コックリさんと白い影

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私が中学だった頃、クラスで「コックリさん」が流行りました。
こっくりさんとは、日本で戦前から昭和にかけて子どもたちの間で流行した“おまじない”です。
やり方は、紙に「あ」から「ん」までの五十音を並べ、その上に鳥居を描き、鳥居の両脇に「はい」「いいえ」と書きます。
地方によって書き方や呼び出す方法に多少の差はありますが、だいたいの場合は鳥居の上に10円玉を置き、紙を囲むように座った参加者たちの人差し指を10円玉に軽く触れ、こっくりさんを呼び出します。

「こっくりさん、こっくりさん、どうぞおいでください」と声をかけ、続けて「おいでになられましたら『はい』へお進みください」と言い、10円玉が「はい」に動いたら、準備は完了です。
そこからは、悩みごとや知りたいことを質問すると、10円玉が自ら動いて答えてくれるのです。

名前から狐の霊をイメージする子もいれば、こっくりさんが浮遊霊のような存在だと聞いて怖がる子もいました。
しかし、思春期で多感な時期でもあり、日常の生活や恋の悩みを相談したい気持ち、そして“紙の上の10円玉が自分たちの質問に答える”という不思議な魅力が相まって、怖がりながらも誰かが始めると自然に集まってしまいます。

目次

こっくりさんでもやろう

期末テストも終わった夏休み前の放課後、暇だったので「こっくりさん」でもやろうかとなりました。
「こっくりさん」を呼び出すと10円玉が「はい」に動き、みんなキャアキャアと喜びます。でも、特に悩みもないので、しばらく沈黙が続きました。
やがて飽きてしまい、終わりにしようと「こっくりさん、こっくりさん、どうぞお戻り下さい」と言いましたが、10円玉は動きません。

霊など全く信じていなかった私は、もういいやと10円玉から手を離し、「おしまいおしまい」と言って、みんなの指を払いのけ、紙を丸めてゴミ箱に投げ捨てました。
みんなが驚く中、「もう帰ろう」と言って手をひっぱり、下校したのです。

白い人影

その夜、いつも通り自分の部屋のベッドに入り眠っていましたが、突然、ふっと意識が浮き上がるように目が覚めました。瞬間、体が強く押さえつけられるような感覚に襲われ、息が詰まると同時に、自分の体が自分のものではないように感じます。

隣の部屋には両親がいて、我が家は昭和の造りで襖一枚の続き間だったため、声を出せばすぐ届く距離なので、助けを呼ぼうとしても、声は出ません。
次第に恐怖が込み上げてきましたが、体を動かすことはできず、ただじっと固まるしかありません。

「これは夢だ」と自分に言い聞かせ、耐えていると、私の部屋と両親の部屋をつなぐ中扉のあたりから、白い人影がゆっくりと現れました。大人ほどの背丈で、輪郭はぼんやりとしており、顔があるのかないのかも分かりません。
ただ、白く霞んだその影が、確実にこちらへ近づいてくるのです。

こっくりさんなのでしょうか?

距離が縮まるたびに耳鳴りが強くなり、声を出そうとしても、喉が凍ったように動きません。枕元に到達すると、白い影は耳元で何かを囁きましたが、言葉の内容は分かりませんでした。
とにかくその存在が恐ろしく、心の中で「ごめんなさい、ごめんなさい」と謝り続けると、白い影が私にのしかかってきて、「もうダメだ!?」と思った瞬間、なぜか金縛りはふっと解け、白い影も跡形もなく消えたのです。

私は泣きながら両親の部屋へ飛び込み、震えながら体験を話しました。両親は驚きつつも朝までそばにいてくれましが、結局ほとんど眠れないまま朝を迎え、中学生にもなってオネショをしてしまい、両親は呆れていました。
汚れた布団を干そうと持ち上げると、そこにあるはずもない10円玉が転がってきたので、もしかすると・・・。

学校へ行き、友人たちにその話をすると、「こっくりさんに失礼をしたお前たちが悪い」と非難されました。
昨日参加した友人たちも、何らかの怖い体験をしたそうです。
もしかすると偶然だったのかもしれませんが、私はそれ以来、二度と「こっくりさん」をやることはありません。

※※画像はイメージです。

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