手で疫病や死を振りまく矢を使う疫病神の側面もある。

ローマ神話

唯一神キリストを崇拝するキリスト教圏のローマにも神話は存在する。ただ浅層を調べる限り上記の神話たちとはやや雰囲気が異なり、天地創造に加え「歴史上偉業を成し遂げた人の話を神の所業として語り継いだ」「地方に伝わる昔話に神の存在をブレンドした」というものが散見される。
またローマに伝わるオリジナルの神話や神は存在するのだが、傍に「ギリシアの神に例えるならコレね」とギリシア神の名前が添えられて伝承されているので、必然ギリシア神話の影響を受けている。ローマ神の名前は天体の名前などでなじみ深いものが多い。

太陽神:アポロ
ギリシア神話から輸入されてきた。太陽の他に音楽や予言を司る。

月神:ディアーナ
アルテミスに相当する。狩猟と貞節の女神。

ギリシアや日本の神話と異なりアポロとディアーナの間に明確な血縁関係の記載はない。ディアーナはキリスト教の法規書の中で魔女が崇める女神と記されている。

中国神話

創世神であり天と地を分けた盤古(ばんこ)、人類を創造した女?(じょか)、文字や八卦・狩猟の方法など文化を創造した伏羲(ふくぎ)の伝承。
この他にも中国神話には民族宗教や仏教などの宗教の影響を受けたものや、実在する人物や歴史を神格化した話、神仙・仙人など独特な存在が登場する話もある。

太陽神:羲和(ぎわ)
太陽を運ぶ車を操縦していた御者であるとも十の太陽を産んだ母ともいわれる。

月神:嫦娥(じょうが)
民俗宗教における月の女神。元天女であるともいわれている。

伝わる伝承によっては羲和=嫦娥という扱いをするものもあるようだ。

神話と神格化された太陽と月の解釈

前述したが神話はそれらが伝わる土地の宗教観や死生観、民衆文化などの影響を如実に受ける。今回取り上げた神話に登場する神たちは人の姿(中には半身が蛇だったりもするが)をしていたが、スペインとフランスの間のバスク地方に伝わる神話に登場する神は動物や蛇、鳥などの姿をしている。

また神の性別を見ていくと西洋の太陽神は男神、東洋の太陽神は女神など地方によって共通点が見られる。更に東洋の太陽神は文献によっては他の神や存在を生む話があるので母神的側面を含んでいる点も共通しているといえる。ギリシアとローマのように隣接する文明の元に形成される神話には類似或いは共通する点が多い傾向があるようだ。

神話がなぜ存在するか、という問いの返答は様々あるが、その一つとして世界の成り立ちを神の存在を用いて理由付けし物語調にして民衆に伝承するという考え方がある。

この世界の成り立ちには
「昼・夜を含む月日や時間の概念」
「作物を育てるための季節の概念」
なども含まれ、前述の太陽神と月神の存在やエピソードはこの辺りに深く関わっている。
この概念はどの地域や文明にも必須であり、必然どの地方の神話にも太陽と月に由来する神とエピソードが存在する所以ともいえる。

口伝と執筆による伝播で広まる

神話は民衆による口伝と執筆による伝播で広まる点、そして無機物や無形の概念・自然的存在に人型を充てる神格化という名の擬人化という点も相まってその神の性格や行動・エピソードは世俗的というか、日常を送る人間として馴染み深いものが多い。

各国の月神と太陽神の話だけでも親近感のある人間臭さを味わえるので、入門編はギリシア神話次点に日本神話を勧めて本紙は筆を置く。

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