カラスの大群が覆う空

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あの日の空は、明らかに異常だったのに。

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空を覆う黒い渦

建設会社に努めていた時の事だ。
曇天の朝、事務所で黙々と書類を処理していると、外が妙に騒がしい。
なんだろうと手を止めて、窓の外に目を向けた瞬間、思わず息をのんだ。

山の頂上付近、カラスが集まり一帯が黒く濁っている。
カラスの群れは見慣れているが、問題は数だった。常識的な規模ではない。
空の一部が塗り潰されたように黒く、密度が異様に高い。

塊になったカラス達は、ゆっくりと円を描いていた。
ばらばらに飛んでいるはずなのに、動きに乱れがない。全体が一つの方向に引かれているような、不自然なまとまり方をしている。
それに距離があるはずなのに、鳴き声や羽音が地面を這うように響いてくる。

どれくらい見ていたのか分からない。
やがて群れはゆっくりと崩れ始め、何事もなかったかのように四方へ散っていった。
残ったのは元通りの風景。あまりの光景にしばらく硬直したまま山頂の空を眺めていたのだ。

カラスの大群が覆う空

あとになって、この現象が「帰塒前集合」と呼ばれるカラスの行動だと知った。
ねぐらに戻る前に一箇所へ集まる行為で、情報交換とコミュニケーションを取るための行動でもある。
ただ、一般的な規模と比べても、数と行動が異様だった。
正確に把握したわけではないが、通常からの数から外れているとしか思えない。

それほど沢山のカラスが、進行方向や旋回のタイミングにズレがなく飛行していたのは違和感を感じる。
結果として、あの群れは「集まり」ではなく「一つの塊」として見える。
個体の集合でありながら、個体に分解できないような感覚が残ったのだ。

身の回りに起きたこと

この光景を見てからすぐに、東日本大震災が起きた。
更に、祖母と叔母が死去、転職、病気と不幸が続き、私自身を取り巻く環境は大きく変わった。

不審に思って調べてみると、カラスが旋回して飛ぶという事は「人生の大きな転換期」や「警告や意識の改革の再確認」といった意味があるらしい。
さらには、カラスたちが円になって飛んでいた中心には、地元でも曰くのある神社がある。

全てをまとめ、私に何がおきたか考えてみたが、あの光景を目撃してしまった為に、私は運命に改変が起きたのかもしれない。
それを裏付けるように、あれほど目立つカラスの行為や群れを、誰一人として目撃していないというのだ。

※画像はイメージです。

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